「・・・寒い」
「冬だからな」
「・・・そうだけどそうじゃねーんだよ・・・、寒い」
「何をワケのわかんねーこと言ってんだ??」
「東上・・・、俺、寒ぃわ」
「・・・半纏に帽子・・・、そんだけ防寒してんのにか?」
「・・・俺自身は寒くないわけじゃないけど、そんなに寒くないぜ?」
「じゃ、何が寒いってんだ??」
「それは・・・」
「!!まさかお前の心が、ってんじゃねーよな?」
「そうそう!最近のとーじょーは2週間くらいヤらせてくれねーから、
 俺の心は北極よりも・・!!?」
「・・・・・・」
「・・・・・・っ」
「・・・なんだよ?『俺の心は北極よりも』?その先は?」
「・・・あ、いや・・・」
「・・・・・・」
「も〜!!やっだー!!とーじょーちゃんってば!顔が怖いんだから〜」
「・・・この顔は生まれつきだ」
「あはははは・・・・」
「・・・で?」
「・・・はい?」
「何が寒いんだよ?」
「え?」
「だーかーら!さっきの話の続きだよ!
 『俺の心』以外で!何が寒いってんだ???」
「(ほっ、失言は許してくれたみたい。
 てゆーかその前の発言が気になってって感じか??
 東上は一度に2つのこと考えんの苦手そうだしな)」
「武蔵野?」
「あ、・・ああ!それね!だから寒いのよ!」
「だから何がだ!?」
「東上の格好!」
「はぁ?」
「だって今は真冬だぜ?
 なのに東上ってばつなぎの上こそ着てるけど、
 コートもマフラーも手袋もしてないじゃん?」
「・・・・それが?」
「や、その格好で東上は寒くないわけ?」
「別に?」
「!!?・・・あ、ああ・・そう??でもさ、俺からしてみると寒いんだよね」
「???どうしてだ??」
「そんな薄着のヤツ見てたら普通は寒くなるだろ??」
「そうかぁ??
 ・・・まぁ、お前の厚着を見てると見てるこっちが暑くなるからなぁ・・。
 それと同じ感情か?」
「まぁ、そんな感じ。
 だからさー、頼むからせめてつなぎの上になんか着てくんない?
 俺、見てるだけで寒くなるから」
「や、だ」
「えー」
「『えー』じゃない!!これ以上何かきたら暑くてのぼせちまうだろ!」
「・・・これ以上ってTシャツとつなぎしか着てないじゃん?」
「・・・・んなわけねーだろ」
「え?違うの??だってこの前ヤッたときは・・・、うぉ!!」
「むーさーしーのー?」
「・・は・・・はははは・・・間一髪・・・」
「・・・ふん」
「(相変らず乱暴だよなぁ・・・ま、いいや・・)
 ・・あの時はTシャツしか着てなかったよな?」
「まぁ、な。家の中はそれで十分だし」
「・・・全然十分じゃねーでしょ?特に東上ん家は」
「あ?」
「いえいえいえいえ!!なんでもありません!!」
「・・・・・」
「本当だって!だから拳を握らないで!!で、でさ!」
「・・・・なんだよ?」
「東上、今は下になんか着てるわけ??さっきの言い方だとそうなるよな?」
「・・・まーな」
「何着てんだ??あ、まさかのTシャツ2枚重ね??」
「アホか!!・・・、まぁ、昔はそれもやったけど」
「・・・やってたのかよ」
「う、うるさいな!!で、今だけど!」
「うん?」
「最近は時代が進歩していいものが出だから、
 ちょっと高かったけどそれ買って着てる」
「ふーん?ソレって何?」
「・・・たしか・・・ヒーテック・・・?」
「・・・ヒー・・・、テック?」
「ああ・・・、ユニ○ロで売ってる・・・」
「・・・・ユ○クロ・・・?ああ!あれか!」
「分かったか?」
「・・・・まぁねぇ・・・・」
「お前も着てんの?」
「・・・うん、俺も着てる。あれ、あったけーし?」
「だよなぁ〜。いいよな、ヒーテック!動き回ると更に暖かくなるし」
「・・・とーじょーさぁ〜」
「?」
「もう一回言ってみ?」
「は?」
「だから、ユニク○の何だって?」
「○ニクロの?・・・ヒーテック?」
「・・・・ヒートテック」
「?」
「多分ソレ、ヒートテックだと思うけど?」
「・・・・!」
「ヒーテックって言わないわけじゃねーし、あると思うけど。
 でも世間一般的には電化製品のような気がするぜ?」
「・・・・!!?」
「東上って以外におっちょこちょいなんだな〜。
 ま、意外な一面発見!って感じで可愛いけど?」
「・・・っ」
「とーじょー?」
「・・・・・」
「あれ?あれあれあれ??真っ赤になっちゃって!かーわーいー!」
「う、うるさいな!!もうぜってーに着ない!!」
「・・・そうしたら寒くなるぜ〜?」
「そうしたらお前に暖めてもらうからいい!」
「へ?」
「・・・なんだよ?嫌なのかよ?」
「いやいやいや!!滅相もございません!!」
「ふん」
「・・・ほんと・・ツンデレだよなぁ・・」
「あ?」
「・・・・なんでもねー・・・」
「?」


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