〜人身事故と発煙〜 早朝・・・・。 「・・・・はぁ」 「おい、武蔵野!」 「・・・・んぁ・・・?ああ、とーじょーか・・・、はぁ・・・」 「・・・・珍しく落ちこんでんな、お前」 「ん〜?・・・あぁ、まぁ・・ねぇ・・・、はぁ・・・」 「そんなにショックだったのか?」 「ショックもショック・・・、大ショックよ・・・人身だぜ??慣れねーよ」 「武蔵野・・・・」 「はぁ・・・、おかげで西武には『このハメハメハ大王が!』文句言われるし・・」 「いつものことじゃねーか」 「・・・有楽町にも『またか!』って言われるし・・・」 「・・・・それは・・・日ごろの行いのせいだろ?」 「伊勢崎にも『はぁ!?』って言われたし・・・」 「・・・・伊勢崎でなくとも『はぁ!?』って言ったんじゃねーか??」 「京葉はニコニコ笑ってるだけだし・・・」 「・・・京葉??ま、まぁ会ったことはねーけど文句いわねーならいいじゃん?」 「あと・・・・」 「?」 「・・・・あと、これから東上にも怒鳴られる予定だし・・・」 「・・・俺?」 「そ、いっつも怒鳴るじゃん?『この国鉄が!!』って」 「・・・それは・・・、お前が少しの雨風で止まるから・・・」 「はぁ・・・、ま、別にいいんだけど。慣れてるし・・・はぁ・・・」 「おい、武蔵野」 「はぁ・・・、JRはついに俺を見捨てたんだ・・」 「はぁ?」 「だって人身起こしてストップしてるのに京葉といい他のJRも何も言ってこないんだぜ?」 「・・・・ふぅん(コイツが止まるのは日常茶飯事だからか?)」 「あぁ・・・、俺はついにJRに見捨てられたんだ・・・。 雨でも風でも遅延する、俺・・・。JRはそれでいいって言ってくれたのに・・・はぁ・・」 「おい・・・武蔵野?」 「ああ・・・JRに見捨てられたな俺、生きていけない・・・」 「んな大げさな・・・、JRが見捨てるわきゃねーだろーが!」 「・・・・・」 「武蔵野・・・(ったく、仕方ねーな!)ほら!」 「?」 「飴やるから!元気出せよ!で、さっさと遅れを取り戻せ!」 「・・・東上?」 「いつものお前はどうしたんだよ?何言われても『俺は気にしません』って顔の図々しいお前は!」 「・・・あらぁ?俺ってばそんなイメージ?」 「ま、ハメハメハ大王だからな!」 「・・・・そこまでぐぅたらじゃないつもりなんだけど?」 「そう思ってるのはお前だけ!ほら、さっさと飴食べろ!疲れてるときは糖分補給が一番だ」 「・・・・東上が怒らないうえに飴までくれるなんてなんか起きそうで気持ちわりぃわ・・」 「不吉なこと言うなよ!俺だって鬼じゃねーんだ! 人身で遅延なら怒ったりしねーよ、しょうがねぇだろ?人身はさ・・・」 「・・・・なるほどねぇ・・・、ん?あり?」 「なんだ?」 「・・・とーじょー・・、この飴さ、溶けてるんだけど?」 「!!!・・・・うっ!!うるさいな!!胃に入れば皆同じだろー?」 「・・・ま、そうだけどね・・・・」 「武蔵野・・・」 「んー?」 「・・・人身は・・・その、防ぎようがないアクシデントだ! 慣れろとはいわねーけど・・、あんまり落ち込むなよ」 「・・・ん、サンキュー」 ・・・んで、昼下がり。 「・・・・・うぅ」 「あらぁ・・・?今度は東上のトコで人身か・・、不吉な予想は当っちゃったわけね」 「うるせーよ武蔵野・・・、はぁ・・・」 「とーじょー?血まみれだぜ??とりあえずシャワー浴びてきたら?」 「んなヒマはねーよ・・・、これから他社に振り替え依頼と・・・、 あ、その前に救急車・・・いや、警察か・・・・、南無阿弥陀仏〜」 「・・・南無阿弥陀仏って・・・(まだ生きてるかもしれねーのに・・・)」 「それにしても・・、うぅ・・・、なんで飛び込むんだーーー!? 今のご時世、辛いのはみんな同じなんだぞ!!」 「まぁまぁ、落ち着けって!今朝、東上が俺にいってたじゃん?人身はしょーがねーって!」 「そーだけどさ・・・・、うぅ・・・・」 「なんならホームにポスターでも貼るかぁ? 『ちょっと待て!命はひとつ、大切に』ってな!」 「・・・自暴自棄の人間がんなもん見るかよ・・・、 第一そんなポスター貼ったら苦情がきそうだ・・・・」 「あらぁ・・・?ま、そうかもな・・・。ならよ、 『恋人の、変わりは出来ても、命の変わりはありません』とかどーよ?」 「・・・・ぷっ!あんまりかわんねーだろ?」 「お!やっと笑ったな!」 「へ?」 「東上さー、さっきから超!顔が真っ青だったぜ?」 「マジ?」 「マジもマジ!ま、人身だから仕方ないけど・・・、 お前がそうだと他の駅員も不安がるぜ?笑顔笑顔・・は無理でも普通の顔!」 「!!・・・そうだな・・・、うん、元気ださねーと」 「そうそう!東上は怒ってる姿のが似合ってるぜ??人身は仕方ねー事だし、落ち込みなさんな!」 「・・・・どっかで聞いた台詞だな」 「そー?ま、俺も今朝、誰かさんから聞いたからかもよ?」 「ははっ!」 「ってなわけでホラ」 「?」 「チ■ルチョコ!特別に2つやるよ」 「・・・・??」 「疲れたときは甘いもの、だろ?今朝の溶けた飴のお返し」 「溶けた、は余計だ!!・・・・でもサンキュー」 んでもって別の日。 「おーい!とーじょー!!!」 「・・・・武蔵野?」 「へへっ」 「へへっ、じゃねーよ!ここ、和光市だぞ??何しに来た??」 「今日は順調だから遊びに?」 「首傾げんな!俺は今、忙しいんだよ!」 「ふーん・・・?なんで??」 「メトロがこねーんだよ!有楽町も、副都心も!」 「あら、まぁ・・・?車両故障かね?」 「知らん!」 「知らん、って・・・・、お、来たみたいだぜ?」 「!!本当だ!!どっちだ??」 「さー?あいつら車両が共用だからねぇ・・・・、あ、でも和光市止まりだ」 「意味ねーじゃねーか!・・・・降りてきた!!どっちだ??」 「・・・・髪が短い・・・ってことは副都心か?」 「みてぇだな・・・、おい!副都心!」 「・・・・あ、東上さん・・・と、あれ??武蔵野さん??」 「よぉ!」 「おい!副都心!!どうなってやがんだ!?」 「ああ、東上さん、すみません・・・ちょっと発煙してしまいまして・・・」 「・・・発煙??」 「ええ・・・、最近、多いんですよねぇ・・・、おかげでこんなナリですよ」 「・・・真っ黒だな」 「ようやく落ち着いてきたんで僕は一足先にきました。連絡が遅くなってすみませんねぇ。 しばらくの間は直通は中止になると思います・・・。 ああ、先輩ももうすぐ来ると思いますよ・・・・、 ってこんなことしてる場合じゃない!早く渋谷に折り返さないと!!」 「おいおい、お前もちょっと落ち着けよ?」 「そうもいきませんよ、武蔵野サン!早く行かないと車両が詰まってしまいます」 「あらぁ・・・?ま、そうだよなぁ・・・」 「副都心!」 「・・・なんです?東上さん・・・小言はあとで・・・」 「ほら!」 「?」 「・・・・疲れてると判断力が鈍るからなそれ舐めて糖分を頭に回せ」 「・・・・飴、ですか?」 「お!東上お得意の溶けた飴か!」 「・・・溶けてるんですか?」 「武蔵野!余計なことは言うなよな!飴は飴だろ?舐めちまえば同じなんだよ!」 「・・・確かにねぇ・・・・」 「・・・・ちょっと気になりますけどありがたく頂きます・・・・、あ、本当に溶けてる」 「これ、キャラメル味ですか?」 「苦手か?ちなみに武蔵野にはオレンジ味をやったんだ」 「そうなんですか・・・?ありがとうございます。 では僕はこの車両を上りのホームにもって行ってそのまま渋谷に向いますので」 「おお、気をつけてな」 「・・・・・ふふっ」 「??なんだよ?」 「いえ・・・、怒らない貴方は珍しいので・・・」 「そーそー!最近の東上は怒らないよな!」 「人身も発煙も仕方ねぇアクシデントだからな!」 「なるほど・・・・、では僕はもう行きますね」 「気ぃつけてなぁ〜」 「・・・・あいつも大分疲れてるみたいだな」 「んー、そうねぇ・・・・って、本当に大分お疲れみたいだねぇ・・・。 行き先がまだ『和光市』になってるぜ???」 「本当だ!おーい!副都心ーーー!表示が直ってねーぞ〜???」 「・・・お、直った・・・。あ、東上」 「ん?」 「有楽町が来たみたいだぜ〜?」 「本当だ・・・、あいつも真っ黒なのかな??」 「さぁねぇ・・・・?」 そんでもって余談↓ 「いやぁ・・・、先輩!今日は大変でしたね!発煙!」 「・・・・ああ、そうだな。行き先を『和光市』から『新木場』に直し忘れるし」 「あ、それ僕もやらかしました☆直前で東上さんが教えてくださいましたけど」 「俺も・・・・、そういえば東上から飴をもらったなぁ・・・、武蔵野からはチョコ・・・、あ、副都心」 「なんです??」 「これ、お前の分だって、武蔵野からチ■ルチョコ」 「へぇ〜?最近はかわった味があるんですねぇ」 「そうだな・・・、東上から貰った飴は素朴な味がしたけど・・・」 「素朴な味、ですか?」 「うん。パインの味・・・かな?溶けてたからちょっと味落ちしてたけど美味しかった」 「パイン?僕が貰ったのはキャラメル味でしたけど・・・・」 「キャラメル?」 「ええ、因みに武蔵野さんはオレンジ・・・って、あれ?」 「?」 「僕がキャラメル味、先輩がパイン、武蔵野さんがオレンジって・・・、先輩」 「・・・?」 「東上さんってなかなかしゃれたことをしますね☆」 「は?」 「僕がキャラメル味、先輩がパイン、武蔵野さんがオレンジなんですよ?」 「???それがどうし・・・・、あ!」 「シンボルカラーですか?武蔵野さんは制服の色ですね!」 「な、なるほど・・・・、 副都心はブラウンだからキャラメル、俺はゴールドだからパイン、 武蔵野はオレンジだからオレンジ、か?」 「ま、なんにせよ今回は東上さんや西武さんに怒鳴られなくて良かったですね☆」 「そうだな」 「ま、東上さんも西武さんもこの時期は沿線火災や人身事故で最近よく止まるから怒鳴るに怒鳴れないんでしょーね☆」 「ははは・・・・、副都心?」 「なんです?」 「頼むから東上や西武の前ではそれを言うなよ?」 「眠った子が起きちゃいますもんね?わかってますよ☆」 「・・・・(不安だ)」 戻る |