「おい!副都心!!」 「おや?東上さんじゃないですか〜! どうしたんですか?あ、ついに僕と子作り・・・」 「するつもりはねー!!ってこの前も言っただろ!」 「なんだ、残念」 「あ?」 「いいえー!なんでもありません。それで御用はなんですか?」 「・・・変なヤツ!まぁ、いいや。 でさ、昨日、TVを見てたらさ・・・」 「ええ」 「東急電鉄の特集みたいなのをやっててさ」 「へー・・、そうなんですか?」 「お前、見てないのか?」 「残念ながら」 「そうか・・・」 「それでそのTV番組がどうしたんですか?」 「・・・ああ。その番組で運転席の中身も見せててさ」 「そうなんですか?めずらしいですねぇ」 「ああ、俺もそう思った。で、言いたいことはココからなんだけどさ」 「ええ」 「・・・運転席のとある場所がさ・・・『地下鉄・西武・東武』ってなってたんだよな」 「・・・・・へぇ・・・・」 「お前、なんで明後日の方向を見てんだ?」 「いえ、別に・・・意味は無いですよ。 ・・・・・それで?」 「ああ・・・、あの話はあれ以降これといった話が俺のとこまできてなかったから、 だから安心してたんだけど・・・・昨日の番組を見てまさか、って思ったんだよな」 「まさか、とは?」 「・・・・東急ってやっぱ俺の路線も・・・」 「・・・ふふっ」 「!!な、なんで笑うんだよ!?」 「ああ、すみません。でもなんだかおかしくて・・・。 ねぇ、東上さん?」 「あ?」 「いい加減に現実から目をそむける癖はやめたほうがいいですよ」 「!!?どういう意味だよ!?」 「貴方、さっきは『これといった話が俺のとこまできてなかった』 と、おっしゃってましたがそんなことはないでしょう?」 「・・・・ぅ」 「だって貴方のところのポケット時刻表の車両の表示が『元街・中華街』になってますし・・」 「!!??」 「ですから『これといった話が俺のとこまできてなかった』とは言えないでしょう?」 「・・・・お前、やたら俺のとこの事情に詳しいな」 「そうですか?まぁ、いずれ東武副都心線が出来た暁にはご挨拶に伺わなくてはいけませんし、 それなりにお嫁さんの事情は知っておきませんと・・・、ね?」 「人を勝手に嫁にすんな!!それに!!東武副都心線なんてつくんねーよ!!」 「まぁ、まぁ、強がらなくていいんですよ?」 「強がってねー!!」 「東上さん!」 「なんだよ!?・・・てか、なんで腕を掴むんだよ?」 「いえ、据え膳喰わぬはという言葉もありますし」 「は?」 「せっかく貴方がこうして出向いてきてくれたのをみすみす逃すのも勿体無いでしょう?」 「何の話だ?」 「・・・現実から目を背けるのはやめたほうがいいですよ?」 「さっきも聞いた・・・、だけどこの場合のその言葉は意味がわかんねーけど?」 「・・・・東上さん、鈍いんですねぇ・・・」 「鈍いって・・・、げっ!!ちょ・・・ 何すんだよっ!!」 「この状況でそれを聞かれるとは・・・・、 この間は貴方がどうしても嫌だって泣いて訴えるから途中でやめましたが、 今日はやめませんよ・・・?この前と違ってここは僕の部屋ですし?」 「・・・・っ」 「・・・東上さん」 「・・・・そ」 「そ?」 「そんなに●●副都心線が欲しいなら東急に頼んだらどうなんだよ!?」 「・・・東急さんですか?」 「そうだ!!別に俺でなくともいいだろ!?お前は●●副都心線ってのが欲しいだけなんだから!」 「・・・・ふふふっ」 「な、なんだよ!?」 「僕だってバカじゃないんですよ?ちゃんとその辺は考えた上での結論です」 「・・・・考えたって?」 「東急さんと東上さん・・・、抱きたいのは貴方だ、ということです」 「!!だ、抱くって・・・」 「子作り、といったら当然そうでしょう?」 「そ、そうだけど・・・いや、でも俺は・・・」 「ゴチャゴチャ考えてるからダメなんですよ? いいから僕に全て任せてみませんか? 悪いようにはしませんから・・・・・」 「・・・・俺・・・俺は・・・・」 「それに最初に言ったとおり、僕は貴方のこと捨てたりしませんよ? どこぞの私鉄みたいにね・・・・・・」 「!!?」 「東上さん・・・、僕と・・・・」 「俺は・・・俺は・・・・」 「『俺は』、なんです?」 「俺は・・・」 「へ?あ、うわっ!!ぐぇぇぇっ」 「捨てられてなんかいねぇーーーーーー!!」 「ちょ、ちょっと!!東上さん!!落ち着いて!!苦しいですって!!」 「俺は・・・俺は・・・東武副都心線なんかぜってーに作らないからな!!」 「わかりましたから!!落ち着きましょう!!」 「・・・はぁ・・はぁ・・・本当にわかったんだろうな・・?」 「ええ」 「本当だろうな?」 「嘘はつきません」 「よぉし・・・・」 「・・・・ほっ・・・、苦しかった」 「これに懲りたら東武副都心線の話はすんなよな!」 「わかりました」 「よし!」 「・・・今日のところはもう言いません」 「あ!?」 「明日のことは約束しませんよ?」 「おい!ふくと・・・、っ」 「・・・・・・」 「ん・・・んぅ・・・、はぁ・・・」 「・・・ね?別に気持ち悪くないでしょう?僕とのキス」 「・・・・っ」 「まぁ、時間はたっぷりありますしよく考えてみてください。それではまた明日」 「・・・・っ」 「・・・帰らないんですか?」 「・・・・・」 「・・・東上さん?早く帰らないと襲っちゃいますよ?」 「!!う、うるせーな!か、帰るよっ!!」 「・・・・あーあー・・・、あんなに慌てて帰ったら転んじゃいますよ〜。 でも、ま、反応は悪くなかったかな? この分じゃ東武副都心線に出会えるのもそう遠くなさそうだ」 戻る |