〜読めない貴方〜
「おーおー、この暑い日にくっついちゃってまぁ・・・」
「あれ?武蔵野?」
「ん〜?・・・・お、八高じゃん」
「君も遊びに来たの?」
「おーよ!ドア叩いても返事がないから勝手に入ってきちゃったけどね」
「ダメだよー?他人の家に勝手に入っちゃ」
「・・・お前も入ってきてるじゃん?」
「HAHAHA!そーだネ☆」
「・・・おいおい」
「そんなことより、ねぇ武蔵野」
「そんなことって・・・ま、いーけど・・、で、なに?」
「二人とも寝てるのかな?」
「あー・・・、そーみたいね。どーりで返事がないはずだわ。
それに・・・見てみ、コレ」
「なにかあるの?」
「何かあるってーか・・・、この二人、いつもこんなんなのかね?」
「どれどれ?・・・あー・・・、はははっ」
「このクソ暑い日に、クーラーのないこの家で、こぉんなにくっついてお昼寝だぜ?
俺だったら耐えられないね〜。うっわ!想像しただけで熱中症になりそー!」
「僕もなっちゃいそう!・・・でも、これは越生の特権だよね」
「特権?」
「そ!東上に無条件で抱きしめてもらえて、
無条件に甘えられるのは越生だけでしょ?いいよネ☆」
「あー・・・、そういう意味か・・・ん?・・って、八高さぁ・・」
「なに?」
「・・・お前、越生に対して『いいよネ☆』なぁんて、もしかして東上が好きなわけ?」
「ん?何のことかな??」
「・・・はぁ〜・・・、相変らず読めないヤツだよね、お前」
「そ?僕からしてみれば武蔵野も読めないヤツだよ?」
「そぉかぁ??」
「そうそう!そのやる気のなさそうな喋り方とか、表情とか。
ある意味、東上より『無表情』なんじゃない?」
「無表情〜??俺は表情豊かだろ??
つーか東上だって喜怒哀楽豊かなんじゃね?
あ、東上は喜・怒・哀までしかねーかな??」
「そう?楽、もあると思うよ?越生といる時はよく笑うし楽しそうだよ?」
「おお!そっか!俺、いっつも怒と哀、秩鉄といるときの喜しか見てねーから忘れてたわ!」
「そう考えると東上は感情表現が豊かだよね」
「・・・・そーかねぇ・・?んでもよ、結局無表情の時が多い気が・・・」
「そんなことないよ?今度もっとよく見てみなよ。ちょっとしたことで表所が少しだけ動くから」
「へぇ?例えばどんな時よ?」
「・・そうだぇねぇ・・・、迷子の子供がお母さんと会えたときはホッとした顔になってるし」
「・・・ふーん」
「春に桜が満開になってるのをみると頬が綻んでるし」
「へーえ」
「褒めたりすると怒った顔ながらも照れてるのが分かるし」
「・・・・・なるほどねぇ・・・、なぁ、八高」
「うん?」
「お前さ、やっぱ東上が好きなんだろ?そんなによく見てるって事はさ」
「・・・・嫌いじゃないよ☆」
「ソレ、一番汚い答えって知ってるか?」
「そうなの?」
「そうだろー?ま、いーけどさぁ・・・・」
「いいんだ?ライバルが増えたかもしれないのに?」
「・・・・・ライバルって・・お前、やっぱり・・」
「んー??僕、今何か言った??」
「やっぱきたねーヤツ!って、長々と話してたら今度は東上が越生を抱きしめてら」
「ああ、本当だね☆抱き枕に丁度いい大きさなのかな?」
「生意気でもガキはガキ、小さいからなぁ。抱きしめるには丁度いいサイズなのかね〜」
「・・・うらやましい?」
「んー?・・・そうねぇ・・・、いっつも殴られるか蹴られるか怒鳴られるか、
の俺からしてみたら羨ましいかも・・・?」
「それは遅延・運休がおおいからじゃない?」
「それは八高もだろー?最近、大雨でよく運休してたじゃん」
「線路陥没じゃ走れないでしょ?仕方ないよー」
「俺だって仕方ねーのよ、風が強いとあぶねーから」
「そっかぁ!そうだよね☆」
「そーそー!で、お前はどうなん?」
「ん?何が?」
「越生!東上に抱きしめてもらえるの羨ましいのか?」
「僕は・・・そうでもないかな?」
「へぇ?なんで?」
「そりゃ、越生は無条件で東上の傍にいられるから良いな、とは思うけど」
「・・・けど?」
「けど、それだけでしょ?」
「それだけって?」
「越生は東上とイイコトできないよ?」
「・・・イイコトぉ?それって・・・・」
「できてもキス止まりだよね?それもすごくフレンチな?」
「・・・まぁ・・確かに(子供じゃ押し倒せねーわな。俺も努力が必要だけど)」
「越生は優しい顔の東上を見られるけど、可愛い泣き顔をした東上は見られないんだよ?
僕なら無条件で甘えられる立場より、可愛い泣き顔を見られる立場がいいな」
「なるほどねぇ・・、そう考えると俺も今のままがいいかな?」
「でしょ?」
「んー・・、それより八高、お前さぁ・・」
「・・・嫌いじゃないよ?」
「・・・先に答えんなよ!つーかその答えは一番ずるいんだって!」
「HAHA!さっきもそう言ってたねぇ?」
「ほんと!お前って読めないヤツだよ」
「HAHAHA☆・・・それにしても本当によく寝てるねぇ、二人とも」
「そうだな。・・・昼飯食わせてもらおうとしてたのに・・・。
このまま引き上げるのもアレだし、起こすか〜」
「どうやって?」
「どうって・・・そりゃ、寝入り姫を起こすのは・・キスしかないっしょ?」
「キス?」
「寝起きならボー・・としてそういう悪戯しても殴られねーだろうし」
「そうかもねぇ、で、武蔵野がするの?」
「ん?なになに?なによ?俺がしたら困るわけ??
八高は東上を『嫌いじゃない』だけで『好き』なわけじゃないんだろ?」
「あー・・そうくるんだ?」
「で?結局お前は俺が東上にキスしたら困るわけ?」
「んー・・そうだねぇ・・困るかもねぇ・・・」
「へぇ?なんでよ?好きなわけじゃないんだろ?」
「僕、東上のこと好きだよ!」
「・・・・あっそ、やっぱりお前ってずるいヤツだよ」
「ありがとう☆」
「褒めてねーし?」
「ライバルって増えると燃えるでしょ?」
「確かに燃えはするけどさ・・・」
「これからが楽しみだね☆」
「・・・やっぱお前って読めねーヤツだわ」
2010/8/14
ありがとうございました。
結局このあと、二人の話し声が五月蝿くて目覚めた東上に二人は殴られます、きっと。
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