〜伊勢海老と大師君〜 「高崎・・・、東武の子だよ」 「あ?・・あー・・・、あのチビ助か」 「あ!宇都宮と高崎だー♪」 「やぁ、大師」 「よぉ、・・・一人か?伊勢崎は?」 「んとねぇ!いささきは宿舎のお掃除中!大師は晩御飯のお手伝い中!」 「・・・晩御飯の手伝い?」 「釣竿にバケツを持っているし釣りにでも行くのかな?」 「うん!」 「その首からぶら下げてる虫篭はなんだ??」 「ライト!」 「・・・ライト??虫篭ってライトになるのかい?高崎」 「んなわけねーだろ!・・・大師、どういう意味だ??」 「この虫篭にはねぇ、蛍さんが入ってるの!! 暗くなると光って大師の居る位置を教えてくれるんだって!!だから危なくないの」 「・・・蛍?・・へー?見せてくれるかい?」 「うん!いーよ」 「どれどれ・・・?って・・・・、蛍か、これ?コオロギじゃなくて??」 「うん!そーだよ!蛍さん!」 「・・・・僕には蛍には見えないけど・・・かといってコオロギにも見えないけどね」 「(うっ!!)・・・俺だってコオロギには見えねーけど!!認めたくない現実なんだよ!!」 「これ、本当に夜になると光るのかな??」 「うん!光るよ!!見せてあげるね」 「見せるって・・・、ああ、バケツ被せて暗くすんのか・・・」 「ほら!光ったでしょ!?」 「・・・本当だ・・・光ってる・・・」 「本当だねぇ・・・?でもお尻だけじゃなくて全身、光り輝いてるのもいるけど・・・」 「・・・なぁ、宇都宮・・・、この蛍って・・・」 「うん?」 「やっぱさ、ゴキ●リに蛍光塗料を塗った偽者・・・、だよな?」 「そうだね、コオロギじゃなくてゴ●ブリに蛍光塗料を塗った偽者だろうね」 「いたいけな子供を騙して・・・東武って大丈夫なのか??」 「貧乏ゆえの苦肉の策なんだろうねぇ・・、 なにせ子供に夕飯の材料を釣ってこさせようとしてるくらいだし」 「・・・・ははは・・・、なぁ、大師?」 「なぁに?」 「ちなみに今夜は何を釣って来いって言われてんだ??」 「今夜はねぇ・・・、コレ!!」 「コレ・・・?ああ、写真があるのか???ん?コレって??」 「川の伊勢海老ーーー!」 「・・・は?川の伊勢海老??」 「うん、川の伊勢海老だよ!そこの川に沢山居るの! 大師、いっつも20匹くらい釣ってっていささきに褒めてもらえるの!」 「・・・高崎・・・・」 「言うな!!宇都宮!」 「でもねぇ・・・、僕にはこの写真のアレがどう見ても伊勢海老には見えないんだよね」 「俺だってザリガニにしか見えねーよ!!」 「・・・君にもザリガニに見えるんだ?? あー・・、良かった!僕の目は節穴じゃないみたいだ」 「(笑顔でいう台詞かよ!)・・・だ、大師?」 「なぁに??」 「・・そのザリガ・・・じゃなくて、伊勢海老って美味いのか?? つーか、そもそも喰えんのか??」 「うん!おいしーよ!」 「・・・聞いたか??美味いらしいぞ!宇都宮!!」 「味覚が音痴なんじゃない?この子。 まぁ、この子ってゆーより東武の大人たちが、かな?」 「・・・ちなみにどんな味がするんだ??」 「・・・んっとねぇ・・・、甘エビさんみたいな感じ! あとお味噌もおいしいよ!!チューチュー吸うの!」 「・・・・味噌まで食ってんのかよ!?」 「まぁ、カニも海老も味噌はおいしいからねぇ・・・」 「ザリガニは違うだろ!?てか腹はこわさねーのか??」 「伊勢崎や日光が腹痛で運休しているのは見たことないよね」 「・・・ま、そうかな?? じゃ、ザリガニって食っても平気なんだな??」 「これまで何もなかったんだから平気なんだろうね」 「ねー?宇都宮、高崎!」 「あ?」 「なに?」 「大師、もう行っていー?伊勢海老さん釣らなきゃなの!」 「・・・お、おお・・・!引き止めてゴメンな?」 「・・・がんばって沢山釣るんだよ?」 「うん!大師、頑張るー!頑張って沢山釣る! 伊勢海老さん沢山釣れば、とーじょーまでいけるようになるんだって!」 「・・へ、へぇ??」 「・・・ここでも大人の汚さがにじみ出ているね」 「じゃーねー!」 「おお!気をつけろよーー」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・・宇都宮」 「なに?」 「何か話せよ」 「君こそ話しなよ」 「俺は今、悲しみで胸がいっぱいで何も言葉が出てこねーんだよ」 「・・・・奇遇だね、僕もだよ」 「え!?お前も!!?」 「・・・・・君ねぇ、僕だって鬼じゃないんだよ? いたいけな子供が汚い大人たちに汚されていくかと思うと胸が痛いよ」 「今度、大師にあったら菓子でも買ってやるかな」 「・・・その時は日光や伊勢崎には内緒にしてあげないとね」 「・・・伊勢崎はともかく日光は五月蝿そうだもんなぁ」 「そういえばさ」 「あ?」 「あの子、伊勢海老はキチンと言えるんだね」 「どういうことだよ?」 「だって伊勢崎はいささき、でしょ? 伊勢海老はいさえびにならないのかな??」 「・・・伊勢のあとがサ行じゃなければ舌がまわるんじゃねーの?」 「・・・・ふぅん?」 「・・・って、あ!もう3匹も釣ってら」 「本当だねぇ・・・・、それにしてもドブ川のザリガニって健康に悪そうだね」 「・・・だな・・・、あ!」 「今度はなに?」 「・・・向こうから亀戸と佐野が来たみてーだ」 「本当だねぇ・・・、しかも釣竿持ってる」 「・・・・みんなでザリガニ釣るんだよ・・な?」 「だろうね・・・、あの子達もザリガニを伊勢海老って教えられてるのかな??」 「・・・・わかってても文句は言えねーんじゃねーのか?」 「だとしたら東武って本当に可哀想を通り越して哀れだね」 「・・・・・だな」 「僕ら、JRでよかったねぇ」 「・・・・ああ、本当にな」 **因みにザリガニは食べられるんですよ** 戻る |