〜東武のお歳暮〜
「ねー?にっこー?」
「あー?」
「今年もお歳暮の季節だよ」
「・・・それが?」
「お歳暮の時期なんだよ?」
「・・・だからそれが?どーした?」
「わかっているくせに!東上のところに『とちおとめ』!」
「・・・・・」
「なんで睨むのさ?」
「・・・なんでって!あたりまだろーが!
あいつからは送られてこねーってのに、なんで俺らはあいつらに贈るんだよ!?」
「・・・はぁ?何言ってんのさ?俺たちだって贈ってないじゃん?」
「『とちおとめ』を毎年贈ってんじゃねーか!」
「・・・・・日光?」
「あ?」
「・・・・ひょっとして、知らない、とか言わないよな?」
「・・・・・?何を??」
「あー・・、そー・・・?ふーん?やっぱ知らないんだ?」
「・・・伊勢崎?」
「・・・JRやメトロ、そのほかの会社に贈っているお歳暮、なんだか知ってる?」
「????さー?いつもお前にまかせっきりだしな」
「・・・・だよねぇ?」
「(・・ぐっ!笑顔が怖ー・・・)あ、あの・・・・」
「・・・ジャムだよ。イチゴジャム!」
「・・・ジャム???」
「だからお歳暮!ジャムを贈ってんだよ?」
「へー・・・?イチゴジャムねぇ・・・・、ん?(って、まさか・・・)」
「分かったみたいだね?
・・・俺たちも東上のとこも正直、貧乏だろう?
最近はスカイツリーのためにますます切り詰めてるし」
「・・・・まぁ、な」
「で、苦肉の策で、東上とも相談した結果の結論なんだよ!?」
「だからってお前・・・・」
「いーじゃん?俺たちは少し高めの『とちおとめ』を東上に送って、
東上は砂糖とかそのほかの材料を買ってジャムを作る!
で、できたそれをまた俺らのとこに送ってきて、
東上は東上の関係者達に、俺たちは俺たちの関係者達に配る!
何の問題もないだろ!?わかったら『とちおとめ』!
日光のとりえはその顔なんだから、
農家のオバチャン達をたぶらかして少しでも安く仕入れてきてくれなきゃ!」
「・・・・俺はジゴロか詐欺師かよ」
「とりえを活かせって、って言ってるだけだろー??
ほら!分かったらさっそと行ってくる!」
「・・・ヤダよ、めんどくせー・・・」
「・・・・・・」
「つかお歳暮くらいキチンと買えよな」
「・・・・・・」
「ったく、そうでなくとのJRには日ごろからバカにされてんのに、
よりにもよって手作りのジャムなん・・・・、っ、!!!!」
「・・・・・・」
「・・・い、いせさき??(目がすわってんぞ、おい)」
「・・・・」
「・・・・(やばい・・・、あの目つきはやばい!!)な、・・なぁんてな・・・ははっ」
「日光?」
「『とちおとめ』だろ!りょ、了解だ!!無駄に笑顔をばらまいて買ってきてやるよ!」
「・・・・・本当に?」
「おう!お前のダイスキなこの顔で笑顔振りまいて安く買ってきてやるよ!」
「・・・・、さすが日光!じゃ、まかせたからな?」
「お、おう!(・・・・ほっ、険呑な雰囲気が消えた)」
「配るところは沢山あるし、ジャムにすると容量が減るらしいから、沢山だよ?」
「ああ・・・わかった・・・・」
「よし!これで今年のお歳暮も安泰っと!
あ、東上に電話しておかなきゃ〜。大師はどこかな??」
「・・・大師??」
「東上に電話するときは呼んでね、って頼まれてるからさ」
「・・・・あ、そ。」
「・・・・宇都宮」
「やぁ、日光」
「・・・・これ」
「・・・なに?」
「・・・・お歳暮・・・、伊勢崎がお前にって、あとこれは高崎の分だとよ」
「お歳暮・・・?ああ、毎年くれるあのジャムかな??」
「!!!(ぐっ、ぜってーにバカにしてる目つきだ!くそっ!だから嫌だったんだよ!)」
「どうかした?」
「・・・別に・・・」
「そう?そのわりには顔が怖いけど?」
「てめーの気のせいだよ!それよりいるのかいらねーのか!?
受け取るのか受けとらねーのかはっきりしやがれ!」
「え?もちろん頂くけど?」
「あー!そーだろうな!JRサマはこんな手作りジャムなんていらねーよ・・・、は!?」
「なに?」
「・・・・今、いる、って言ったか??」
「言ったけど?」
「・・・・マジで???」
「何を驚いてるの??お歳暮なんでしょ??貰うに決まってるじゃない」
「・・・決まってんのかよ??ただの手作りジャムだぞ??」
「それが??」
「それがって・・・、JRサマはもっといいのが買えるだろーが!?」
「・・・・ああ、そういうこと・・・・、ぷっ!」
「なに笑ってやがる!?」
「君って変なところにプライドが高いよねぇ・・・、
だから伊勢崎のことも肝心なトコで落せないのかな?」
「でっけーお世話だ!」
「それは失礼・・・?
それでね、確かに僕はジャム専門店とかで高級なジャムを買うくらいワケないけど」
「あー・・そうですか・・・、だったらなんで貰うんだよ?」
「高級品も美味しいけど、手作りの味には適わないものがあるからね。
その逆もしかり、だよ?
僕は甘いものが好きだし、東武さんからのお歳暮はこれでも楽しみにしてるんだけど・・?」
「・・・・!!」
「ビックリ、って顔だねぇ・・・・」
「実際におどろいるからな」
「ふーん・・・?で、もらっていいの??」
「あ、・・おう・・・、高崎の分もな」
「うん、ありがとう」
「・・・・・・」
「・・・・なに?」
「いや、・・・素直に礼を言うお前が気持ち悪くて・・・」
「・・・君ってたまにデリカシーがないよね?だから伊勢崎が落せないのかな?」
「うっせーよ!!」
「僕だってたまには素直にお礼を言う時くらいあるよ?
君もたまには素直になってみたら?」
「あ?」
「そうしたらこのイチゴジャムみたいに甘酸っぱい関係になれるかもよ、伊勢崎と」
「だからでっけーお世話だ!!!」
2010/12/12
ありがとうございました。
ただなんとなく作ってみたお歳暮の話なので起承転結がまるでありませぬ。。。
このあとイチゴジャムで「うつたか」を書いてみたかったけど、
変態プレイになるのでここで話を終えました。
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