**R18・・・くらい?**



「僕、先輩が好きなんです」


そんなこと言われなくても知っていた。
シン・・・と静まり返った夜の和光市の休憩室で、
机に伏せるように副都心は眠っていた。
どうやらお酒を飲んでいてそのまま寝入ってしまったらしい。
その証拠に彼の手にはグシャッと潰れた缶ビールの缶が握られている。
それにしても・・・、今の時期、こんなところで転寝などしていたら風邪を引いてしまう。
風邪を引く→運休→自分に迷惑がかかる、という図が咄嗟に思いついた東上は、
ため息を吐きながら彼の肩にそっと毛布をかけてあげた。
その時だった。
突然に腕を掴まれたかと思うとそのままものすごい力で床に押し倒されていた。






〜想いの先〜







『僕、先輩が好きなんです』

そんなこと言われなくても知っていた。
自分は疎くて鈍いが、あれだけ彼を熱心に見て、尚且つ追い掛け回しているのだ。
今、自分を押し倒している副都心はお酒で酔っているとは思えないほどの力で床に東上を押さえ込み、
お酒で火照った顔を酒臭い息が東上の顔にかかるほど近づけながら何度も同じ言葉を繰り返している。


『僕、先輩が好きなんです』
『僕、先輩が好きなんです』
『僕、先輩が好きなんです』




酔っているから自分と有楽町を間違えているのだろうか?
髪の色だって目の色だって東上と有楽町は正反対だが、
酔っている相手にはわからないのかもしれない。
とにかく東上はこの状態から逃れたいので、体を捩り拘束を外そうとしながらながら小さな声で、


「・・・俺は有楽町じゃねーよ・・・、間違えんなよな、この酔っ払い」

と言ってみた、が、副都心はお酒で赤くなった顔を一瞬だけビックリしたものに変えたが、
すぐにニヤリ、と笑みを浮かべたので東上は背筋が凍った。

「そんなの、わかってますよ。貴方と先輩じゃ、ぜんぜん違うじゃないですか・・・」

ハッとバカにしたように笑われ、東上は頭に血が上った。
なら何で自分を押し倒してるんだよ!?と怒鳴りかけたが、
副都心の目がスッと氷のような冷たさを帯び始めたので言うことが出来なかった。

「先輩は・・・、僕を好きじゃないんです」
「・・・・は?」

醒めた目で東上を見下ろしたまま、副都心は喋りだした。

「先輩は、後輩としては、僕を好きだと思いますよ。でもそれは恋愛感情じゃない。」
「・・・んなの、わかんねーじゃねーか・・・」

そうだ。
そんなの実際は有楽町に聞いて見なければ分からない。
けれど東上が反論すると、冷たい目の奥には何かどす黒いものが宿って見えて、
本能的に東上は怯えてしまう。
すると副都心は面白そうに顔を歪めた。


「わかりますよ・・・」
「だって先輩は僕が『新線』のころからずっとある人物を見ているんです。
 今日もそうだった・・・・、でもね・・・・」
「・・・!!痛!!」

そこまで言うと副都心は東上の手首を縛める力を強めた。
当然だが東上は苦痛の表情を浮かべる、が、
東上が苦しそうな顔をすればするほど副都心は満足そうに笑うのだ。

「でも、酷いことに、その人物は先輩なんかこれっぽちも、見てないんです」
「・・・・っ、いてぇ・・よ!はな・・・!!」
「ねぇ?酷いですよね??僕が想っても想い返してくれない先輩が想っている人物は、
 先輩の想いに気づかずに、ずっとずーっと・・・、もう何十年も違う人物を見ているんです」
「・・・・・!」
「そのくせ先輩が、自分が嫌いな人物と話していると機嫌が悪くなるんですよ?
 ・・・・・わがままですよねぇ」

手首を握る力を段々強くすれば、
東上の手は白く変わり、血が不足し始めたのか、段々赤黒くなっていく。
けれど副都心はお構いなしに力を込め続けた・・・。

「・・・・そう、思いません?」

手首が痺れ始め段々と蒼白になってく東上をニッと見下ろし、
痺れて力が入らなくなっている東上の両手首を左手で押さえ込むと、
副都心は話した右手を東上のつなぎのファスナーへ移動させた。

「東上さん。僕はね・・・、その人物が大嫌いなんです。でも・・・」

ジー・・・・と、ゆっくりファスナーを下ろしていく。
そんなことをされれば副都心のしようとしていることくらいわかってしまう。
東上は蒼白な顔を更に青くさせながら、懸命に身体を捩るが何故か思う様に身体は動かず、
あっという間につなぎは取り払われてしまっていた。

「や、やめろ!!」

それでも力が入らない身体を何とか捩り、逃げようとするが、
それ幸いと、手の拘束は外れたが今度は後ろから抱きしめられるようにされてしまった。
表情や声とは違い、背中越しに感じる副都心の体温は温かい、が、
かえってそれが余計に恐怖を誘ってくる。
自分よりも大きな手が、片手はTシャツの中に、片手は下着の中に進入してきて、
上半身や下半身の際どい部分を撫で始めたのだった。

「・・・っ!!や、やめろ、って!!」
「・・・声が上ずってますよ?ひょっとして気持いいとか・・・?」
「そんなわけあるかよ!!いいから、離・・・、っ!!!」

その時、耳朶を舐められ、胸の飾りを抓られ、性器を擦られ、東上は身体を仰け反らせた。

「ああ・・・、気持ちがいいんですね?すごい勢いで硬くなり始めてますよ?」
「!!!!・・・ち、ちが・・・!!」
「違くないですよ?ほら?ヤラシイ音がし始めてる」

副都心の言葉どおり、東上の下半身からは濡れた音がしだしている。
ヌチャヌチャと鳴る音は紛れもなく東上の先走りで漏れた精液の音だ。

「気持いいんですね?」
「!!ひぃあぁぁーー!」

耳をベロリと舐められ、乳首を弄っていた手はいつの間にか東上の後ろの蕾へと回っていた。
下着を完全に下ろされ、前を扱かれながら、副都心の指は何の躊躇もなく押し入ってきた。

「!!あ、あ・・痛い!!」
「痛くないでしょ?痛かったら、前がこの状態のままのはずがない」

1本の指がグルリと内部を一周し、直ぐに2本目の指が入れられた。
二本の指は内部を数回だけかき回すと、今度は3本目が入れられる。

「痛い!ふ、副都心・・・!やめ・・・」
「・・・やめませんよ。さっき言ったとおりです。僕は貴方が嫌いですから・・・。」
「!!!?」

ビクン、と身体を震わせて東上は副都心を振り返った。
ここまできてようやく、なんとなくだが話が見えてきたのだろう。
すると副都心はニッコリと笑みを浮かべて、でもね、と口を開く。

「でもね、今は有楽町先輩のことはそれ以上に嫌いなんです。
 もちろん、それ以上に好意は抱いていますが、いまは嫌いという感情が大きいんです」
「・・・・・、??」

笑顔のまま副都心は話し続けるが、
東上はまったく意味が分からなかった。

自分のことが嫌いならなんでこんなことをするのだろう、とか、
好きな有楽町を、今は嫌いで、でもそれ以上に好き、だけどいまは嫌いが勝るとか。

そしてそんなことを考えているうちに副都心の指が東上の中から抜かれた。
東上は圧迫感が消え、ホッと胸を撫で下ろすが、
背後からカチャカチャと金属音がしたので、いやな予感に振り返れば、
副都心がスラックスから自分の性器を取り出して、扱いていた。

「・・・・!!」

逃げようともがくが、副都心の片手は東上の性器を握ったまま腰に回されていたので出来なかった。
グイッと腰は引かれ副都心の熱くなったものが後孔に当てられ、東上の顔が真っ青になる。

「どうぜ好きになってもらえないなら、とことん相手を苦しめるのも楽しいと思いませんか?」
「・・・・や、め・・・、あ、あ・・あ・・!」

メリメリと入り込んでくる異物に東上は苦痛に顔を歪め、見開かれた目からは涙が溢れ始めている。

「・・・先輩より先に貴方の全てを手に入れたと知ったら、先輩はどれくらい苦しみますかね?」

耳元で囁かれ、強引に顔を後ろへ向かせられるとそこにはまじかに迫った副都心の顔がある。
頤をつかまれ振り向かされているので口は閉じられず開けっ放しだ。
だからキスされた、と思った瞬間にはすでに舌は入り込んできていて、
強引に舌と舌が絡められ、吸われていく。

「ふ・・・、んんんん・・・ふぅ・・・、は・・」

唇を離すと、副都心は満足そうな笑みを浮かべながらズンズンと腰を動かし始めた。

「・・・すご・・・い、熱いですね・・・、おまけに蠢きながら締め付けてくる・・・」
「っ、!!や、やめっ、ろ・・・!!あ、あぁっ」

東上は手を伸ばし、床を掻きながら逃げようとするがそのたびに腰を引かれ激しく突かれた。

「ほら、逃げないでください。大丈夫。愛がなくても気持ちいいセックスはできますから。
 貴方も気持いいでしょう?愉しんだ方が得ですよ?」

背後から突き上げられ、副都心の手は再び東上の性器へ伸びてきていた。
緩く撫でなれ東上は身体をブルリと震えさせる。
そして手淫にあわせるように腰も自然と揺らしだした。

「・・・う、うぅぅ・・あっ!」
「そうそう、その調子です・・・」
「い、・・あ、あ!」
「・・・ふふ、これで僕と貴方は共犯者ですよ・・・?」

最も秩鉄さんはあなたが誰と寝ようが気にしなさそうですけど、
と、付け足せば、それまで堪えていた涙が一気に東上の目から溢れ出した。
体から力は抜け、ダラリと手を投げ出すが、
副都心はそれでも最後まで行為を止めようとはしなかったのだった。



2011/2/6 ありがとうございました。これ以上続けられなくなりましてここで断念。 私が副都心をかくとどうもサドになる。 こういう話は好き嫌いがあるので難しいところですよね。 個人的には受けが苛められるのは好きなんですけど。 戻る