**R指定だよ**
火と油の関係。
西と東。
決しって相容れない間柄。
けれど、気になる。
気になって、気になって仕方がなくて・・・・、
気がついたらいつも目で追っていた。
「・・・・は、・・・はぁ・・・・」
熱い吐息。
夜、静まり返った池袋駅構内でまたも偶然であった、東武東上。
彼は私を見るなりまるで化け物でも見たかのように顔を引きつらせ、
そして進行方向をクルリと回転させて私から逃げようとした、が、
逃げれば逃げるほど追いかけ、追い詰めたくなるのが心情というものだ。
私は逃げる東上を追いかけ、
そして追いつき、あの時のように彼を壁際に追い詰めた。
私に追いつかれ、おそらく全力で逃げていたであろう彼は肩で息をしている。
後ろを向いているため顔の表情は確認できないが、
彼の顔を見たい私は壁に押し付けられていた彼の顎に手を添え、強引に私のほうへ向かせる。
東上は悔しげな目で私をねめつけてきた。
私が見たいのはそんな目ではないので、強引に薄く開かれていた唇を奪う。
舌を忍び込ませ、慣れていない彼の口の中をいいように貪っていく。
東上の息が苦しそうになったところで、かれのつなぎに手をかけた。
夏だったらつなぎの上部分を腰で縛っているから脱がせやすいが、
冬はそうではないので多少は脱がせずらいが、
ファスナーを一気に下ろし、首筋に噛み付きながら彼の胸の飾りを摘み上げた。
そこは彼の弱い場所の一つ・・・・・。
最初は抵抗していた東上も次第に素直に応えてくるようになっていた。
〜本当は気になる存在3〜
「・・・う・・・・ぁっ・・・・」
壁をカリカリと引っ掻いていた東上の手に自分の手を重ね合わせる。
そして指を指を絡めるようにして握り締めれば、
東上は私の手を跳ね付け、再び壁を引っ掻き始める。
「・・・私の手は必要ないという意思表示か・・?」
「・・!!!んぅっーーーーー!!」
腰にまわしていた腕により一層に力を込め暴れてもたいして身動きできないように固定すると、
反対側の手で彼の高ぶりを握り締めた。
「!!!!やめっ・・・ろ、・・・・っ!!」
手淫にあわせビクビク震える東上だが、私は彼がどんな表情をしているのか見ることが出来ない。
背後から貫いているから仕方ないのだが、見たい、という感情には逆らえない。
何回かチャレンジし、そのたびに跳ね除けられた。
犯しているのは私なのだから本気を出せばこちらを向かせることも可能だが、
私はあえてそれをしなかった。
だがそろそろ限界だ。
「・・・おい、顔を見せろ」
「・・・・っ、・・・だれが・・・てめー・・なんか、に・・っ!!」
「私に抱かれて感じまくっている顔を見られるのは恥ずかしいか・・?」
「!!!なっ・・・・あっ、あぅっ!!」
東上の高ぶりの根を握り締め、私は深く挿入したまま腰を大きくグラインドさせた。
そして小刻みで奥のほうだけを突き、
しばらくすると今度は一気に入口まで己の高ぶりを引き抜き、
また一気に奥まで突き上げた。
私が動きを変えるたび東上の身体は大きく戦慄き、
ついには立っていられなくなったのか私の胸に背中を預けるように寄りかかってきた。
感じる場所を擦られ、限界は近いのだろう。
それまで壁を引っ掻いていた手は、東上自らの欲望に移動していた。
私の手の上にその手を添え、くびれを弄ったり、先端に人差し指をかけたりしている。
けれど私が根元を抑えているせいでいけないのだろう。
「ん・・・ふ・・ぁ・・・苦・・し・・・」
下に俯きながら、おそらく自分の高まりを見つめているのだろうが、
とにかく下を向いているので顔が見れない。
私は顔が見たいのだ。
私に抱かれ、彼がどんな顔をしているのかを知りたい。
できるなら強引にではなく、東上の方から私を見るようにさせたい。
「・・・自分で扱くとははしたないヤツだな?」
だからわざと揶揄をこめてそういってやった。
「・・・・!!なっ」
案の定、東上は背中を私に預けたまま上を見上げてきた。
・・・彼の顔は全体が火照っていた。
目には沢山の涙が浮かんでいて、
口は吸ってくれとばかりに濡れ光っている。
私は彼の高ぶりを握っていた手を誘われるがまま彼の口元へ持っていく。
「・・・!!く・・・、やめ・・・んぐっ??んーー!!」
私の指は東上の先走りで濡れていた。
その指を口の中に強引に差し込み、彼の舌に彼の精液を塗りこめるようにかき回す。
「ん、・・・ふ・・・にが・・・、んっ・・・」
「苦い?・・・貴様が零していた涎だぞ?美味い、の間違いじゃないのか?
ああ、美味いのは私の指か?美味そうにしゃぶっているな?」
「・・・う、うるさ・・・」
「ほら?どうした?さっきまで夢中になって扱いていたのに今は手がお留守だぞ?」
「う・・・うぅ・・・・」
「ん?東上・・・?、そろそろ限界かなんだろう?
その証拠にお前の襞は私にいやらしく絡み付いて誘いかけてきているぞ?」
「!!!・・・っ、な・・に・・・うぁっ・・・」
指を引き抜き、そのまま彼の口を塞ぐ。
東上の中に入れていた手は再び彼の高ぶりまで移動させ柔らかくもみ扱く。
私の手淫にあわせ腰を揺らす東上に、
彼の中に納めている私自身も締め付けられ私も腰を突き上げた。
「は・・・、はぁ・・・、っ、あ!せい・・ぶ・・・」
「・・・・っ!!」
キスの角度を変えるたびに漏れる東上の淫らな声に私の動きにも余裕がなくなっていく。
舌を絡め合い、腰を揺らしあい、
誰もいない駅の構内で淫らに絡み合いながら、
ついに私たちは弾けた。
真冬のガランとした駅構内。
けれど私たちの周りの空気だけは確かに熱かった。
翌日、といってもすでにもう夜なのだが、
私は再び客のいなくなった池袋の駅で東上に出会った。
まぁ、私のほうは探していたので好都合だが、向こうはそうではなかったらしい。
その証拠に彼は私を見つけるなり青くなるが、昨日のように逃げ出しはしなかった。
逃げても追いつかれる、と学習したのか・・・それとも・・・。
「・・・なんだ、貴様・・・。あの程度で腰痛か?」
「!!?」
ただ単に腰が痛くて思うように逃げられなかっただけなのか・・・、
どちらにせよ大きな進歩なのかもしれない。
私はゆっくりと東上へと近づいていく。
「・・く、くるなよ!!」
東上は猫の如く警戒心露にフーッ!と威嚇してきている・・、つもりらしい。
けれど私の目にはそれはただ可愛らしく映るだけで、無駄な努力というものだ。
私が近づくたびに後ろに後退していく彼だが、
私が彼の腕を掴むと怯えた顔で私を見上げ、身体を小刻みに震えさせていた。
「・・・なにを怯えている?」
「怯えてなんかねーよっ!」
「・・・ほぉ?」
そのわりには身体ががちがちだし、呂律もまわっていないぞ?と、思ったが言わない。
・・・・怯えて欲しいわけではない。
寧ろ彼はいつものようにキャンキャンと吠え掛かってくる姿のほうが彼らしい。
そして出来るなら私にも・・・・・。
「・・・・いいかげんに放せよ」
「・・・話がある、だから放すわけにはいかない」
「俺はねーよっ」
「私はあるのだ」
「でも俺にはねーんだよ!」
そして何回かこの意味の無い押し問答が続いた。
そして最初に折れたのは東上で、
まぁ、私に腕を掴まれているから折れるしかなかったのだろうが、
不機嫌な顔で、
「・・・・話って?」
と、口を開いた。
彼が折れたことに私は小さく頷くと腕を開放し、話し始めた。
「貴様、まだあの男を好いているのか?」
「・・・・は?・・・・どの男だ??」
「・・・・あの男だ」
「だからどの男だよ!?」
・・・・・この男、鈍いのか?
あの男といったらあの男しかいないと思うのだが。
私は眉間に1本皺を作り、もう一度「あの男だ」といったが、
東上は本当に分からないらしく、彼も眉間に皺を刻む。
お互い、しばらくしかめっ面で見詰め合うが、
私は大きく息を吸い込み、小さな声であの男の名前を言った。
「・・・・・秩父だ」
「・・・は?秩父ってお前のとこの西武秩父???俺、会った事もねーけど?」
「違う!!」
なにを言っているのだ、この男は!?
どうしてそこで西武秩父がでてくる??
人が折角、珍しく遠慮して遠まわしに聞いてやればとんだボケボケとは・・・!
「ち・ち・ぶ・て・つ・ど・う、だ!」
「!?」
東上の表情がハッと変わった。
悲しそうに、泣きそうに、顔が歪んでいく。
・・・・だから私が見たいのはそんな顔ではない!
「・・・・別に・・・忘れたわけじゃねーけど・・・、
どうしようもないことだし・・・俺は・・」
「東上・・・・、私を恨んでいるか?憎んでいるか?」
「それは秩鉄のことで・・?それとも・・・昨日みたいな行為のことでか?」
東上が侮蔑を込めた目で私を見てくる。
私はそれを真っ直ぐに受け止め、そして・・・・。
「・・・・両方だ」
私の言葉を待つと東上は私を見つめていた目を閉じ、
そしてゆっくり開きながら答えた。
「秩鉄のことは会社どうしのことだからな、恨んでいるけど憎んじゃいねーよ」
「・・・・そうか」
「でもな」
でも、なんだ?
私は東上を瞬きすることなく見つめた。
彼の目は黒曜石のように真っ黒で、綺麗だと思う。
「昨日みたいなことをするお前は恨むし、憎いし、嫌いだ!」
「・・・・・嫌い?」
東上の言葉を繰り返した私に彼は益々憎憎しげに私を見てきた。
「当たり前だろ?誰だって無理やりあんなことされたら・・・」
「・・・・感じているように見えたが?」
私に抱かれ、乱れていた。
そのことを指摘すれば彼の顔は真っ赤に染まった。
「!!!そ、それは・・・!その、俺も男だし触られれば・・・」
しどろもどろに言い訳する東上の言葉を遮るように私は小さな声で言った。
「嫌われるのは困る・・・」
「はぁ?」
なにを言われたのかよく分からなかったのだろう?
東上は首を傾げ真っ直ぐに私を見つめてくる。
「それでは何のために秩鉄を引き寄せたのか・・・、意味がなくなるではないか!」
「何言ってんだ???」
ああ、本当に私はなにを言っているのだろう?
これでは何もかもぶち壊しではないか。
色恋沙汰に慣れていないからか・・・、上手く立ち回れない。
「私はお前を好いているのだ!だから嫌われるのは困る!」
「・・・・・はぁ?好いている・・・?俺を?・・・・、え?」
東上は呆然としながら数回、目を瞬かせ、考え込むように下に俯く。
身長の差で上から見下ろしている私は彼の表情を見ることは出来ないが、
だんだん赤くなってきているのは分かった。
彼の耳が、それを教えてくれるかのように肌色からピンク色、そして赤へと変っていったからだ。
私はポケットに手をいれあるものを取り出すと彼の肩に手を置いた。
驚いた東上は顔を上にあげたが、予想通りその顔は真っ赤だった。
私は目を閉じそっと彼の唇に自分の唇で触れた。
触れた瞬間は大きく震えた彼だが、抵抗らしい抵抗はしてこなかった。
私は舌で東上の唇を数回ノックし口を開くように催促すると、
意外にも直ぐに口は開かれた。
私はそのまま舌を差し入れ彼の舌の上にそっとさっきポケットから取り出したものを置き、
そのままゆっくりと顔を離した。
「・・・・西武・・・?」
彼は口に入れられたものを自分の手の平に出し、目を大きく見開いた。
「おい!これ・・・?」
「・・・・サイズは合っているはずだ」
「へ?」
「今日はクリスマスイヴだ。
・・・・私はキリスト教ではないが、今日、貴様にそれを渡したかった」
「・・・・西武・・・・」
「それだけだ・・・・、昨夜は・・・その、前回もだが無理やり・・・すまなかった」
「あ・・・いや・・・・うん・・・・それは・・・・」
「答えは急がない・・・、ではな」
「・・・・え?あ、ちょ・・・・」
私は言いたいことを言い、渡したいものを渡し終えると、
ひきとめようとする声を無視して西武池袋駅の改札へと急いだ。
・・・・悩めばいいと思う。
苦悩すればいいとさえ思う。
・・・彼は私を嫌いだといった。
あれは本心だろう。
仕方ないとも思う。
悩めばいい。
苦悩すればいい。
少なくともその間は、彼の頭の中は私でいっぱいなのだから・・・・。
真冬のガランとした駅構内。
そして私の周りの空気も同じように冷え冷えとしていた。
有難う御座いました。
私が書くこの二人はアダルトで、尚且つ暗くなってしまいます。
ギャグチックなこの二人も良いと思うんですけどねぇ・・・・。
あと1回、次は東上サイドで完結ですが、忘れた頃に更新されます!
次のR指定の更新予定は「生意気猫」の予定です。
2010/12/12
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