**R・・指定は必要ないかもしれない**
いくら待っても来ない有楽町線の状況を聞くべく、
とりあえずメトロの休憩室にきたら副都心線と休憩室のドアの前でばったり出くわした。
副都心は「これから伺うところだったんで丁度よかった」と、
東上をメトロの休憩室に招きいれたのだ。
本来なら直接、有楽町が直通運転打ち切りを言ってくるはずだが、
副都心が「僕はこれから和光市ですので」と言って、伝言役をかって出たらしい。
東上と副都心、普段だったらあまり二人きりになることは少ない。
なぜなら基本は3人で会うことが多いからだ。
それは彼らの終点が自分の走る路線の駅の一つと同じだからに他ならないが、
今回はいつもいる『中和役』が自身の路線のトラブルで来ていなかった。
本来、人見知りの東上に妙な緊張が自身の中を駆け抜けたのは言うまでもない。
〜蜘蛛の巣〜
「・・・・というわけであまり問題はないとは思いますが、
有楽町線は一時的に直通運転を切るそうです。
あ、ちなみに僕はそのまま直通運転を続けますので」
「・・・・そうか」
東上は一言返事をするとメトロの休憩室を去ろうと背中を向けた、
が、熱い手に腕を掴まれ動けなくなってしまった。
「・・・放せよ」
「嫌ですよ、僕の話はまだ終わってませんので」
「終わってない?・・・・・有楽町の話は聞いた。他に何がある?」
掴まれた腕を放そうと力をこめるがビクともしない。
東上はそのことに、顔には出さないが内心恐ろしかった。
普段は読めない態度で、どこかバカにしてるような態度ながらも常に丁寧な話し方なので、
弱そうで軟弱なな印象があった。
けれどそうではないらしい。
だが、考えてみれば当たり前だ。
開通当初は別として最近の副都心はあまりトラブルなど起こしていないし、
路線もこれからまだまだ延びていくし彼の力が強くても不思議ではない。
東上は早まる心臓を軽く深呼吸することで落ちつけてからもう一度腕を振った。
すると何故か思っていたより簡単に副都心の手が離れたので、
東上は驚きながらも休憩室を去ろうとした、が・・・。
「うわっ!!」
一瞬だった。
足に何かがひっかかった、と思った瞬間には景色がグルンと回り、床に倒れていたのだ。
苦しそうに呻きながらも起き上がろうとしたが、
副都心の大きな手に手首を掴まれそのまま床に縫い付けられてしまった。
「・・・・!何するんだ!?」
腕を捻り、身体を捩り、覆いかぶさる身体から逃げようとするが出来ない。
反対に副都心はそんな様子を面白そうに上から見下ろし、
東上の足の間に自分の足を挟みいれ、膝で東上の中心をググッと押し上げた。
「・・・・っ!!」
咽でひゅうっと息をする。
「今時、こんな古い手にひっかかる人もいるんですねぇ」
クスクス笑いながら耳元で囁かれて東上は竦みあがった。
恐怖と、別の何かが背中の筋を駆け抜け、ビビッとした電流のように体中を走る。
それにしても「こんな古い手」とは一体なんなのだろう。
東上は小刻みに身体を震えさせながら、何とか声を振り絞る。
「・・・ふるい・・・て・・って・・・なんだ、よっ!」
「・・・足払いですよ。大体はさけられるでしょ?不意打ちはともかくあの状況なら」
「・・・・く・・・・っ・・・」
あれは十分不意打ちだ、と叫びたかったが、その言葉は咽の奥に消えてしまう。
耳に何か温かい風が吹いたと思ったら、ヌルっと濡れたモノが耳を掠めたからだ。
「ひゃぁーー!」
「・・・・へぇ?」
全く、東上自身も情けなくなるような声だった。
あんな声を出してしまっては「感じて」いるようなものだ。
まさか副都心にそんな意図はないだろうが、東上とて立派な大人の一人だ。
「塗れ場」の時の声がどんなものかは知っている。
今しがた自分が出した声はまさにその時の声のようではないか。
自己嫌悪で顔を真っ赤にしていると副都心は面白いことでも見つけたかのように、
耳の穴に向けてフー・・・っと息を吹きつけてきた。
「・・・ひぁっ!」
東上は再び身体をビクビク震えさせてしまう。
そんな東上の態度に、副都心は何かを納得したかのように頷くと、
東上の手首を押さえる力を強め、今度は執拗に耳朶から耳の穴まで丹念に舌を這わせ始めた。
「う・・・うわっ・・・あっ、あー!やめっ、、やめろ!!」
左右に頭を振ったり、掴まれた手首を放そうともがいたり、
足をバタバタさせてみたりするが副都心の執拗な耳への攻撃は収まらない。
耳朶を時々甘く噛まれ、耳の穴まで丹念に舐められていると次第に体から力が抜けてしまう。
そうして東上が暴れるのを止めると、見計らったように副都心は東上の唇に唇を寄せてきた。
先ほどまで耳を攻めていた熱い舌で唇をチロチロ舐めながら、いつもより低い声で囁いた。
「耳が弱いんですね?耳しか触ってないのに下半身が熱くなってきてますよ?」
「・・・・!!」
「僕の舌に感じたんですか?」
副都心の膝に圧迫され続けていたその場所は、確かに指摘されたとおり熱を持ち始めている。
そんなバカな、そんなはずはない、と頭で否定しても、身体は確かに熱くなってきていた。
けれど認めるわけにはいかないので見下ろしてくる副都心を睨んだ。
「・・・ち・・・っげーよ!・・・俺は感じてなんか、ない!」
「へぇ?僕の膝が湿ってきたんですけどねぇ。・・・・違うならお漏らしでもしてるんですか?」
「お漏らし!?」
子供でもないのにお漏らしなんかするかと東上は再び暴れたが、
副都心の膝に下半身を刺激され、
更に怒鳴ったせいで開いてしまった口にはさっきまで耳を舐めていた舌がもぐりこんできていた。
「ん?・・・んーーー!?」
キスをされている、そうだと気づくのに時間など必要はなかった。
思った以上に柔らかい唇に舌を吸われ、思いのほか器用な舌に歯を舐められたり、
歯の裏側の歯茎や上顎、舌の下部分まで舐めまわされ東上は再び抵抗を止めてしまう。
東上が大人しくなったのを確認すると副都心はキスを止めて東上の手首から手を放した。
その時、・・・・今だ!と身体を起こして逃げようとしたが、
クスッと笑った副都心にまた手首を床に縫い付けられてしまう。
「・・・!この!放せよ!!」
頭上で一つに手首をまとめられ縛められてしまう。
しかも副都心は涼しい顔で東上の両の手首を片手で押さえているではないか。
悔しさに目に涙が浮かんでくるが副都心は相変らずシレッとした顔であざ笑うかのように言い放った。
「普段だったら片手で貴方を押さえ込むのは困難でしょうがね。
今は感じて力が入らなくなってるみたいだからこんなに簡単ですよ?ねぇ?」
ギリッと更に力を込められ東上は顔をしかめる。
「いてーよ!!放せって!」
「放すわけないでしょう?東上さんが大人しくしてくれるなら別ですけど・・・・」
副都心がジロッと見てくるが、東上がギロッと返してくるのでヤレヤレと肩を竦める。
「・・・・大人しくする気はないようですね。
ま、僕は構いませんが・・・それより東上さん」
「何だよ!」
「僕の膝、さっきより濡れた感触がするんですけど?」
「!!!??」
「僕のキスは気持ちよかったですか?それとも・・・・」
副都心はニヤニヤ笑いながら膝の中心でグリグリと東上の中心を苛んだ。
「・・・・!あっ・・あぁぁぁっ」
押さえつけられた身体は強い刺激にまな板の上の鯉状態になってしまう。
ビクビクと跳ね上がり口からは甘い吐息と声が漏れるばかりだ。
「おやおや・・・?すごい感じようだ。自分でしたりとかあまりしないタイプですか?」
「!!!くっ・・・!そんなこと、かんけー・・ねぇ・・だろっ!
それに俺は感じてなんかねー!むしろ痛いんだよ!や、やめろ!!」
「へぇ?・・・そうなんですか?痛いだけですか?」
「当たり前だろ!」
「ならどうして僕の膝は濡れてるんです?・・・・痛くて失禁でもしてるんですか?」
「・・・・!なっ」
自分が粗相をしたとでも言うのだろうか?
東上は真っ赤な顔できつく副都心を睨むが、すぐに青い顔に変わってしまった。
なぜなら副都心の手が東上の下半身に伸びてきたからだ。
「何する気だ!?」
「何って・・・失禁しているかどうか確かめるんですよ。
もし本当に失禁していたら大変ですからねぇ・・・・」
「!!!?」
「・・・失禁か、それとも別のものでベタついているのか・・・、真相はどっちなんですかね?」
それはもう楽しそうに副都心の手は確実に東上の下半身に伸びていく。
「や、やめろ!」
「・・・・なぜです?本当は失禁ではなく感じて精液を零しているのを見られたくないからですか?」
答えは聞くまでもない。
そもそも失禁などありえないのだから。
副都心だってわかっている。
わかっていてこうして意地悪しているのだ。
だって仕方がない。
東上がいつもつれないのだから。
自分と会ってくれるときはいつも有楽町という「おまけ」がいる。
しかも三人で会っていても有楽町とばかり話をしている。
気に喰わない、それが最初の印象。
だけど有楽町や時々武蔵野と話をしている東上の様子を伺ううちに段々と気になり始めた。
有楽町と武蔵野、二人に接する時、微妙に態度が違うのも分かった。
秩父鉄道と話している時は明らかで、彼は非常に分かりやすい性格をしていた。
それは自分に対してもそうで、東上は明らかに自分を避けている、
というよりまだあまりよく知らないから警戒しているようだ。
それがまた気に喰わなかった。
「・・・でもそれも今日までです」
「・・・は?」
どうやら思っていたことが声に出ていたようだ。
東上は体を捩って逃げようとしていたが、
急に意味の分からないことを副都心が言ってきたので首を傾げる。
「貴方が僕を避けるのは僕をよく知らないからでしょう?」
「?????何の話だ?」
「でも大丈夫です。これから僕たちはもっとよく知り合うことが出来ますから」
「????だから!なんのはなっ・・・・あ!!」
ついに副都心の手がつなぎの中に入り込み、熱くなりつつあるモノを直に掴んだ。
東上は口を引き結び声を殺そうとするが、
先端から零れていた蜜を自分の手に塗りつけるように副都心の手が動いていた。
「うっ、・・・・ううっ・・・」
自分の手が十分濡れると今度は包み込むように硬くなった棹を握った。
東上の身体が震えている。
つなぎに隠れて握っているモノ自体は見えないが、
副都心の手の甲は握った棹の上からトクトク溢れてくる蜜で濡れていくのが分かった。
そしてもどかしいのか東上の腰はビクビク上に突き上げるように細かく動いている。
「もどかしいんですか?腰が揺れてますよ?」
「・・・・・!!・・・く・・・ぅ・・・」
副都心の言葉を否定するためよわよわしく頭を左右に振るが、
性器のくびれ部分を指で作った輪でクルクル刺激され、最早決定的だった。
先端からはとめどなく愛液が溢れ出て、副都心が手淫するたびに濡れた音が嫌でも聞こえてくる。
「ふふ・・・・」
と、その時、副都心の笑い声が遠くから聞こえた気がした。
いつの間にか拘束されていた手は開放されグッタリと床に投げ出している。
どうして急に手が自由になったのだろう?
ボーっとする頭の中では考えられずそのまま大人しくしていたら、
急に下半身が涼しく感じ、かと思ったら性器が何か濡れたものに包まれたのだった。
「・・・・ひ・・ぃっ!!」
驚いて上半身を起こせば、副都心が自分のモノを口に含み頭を上下に動かしているではないか。
今まで感じたこともなかった快感が腰から体中に広がっていく。
止めさせようと副都心の頭に手を置くが力は入らず、
ただ催促するような態度に変わってしまう。
耳の上に手を置き、副都心の頭を抱え込むように屈むこむ。
口はだらしなく開き、目は虚ろに床を見つめる。
そして一際大きなジュルッという音がすると、
性器の先端はジンジン痺れて、やがて大きく痙攣していくのが自分でも分かった。
耐え切れず東上は叫んでいた。
「い、いやだ!!・・・で・・・る・・・!」
もう自分の意思もなにもなかった。
副都心の頭を抱え込んだまま、腰を大きく口の中に突き出し、全てを吐き出していた。
その時の東上は何も分からない状態になっていた。
ただこの身体に溜まった熱を吐き出したくて、
懸命腰を揺らして全てを解き放ち終えるのを考えていたのだった。
やがてゴクン、と咽が上下する音が遠くから聞こえてくる。
全てを出し終えて冷静さが戻ってくると、
熱くなった体とは対照的に頭がスゥ・・・と冷えていく。
柔らかくなった性器が温かい場所から開放されると、
今までソレを貪っていた男が顔を上げる。
放った精液を飲んだとはいえ、少しばかりの飲み残しが口の周りに残っている。
東上はいたたまれなくなって顔を逸らしたが、頤をつかまれ無理やり視線を合わせてしまう。
「僕の口の中に『失禁』しましたね。・・・フフ、気持ちよかったですか?」
「!!!!・・・んなわけあるか!」
「へぇ?」
真っ赤な顔で否定しても説得力はないのだろう。
その証拠に副都心は面白そうに笑みを浮かべていて、
口を合わせようとしてきたので、
東上はあわてて副都心の口を自分の手で塞いだ。
「これいじょ・・う、・・好きにはさせねー・・ぞ!」
「いいですよ?できるものならば、ね」
「出来るに決まっ・・・あっ!」
頤をつかんでいない手で東上の手をいとも簡単に取り払うと、
副都心は奪うようにキスをした。
「んぅ?・・・ん・・・んぅ・・・・」
キスを止めさせようとバシバシと身体を叩く東上だったが、
その手が副都心の胸板を捉えたとき、なぜか段々抵抗は弱くなり、
ついには自ら舌を絡めはじめてきた。
「・・・・・?」
どうして急に大人しくなり、更に言えば従順になったのだろう。
しかも東上の舌使いは慣れたもので、副都心はなんだか腹が立ってきた。
だから夢中で舌を絡めてくる東上の舌に歯を立ててやった。
「・・・・・痛っ!!」
気持ちよくキスをしていたのに急激に襲ってきた痛みに我を取り戻したのか、
ハッとした表情で東上は副都心を見上げた。
副都心もまたハッとした顔で東上を見下ろす。
薄く開かれた口からのぞく舌からは赤い血液がジワジワ広がっていくのが見え、
副都心はもう一度唇を寄せた。
お互いの唾液で濡れていたお互いの唇はヌルッと一瞬触れ合い、
更に深くキスをしようとしたところでドンッと胸板を押され、
副都心は後ろによろめいた。
東上はその隙に立ち上がり脱がされたつなぎを拾い集め、青い顔で副都心を見下ろす。
「東・・・」
副都心は手を伸ばすが、東上が大きく身体を竦ませバタバタとメトロの休憩室から出ていってしまう。
折角、有楽町のトラブルを利用して東上に近づいたのに、
目的は半分しか達成できなかったようだ。
副都心はボリボリと自分の頭をかいて、どうしてあの時舌を噛んでしまったのかを考えることにした。
東上がなぜか乗り気になってきたというのに自分は自らそれをフイにしてしまったのだ。
どうしてだろう?
どうして東上は急に乗り気になったのだろう?
「・・・確か僕の胸を触って・・・ん?・・・胸?」
嫌な予感に副都心は自分の胸を触る。
それなりに筋肉のついた、男としてはまぁまぁの体系だ、と自分でも思う。
そして東上の憧れているあの男もなかなか良い体系をしていることを思い出す。
その事実に気がついたとき、副都心のいやな予感は決定的になったのだった。
「・・・まさか僕、秩鉄さんのかわりにされた・・・・?」
そうとしか思えない。
あんなに抵抗していたのに、胸板を触った瞬間大人しくなったのだから。
「・・・東上さんって筋肉フェチ??」
それにキスに慣れていたはどうしてなのだろう?
それには秩鉄は直接関係してなさそうだが、筋肉フェチは関係していそうだ。
副都心は東上が出て行ったドアを見つめフーン・・と鼻を鳴らし、
ゆっくりとした動作で床から立ち上がる。
「まぁ、いいか。また今度、その辺はゆっくり聞きますよ」
小さく笑って副都心はメトロの休憩室を出た。
するとそこにはトラブルは収まったのか、有楽町線の車両が入ってきたところだった。
そしてベンチで蹲っている東上を見つけると足早に近づいていく。
その様子を見つめ、ある考えが過ぎる。
「・・・まさか先輩が相手とか・・・?」
それだと少し困ったことになるなぁ・・・と、思う。
有楽町のことは兼愛しているのでなるべくならコトを荒立てたくはないのだ。
けれどそんな考えも直ぐに頭から消し飛んでいく。
「でも、もしそうだとしても東上さんから僕のところに来る分には問題ないですよね」
副都心はベンチに腰を下ろし東上の背中をさすっている有楽町と、
相変らず蹲っている東上を見つめながら不適な笑みを浮かべる。
今は誰かのモノでも、一度蜘蛛の巣にひっかかった蝶は逃げられない。
クスクス笑いながら副都心はゆっくりと二人がいるベンチに足を向けるのだった。
有難う御座いました。
あまりの出来の悪さにボツにしようとしたんですけど、
考えてみれば副都心×東上の話はなかったなぁ・・と思いあたりUPさせてみた。
しかしながら副都心→東上な話しになっているけれども・・・?
それにしてもこの二人の話は難しいです。
2010/10/2
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