**Fが開業したて位の設定**





〜思い出のお味〜

「はぁ・・、どうしたら仲良くなれるんですかねぇ」
「なんだよ、藪から棒に」
「ああ、先輩。お疲れ様です」
「うん、お疲れ。
 って、そうじゃなくて今のはどういう意味だ??」
「え?ですからそのままの意味ですよ。
 直通相手とどうやったら仲良くなれるのかな?って」
「・・・へー・・?お前でもそんなこと思うんだ?
 ちょっとは成長してるんだなぁ・・・・」
「ちょっと!!酷い言い方ですね、先輩!!」
「いや・・、だって・・、お前、開業当時からやる気が見えないっていうか・・?
 そんなお前が直通相手のことで悩むなんて、やっぱ感動するだろ?」
「僕だって路線の一つですからね。
 そりゃ皆さんとはそれなりにやっていきたいとは思っていますよ?」
「・・・とてもそうは見えなかったぞ?」
「僕は繊細なんです。
 本当の心のうちは笑顔の後ろに隠していたんですよ☆」
「・・・・へー・・・・」
「信用してませんね?」
「・・・・そんなことはないぞ〜?」
「棒読みが怪しいです・・・。」
「気のせい気のせい!それでお前は誰とのことで悩んでんだ?西武?
 ・・・まー、確かにあいつ等は独特だからなぁ・・・。
 でも慣れればそれなりに逃げる口実も上手くなるし・・・」
「・・・・何の話ですか?」
「え?だってお前は西武とのことで悩んでんだろ?違うの?」
「・・・西武さんは適当に話を流して、
 適当に相槌を打ってれば上手くいくんで問題ないですよ」
「あ、・・ああ、そう?
 ん?それじゃ、悩んでるのは東上?」
「・・・そうです」
「・・・んー?まぁ、東上も西武とは別の意味でとっつきにくいけど・・」
「そですね、とっつきにくいです。
 西武さんみたいに一方的に話していてくれれば対処法もあるんですけど、
 あの人、なんだかんだで無口ですし、無表情だから・・・」
「そうかな?・・・まぁ、そうかな??」
「・・・昔・・・、僕が新線の頃はそうじゃなかったと思うんですけど・・」
「・・・お前、新線の時に東上とあったことあったっけ?」
「・・・数回くらいあります・・・、だいたいは先輩の影に隠れてましたけど」
「へ?そうだった?」
「ちょっと怖かったですから・・・、無表情ですからね」
「そんなに無表情かな??」
「でも、一回だけ苦笑しながら頭を撫でられたことがあったんですよねぇ」
「え!?東上に??」
「そうです」
「・・・それはまたどういった状況で?」
「・・・・あれは・・確か・・・」

















「ぼくはおひるはオムライスがたべたいんです!」
「新線〜?わがままはダメだろ?」
「だって!ゆーらくちょーだっていいよっていいました!」
「確かに言ったけど・・・、でも仕方ないだろ?売ってないんだから」
「べつのコンビニにいけばいいじゃないですか!」
「これで3件目!どこも売り切れなんだから諦めろ!
 それに今日は午後から会議があるからもうそんな時間はないの!
 わがまま言わない!」
「ゆーらくちょーのバカ!!」
「こら!!新線!!」
「・・・なんだよ・・騒がしいなぁ」
「・・・!!東上」
「どうしたんだよ、有楽町?そのガキ、なんか泣いてんじゃん?」
「あー・・うん、ちょっとさ。
 お昼にオムライスを食べさせてあげる約束をしてたんだけど、
 どこのコンビニも売り切れでね・・・、拗ねてるんだよ」
「ゆーらくちょーは嘘つきです!!」
「新線!!」
「おいおい・・、こんな公衆の面前で喧嘩するなよ」
「喧嘩じゃなくて教育!東上だって越生がわがままを言ったら叱るだろ?」
「・・・そりゃまぁ・・・」
「わがままじゃありません!せいとうなしゅちょーです!」
「・・・ったく、どこでそんな言葉を覚えてくるんだか」
「まぁ、子供ってそうだよな・・・、越生も時々ビックリする言葉を使うぜ?
 ・・・・それでさ有楽町・・・・」
「うん?なに?」
「お前ら、まだ時間はあんのか?」
「え?時間?」
「さっき、会議がどうとか言ってたから・・・、30分くらいは時間あんの?」
「え?あー・・うん、それくらいなら」
「ふーん・・・・、で、お前・・・新線?」
「・・・なんですか?」
「お前、本当にオムライスがあったら喰うのか?」
「・・・たべます」
「よし、わかった」
「へ?あ、あの・・・東上??わかったって何が??」
「ついてこいよ」
「は?どこに??」
「俺んとこの休憩室!・・・・オムライス食わせてやるよ」
「え!?」
「ほんとうですか!?」
「・・・俺も昼はオムライスの予定だったからな。
 1つ作るのも3つ作るのもかわんねぇよ」
「い、いいのか?」
「良くなかったらさそわねぇよ、俺は。わかってんだろ?」
「・・・そうだけど」














「・・・ということがありましたでしょ?」
「あー・・・あったなぁ・・・、あの時は本当に参ったよ」
「それであの時、結局3人でオムライスを食べたじゃないですか?」
「うん」
「僕、先輩にわがままを言っている自覚もあったし、
 そのことで東上さんを巻き込んだ自覚もあったんですよ、子供心に」
「ふーん?それは初めて知る事実だな、
 わがままを言っている自覚はあったんだ?」
「・・・まぁ、一応は。
 それでご迷惑もかけたことですし、
 先輩が飲み物を買いに行っている間にお礼を言ったんです」
「そうだったんだ」
「・・・その時ですよ。東上さんが苦笑しながら頭を撫でてくれたのは」
「・・・はー・・・、なるほどねぇ」
「あの時はそんなに怖い人じゃないのかな?と思いましたが、
 いざ副都心としてあってみるとやっぱりとっつきづらくて」
「・・・まぁ、俺もいまだにそう思うときはあるから、
 気にする必要もないと思うけど」
「・・・先輩は上手に東上さんを転がしている気もしますけど?」
「そうかぁ?」
「ええ・・・、おや?誰か来た」
「本当だ・・・って、噂をすれば影、か」
「よぉ・・・、お前ら二人だけか?」
「うん、今のところ誰もいないかな」
「東上さんはこれからお昼ですか?」
「そんなところだ・・・、お前らは?」
「俺らも今から」
「昼はもう用意したのか?」
「これから買いに行くか食べにいくかを決めるところです」
「ふーん・・・、ならオムライスがあったら喰うか?」
「え!?」
「オムライス・・・ですか?」
「???なんだよ、そんなに驚いて」
「あ・・・いや・・・その・・・、
 俺と副都心も今の今までオムライスの話をしてたから」
「そうなのか?そりゃ奇遇だな」
「東上さんは覚えていないかもしれませんが、
 僕がまだ小さい頃、3人で食べましたでしょ?」
「・・・・あー・・・、覚えてる」
「覚えてたんだ?
 その時、東上、新線の頭を撫でてくれたんだって?」
「!・・・・確かに撫でた」
「僕、東上さんって怖くて苦手だったんですけど、
 あの瞬間はそうでもないのかな?って・・・・」
「なんでだ?」
「・・・だって苦笑とはいえ笑ってくれたでしょう?」
「・・・・・・」
「東上?どうしたんだ??」
「あー・・・ちょっと自己嫌悪が」
「自己嫌悪って??なにが?」
「今だから言うけどさ・・・」
「なにをです?」
「・・・・コレ」
「コレって・・・、どうしたんだ??その割れた卵・・・」
「武蔵野を殴ったら当然だけど割れちまった」
「・・・武蔵野さんを卵で殴ったんですか?」
「ああ・・、また遅延しそうだったから『ふざけんなっ』って、
 思わず持っていた卵が入った買い物袋を振り回したら・・・」
「そりゃ割れるよな・・・」
「・・・・袋に入ってたから今ならこの卵まだつかえんだろ?
 だから今日の昼はオムライスにしようかと思って・・・、
 まぁ、責任取らせるために武蔵野に食べさせてやるものいいけど、
 それも癪だし・・・、で、お前らのことを思い出して池袋まできたんだ」
「確かに勿体無いよな、その卵・・・、
 でもそれと自己嫌悪とどう関係してくるんだ??」
「・・・あの時も同じ状況だったんだよ」
「同じって?」
「あの時も確か今日と同じように武蔵野を殴って・・、
 卵が割れちまって・・、
 それで卵の処分に困っている時に、
 『オムライス食べたい』ってガキの声が聞こえてきて
 ・・・見に行ったら有楽町がいて・・・声をかけた」
「・・・・・」
「・・・・・」
「んで、それなのに新線にお礼言われてさ・・・、
 俺、別に新線のためとか、有楽町のためとか考えてなくて・・、
 ただ卵を無駄にしたくない一身でお前らを利用しただけなのに、
 それなのにお礼言われて・・・、だから苦笑して頭撫でることで自分をごまかした」
「それで自己嫌悪?」
「・・・あの時のガキがでかくなって現れたときはどうしようかと思ったぜ。
 心からお礼を言ってくれてんのは伝わってきてたしな」
「・・・・だから僕と目を合わせてくれなかったんですか?」
「別に気にすることないのに・・・、東上は変なところで気を使うなぁ」
「有楽町だって俺と同じ立場ならそうなるだろ?」
「・・・・ならないとは言えないかも」
「では今日、すべてを話したことで憂いは晴れたと思っていいですか?」
「・・・んー・・?俺はすっきりはしたけど、お前らは?」
「俺は理由はどうあれ、あの時の東上には感謝しているから怒ってないけど?」
「僕もです。理由はどうあれオムライスが食べられたんですからね」
「・・・そんなんでいいのかよ?」
「別に怒ることじゃないだろ?
 今日だって理由はどうあれ俺たちのこと思い出してくれたわけだし」
「そうですよ!!って、ことで早くオムライスを作って下さい!」
「こら!!副都心!!」
「痛っ!!・・・もー先輩は乱暴だなぁ」
「だって憂いはなくなったんですよ?なら次は腹ごしらえですよ!
 あ、味はあの時と同じケチャップオンリーでいいですよ。
 どうせ東上さんはデミグラスソースとか知らないでしょうし」
「副都心!!」
「・・・・っ・・・、ははっ」
「・・・と、東上??なんで笑うんだ?」
「悪い・・・、相変らずの夫婦漫才に思わず・・」
「夫婦漫才って・・・・」
「いや、前から笑いそうにはなってたんだけど、
 笑うのもどうかと思って堪えてた・・・だから無表情に見えたのもな」
「ああ・・・なるほど・・・・。
 ならお互いに憂いは取れたのでコレからはガンガンいきましょうね☆」
「・・・・お前は俺に対して最初からガンガンきてたじゃねーか」
「そうですかぁ? 」
「まぁ、初日はそうだったかもな。
 でも東上・・・、副都心だって悩んでたみたいだからさ」
「あー・・そうみたいだな・・・」
「なら東上さんもこれからはガンガン笑ってください!
 僕と先輩の愛の漫才で☆」
「・・・お前らってそうだったのか?」
「ええ・・実は・・」
「ちがーーーう!!副都心!!誤解をまねく言い方はするんじゃない!!」
「えー?でも遅かれ早かれ・・・ねぇ?」
「ねぇ?じゃ、ねーよ!!」
「まぁ、俺はお前らがゲイでもなんでもいいけどな」
「えぇぇぇっ??言い分けないだろ、東上!!
 てか俺はイヤなんだけど???」
「またまた先輩ってば照れ屋さん!」
「・・・有楽町は照れ屋だったのか?」
「俺は照れ屋なんかじゃない!!つーか!俺の話を聞いてくれ!!
 俺と副都心は・・・・・」
「あ、なら今日は特別にデミグラスソースにしてやるよ」
「デミグラスですか!?知ってるんですか?」
「・・・・俺をバカにしてんのか?」
「してませんよ?ただ驚いただけです☆」
「こら!!二人とも!!俺の話し聞いてる??」
「んだよ、うるせーなぁ・・・。
 お前と副都心がそういう関係なのは誰にも言わねーから安心しろ」
「ぜんぜん聞いてないじゃないか!!?」
「まぁ、まぁ、細かいことは気にしちゃダメですよ」
「全然こまかい事じゃないんですけど・・・・・ああ・・、胃が痛い」

2011/7/31


ありがとうございました。 これ以上は続けられなくなりまして、打ち切ります。 何がかきたかったのか、自分。 ただ新線がダダを捏ねるシーンを書きたかっただけです。 戻る