〜酔いに任せて〜
「・・・はい?」
「・・・俺だけど」
夜中の突然の電話に私は目を覚ました。
こんな時間に何用だ?と、不機嫌丸出しの声ででれば、
相手は神妙な声で、
「・・・声が聞きたくなっただけだ」
・・・その言葉に私の思考回路がしばらく停止したのは言うまでもない。
今、私は夜中だというのに池袋駅に東武鉄道の宿直室の前に立っている。
・・・ヤツと私とでは犬猿の仲なのは、周知の事実であるし、
電話一つでここまでやってくるなんて、
まるで私がヤツにベタぼれのようではないか!?
なんだか癪に障るし、電話をあのまま切って無視をしようかとも思ったが、
ヤツの様子がなんだかいつもと違うように思えて、ここまできてしまった。
私はドアの前で大きく深呼吸をすると、
誰も居ない構内とはいえ、少しだけ控えめにノックをした。
しばらくするとドアの向こうに気配を感じ、
やがてドアがゆっくりと開かれた。
ドアの向こうには、予測どおりというか、
頬を赤らめた東武東上がヘラッと笑って立っている。
私はハァーと大きくため息を吐き、
身体を部屋の中へ一歩踏み入れると後手でドアの鍵をしめる。
「・・・貴様、やはり酔っているな?」
私の言葉に、東上はキョトンとした顔で、
「酔ってねぇー・・・」
と、ブスッと答えた。
・・・・酒臭い息、
普段(私には)は見せない拗ねた顔。
寂しいという、電話。
この三拍子だけでも、酔っていることは明白だというのに、
どうして「素直」にだけは毎回なれないのだ、コイツは。
・・・頭が痛い。
私が何度目かのため息をつくと、
不意に頬に濡れた感触を感じる。
「!!?」
驚いて身体を一歩引こうとしたが、
生憎後ろはドアだった。
私は背中をドンと、扉にぶつけ一瞬だけ顔を歪める。
が、東武東上はそんなことはお構いなしなのか、
今度は酒臭い息が鼻先を掠め、
冷たい唇に私の唇は塞がれた。
「・・・とぉ・・・じょ・・・、っ・・・」
暗い部屋に濡れた音、
東武、いや東上の舌が私の舌に絡みつき、
彼の唾液が私の口の中に伝わってくる。
どれくらいの量を飲んだのか、
いや、どれほどの量を飲んでいようと、
相手の唾液で自分が酔うことなどないのは分かっている。
分かっているが・・・・、
久しぶりの東上との口付けは、私の脳を停止させるのに十分だった。
「・・・・っ・・・、ひさし・・・ぶり・・・」
「・・・東上?」
「・・・お前と、会うの・・・、お前も俺も・・・事故続きだったし・・」
「・・・ああ」
そうだな。
東上線の事故を筆頭に、接続先のメトロでの事故、
そして私の路線での事故や、自然現象での運転見合わせ。
台風の時期なので仕方はないが、
たしかにこうしてゆっくりと会うのは久しぶりだった。
「・・・・か?」
その後も口付けを繰り返し、
半ば意識がボーっとなりかけてきた時に、
私より身長が低いから仕方がないのだが、
東上が上目使いで何かを尋ねてきた。
・・・まさか久しぶりの口付けに夢中で聞いてませんでした、
とも言えず、私は無言でコクンと頷いた。
すると東武は急に私の足元に跪いた。
「!!?」
恋仲(?)とはいえ、犬猿の仲でもある私の前に跪くとは、
一体どうしたというのだ?
「・・おい、とうじょ・・・!!?」
が、私の脳は直ぐに考えることをストップした。
実に恥ずかしい話だが、
ここ最近は忙しくてご無沙汰だったのも災いしているのだろう。
東武は私のズボンのベルトを外し、
下着から目的のモノを取り出すと、
それはもう勢いよくという表現が正しいほど、
大胆に吸い付いてきた。
「・・・っ・・・く・・・ぅ・・・」
「・・ん・・んぅ・・・」
ぺちゃぺちゃとイヤらしい音が暗い部屋に響いている。
一体なんだというのだ!?
いつもはこちらが言っても、自分が乗り気でないと、
決して舐めたりしなかったものを・・!
「・・・んっ・・、すげ・・・、もうこんなになった」
「・・・くっ・・・、とうじょ・・・」
「・・・お前も、寂しかった?」
「・・・・っ!!!」
私のモノを口に咥えながら、
上目使いでタチの悪いことを聞いてくる。
「こんなになってるってことはさ・・・、お前も久しぶりってことだよな?」
「・・・・あたり・・・前だ!」
「ふーん・・・?」
東上は上目使いのまま(暗くてよくは見えないが)
私のソレの先端を唇だけで吸い上げた。
「・・・うっ」
何度も、同じことをされ、私の腰がブルリと大きく震えた。
足元に跪く、東上の髪の毛を掴み、
誘われるがまま、溜まった欲望を口の中に吐き出す。
「んーーーっ、・・・・っ・・・」
目を瞑り、恍惚としながら東上の少しだけ苦しそうな声を聞くと、
私の欲望は、欲望を吐き出しながらも尚も成長を続けていた。
「・・・はぁ・・・、はぁ・・・、苦い・・・」
濡れた音を立てながら、東上は口から私の欲望を出した。
そして立ち上がろうとしたが、私はそんな東上の肩を上から押さえ・・・。
「・・・西武池袋?」
下から聞こえる不審そうな声を無視し、
そのまま床に押し倒した。
「・・・!!わっ・・ちょ、待てって!!」
東上は私がこのまま行為の先に進むと悟ったのだろう、
あわてて身体を捩るが、
体躯は私のほうが上回っているので、押さえ込んでしまえば逃げられない。
私は東上の耳に唇をよせて、耳朶を甘噛みし、
彼の腰に巻きついているつなぎの上を、シュルンと解いた。
「待て!!待てって!!・・・向こうに・・布団・・が・・」
東上は、ここではイヤだとジタバタ暴れるが、
私は耳朶を噛んだまま、耳元に囁く。
「・・・誘ったのは、貴様だろう?」
「!!!?」
「それに・・・」
私はつなぎをすべてはぐと、
東上の下着の上からソレを撫でる。
「・・・あっ!」
「貴様、ココをこんなにして布団まで歩けるのか?」
「・・・・っ」
「それに・・・」
私は小さく笑いながら、いまだに衰えを見せない自分のソレを、
東上のソレに押し付けた。
「私もこんなだから、とてもではないが、
貴様を支えながら歩くことは出来ない」
「・・・うっ」
「・・・東上・・・」
東上の下着に手を入れ、
きつそうに自己主張をしているソレは無視して、
その後ろにある秘孔をなぞった。
「・・・濡れている」
「・・・う・・るせっ」
「まぁ、これだけ『涎』を流していれば当然か・・・」
私はとりあえず指を1本、秘孔の中に突き入れた。
すると久しぶりのはずなのに、なぜかすんなり入るではないか。
「・・・東上?」
私は不審に思って、鋭い視線を(暗くて見えないが)向けると、
声色で私の疑問を察したのか、
私の下で身体を捩りながら、小さな声を出した。
「・・・会えなかったから」
「なに?」
「さ・・・さみしかったんだよっ!!
で、でも・・・今日は・・・お互いに何もなかったし・・・、
会えると思って・・・、
俺・・・お前が・・・直ぐに欲しくて・・・、
酒飲みながら・・・じ・・、自分で・・・・」
『自分で慣らした』
そんな告白をされて、理性を吹き飛ばさない男が居たら会ってみたいものだ。
私は東上から指を引き抜くと、
彼から下着を取り上げ、足を抱えあげた。
「・・・!!い、いけ・・ぶくろ・・??」
「誘ったのは、貴様だ。
止めろと言っても止まらんぞ?」
久しぶりの東上の中に自分をゆっくり進めながら、高らかに宣言した。
すると東上はいつものように憎憎しげな声で、
「・・・のぞむ・・ところ!」
と、答える。
「・・・上等だ」
私は彼の答えに満足げに返事を返し、
布団に移動した後も、しばらく一つに解け合っていた。
・・・・翌朝、腰痛の為か、
西武池袋線と東武東上線はなぜか少しだけ遅延していたのは気のせいだろう。
2012/10/8
ありがとうございました。
久しぶりの駄文、肩慣らしがこの二人のエロ(?)でいいのでしょうかね(笑)
Hな話って乗ってるときはドンドン書けるんですよね〜。
あまりHではないかもしれませんが。
Hな話はこの二人が一番、書きやすいです。はい。
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