〜Tシャツの出所〜
「・・・珍しいね、武蔵野が売店にいるなんて」
「京浜東北!・・・いや、さぁ〜」
「・・・・なに?」
「この前さ、東上のトコに泊りに行ったらさ」
「うん」
「アイツ、シーツを洗濯してたんだよ。梅雨の晴れ間だからって」
「ふーん・・・、それで?」
「そしたら・・・・・」
『このシーツがいいかな?』
『・・・何が?』
『実は最近、俺と越生のTシャツが草臥れてきたから新しいのにしようと思って』
『ふーん?』
『このシーツが結構綺麗だし、シミも汚れもないし良いと思うんだけど』
『・・・・???』
『このシーツ1枚で俺の1枚、越生のは2枚作れそうだな』
『・・・・はぁ!!??と、東上??』
『ん?何だよ?』
『今のマジで?』
『何が?』
『シーツでTシャツを作るとか・・・?』
『ああ、そのことか。当たり前だろ?Tシャツを買う余裕なんてないからな!
東武はみんなシーツから作ってるぞ?
だからいつでも作れるようにシーツは白オンリーだ。
それにシーツは汗の吸収率がいいからな、一石二鳥なんだよ』
『マジで!?本気で???皆???日光や伊勢崎もシーツのTシャツなわけ??』
『当たり間だろ?あいつらも東武だぞ?』
『・・・・・・』
『ちなみにTシャツがくたびれたら今度はパジャマに格下げで、
パジャマもダメになったら雑巾に格下げだ』
『・・・・・・(だからいつ来てもTシャツしか着てないんだ・・)』
『・・・武蔵野?どうした??急に黙っちまって・・・』
『い、いや・・・なんでも・・・・』
『????変なやつ』
「・・・・てなことがあったんだよ」
「・・・・なんというか・・・聞いているこっちが寂しくなる話だね」
「だろーー!?俺、それ聞いたらなんか悲しくなっちゃってさぁ〜。
その後に食べた東上の飯にさらにわびしくなってさ・・・」
「・・・・どんなご飯だったわけ?」
「給料日前とかでさ、白米と、玉子焼きと、具が少しの味噌汁と、海苔の佃煮」
「・・・・は?いつの時代??」
「今だよ、今!!まさに今!
や、東上は料理が上手いから美味いけど、
Tシャツの話を聞いた後だけに俺、なんか知んねーけど涙流しなしながら食べたよ」
「・・・・僕でも涙を流しそうだよ、それ」
「宇都宮でも泣くんじゃねーの?」
「そうかもね。それで?その話と今売店にいるのと、どう関係が?」
「ん?あ、そーね!それだよ!俺ってよく振り替えしてもらってんのよ、アイツに」
「君、よく止まったりするものね・・・・」
「まーね!」
「(褒めてないんだけど)・・・それで?」
「でさぁ・・・、流石に何回も振り替えしてもらってると流石の俺も心が痛いわけよ」
「・・・・ふーん・・・・」
「だからちょっとお礼というか、これからも振り替え宜しく〜、
ってことでTシャツでもプレゼントしちゃおうかなっって」
「・・・・ちょっと聞き捨てならないけど、Tシャツをあげるのは良い考えだね」
「だろ〜!・・・でさ、今悩んでるわけなんだよね」
「何に?Tシャツは白で良いんだろ?悩む必要ないんじゃない?」
「ん?ああ、色はね。でもサイズがわっかんねーんだわ」
「サイズ?・・・ああ、成る程ね。でも大抵はMサイズなんじゃない?」
「ん〜??でも東上って俺より小さいんだよね〜」
「・・・へー。武蔵野はMサイズ?」
「そ!俺はMサイズ」
「武蔵野よりかなり小さいの?」
「・・・ん〜??どうだろ??俺の目線の辺りに頭、かな?」
「ほぼ10センチ位の差かな??じゃぁ、Sかな??」
「どーだろうな〜?」
「むずかしいね。小さいと着れないし、大きくても・・・・、あ!」
「うわっ!何だよ??」
「・・・総武に聞いてみれば?」
「総務??」
「確か・・・160前半だったと思うよ?
東上は160半ばとして・・服のサイズは同じなんじゃない?」
「なるほどね〜!ちょっと聞いてくるわ〜」
「・・・・おーい、京浜!」
「武蔵野、聞いてきたのかい?」
「まだいてくれたか・・・悪ぃな」
「いや・・・、なんだかあそこまで話を聞いてしまうと気になるからね。
で、どうだった?何サイズ???」
「・・・・それが・・・・」
「うん?」
「アイツ、Lサイズなんだって」
「・・・・・・・は?」
「だーかーら!Lなんだって」
「総武が?L??・・・Sの聞き間違いじゃなくて??」
「『エ』までは同じだかんな・・・、俺もそう思って聞き返してらさぁ・・・」
「・・・・Lだって言ったんだ?」
「・・・・言ってた。『マジで?』って聞いたら証拠見せてくれた。
本当にLだったぜ?」
「・・・・・・・・そう・・なんだ」
「総武ってああ見えてじつは筋肉モリモリなんかな?
だからLじゃねーと着れないとか???」
「・・・・どうだろう??裸を見たことないし、なんとも・・・」
「もしそうなら東上もLだと思うんだよね、俺」
「・・・なんで?」
「だってアイツ、俺のこと簡単に持ち上げたり投げ飛ばしたりするぜ?」
「・・・・・なかなかワイルドだね」
「ワイルドじゃなくて凶暴なだけだって!ぜってぇーにアイツはマッチョだ!細マッチョってやつ??
ま、東上はガリガリじゃないから細マッチョってかんじでもねーか。
それに心を許しているヤツにしかそういう態度見せないみたいだしなぁ。
あいつ、篭りがちな路線だから・・・」
「(・・・暴力を振るわれている話なのになんで嬉しそうなんだろ??)へぇ・・・・」
「ま、そんなんだから東上もLサイズがいいと思うんだよね」
「・・・・僕はMがいいと思うけど、まぁ、Lでも良いんじゃないかい?
小さいときれないけど大きい分にはなんとかなるだろーし?」
「だよねぇ・・・、んじゃLにするか!
・・・っと、越生の分も忘れないようにしねーと・・・」
「あれ?東上、今日のシャツはおニュー?」
「・・・・よく分かったな」
「まぁね・・・、『東上』の刺繍がまだついてないから分かったよ。ちょっと大きそうだね」
「よく見てんな、お前。確かにもらったばっかだからまだ刺繍はしてないけど。
確かにちょっとデカイんだよな・・・、まぁ、もらい物だし、贅沢は言わない」
「ふーん・・・。もらったんだ・・・、って・・、え?貰った!?」
「うわっ!ビックリした・・・。急に大声出すなよなぁ、有楽町」
「だ、誰に??」
「は?」
「東上!誰にもらったんだ???」
「・・・何が??」
「Tシャツ!」
「・・・あ?・・あぁ・・・Tシャツな・・・。武蔵野だけど?」
「武蔵野!?なんで??」
「さぁ・・・?普段振り替えしてもらってるお礼とかなんとか・・・?」
「それだけ??本当に???」
「?他に何があるってんだ??」
「男が服をプレゼントするのはそれを脱がせる為だって言うじゃないか!?」
「は!?」
「東上!」
「・・・な、なんだよ?」
「大丈夫??何もされてないな???」
「(むかっ)何をされるってんだよ!?俺は男だぞ!?」
「男でも何でも関係ないよ!
東上は可愛いんだからホイホイとプレゼント貰ったりしたらダメだろ??」
「・・・・お前、暑さで頭が沸いたのか??」
「俺は正気だ!と・に・か・く!
今回は仕方ないとしてこれからはホイホイと貰うなよ?」
「・・・・・・」
「わかった!?」
「(・・・なんか有楽町のくせに目が怖い)あ、・・う、うん・・・」
「(ほっ。これでちょっとは安心だ)・・・・あ、そろそろ時間だね」
「う・・うん。そうみたいだな・・・」
「じゃ、気をつけてな」
「俺はいつでも安全運転だ!」
「分かってるよ。でも俺が東上に言いたいんだよ」
「有楽町の癖に生意気言ってんなよな!俺はもう行く!」
「はいはい。すみませんねー。・・・じゃ、またな」
「じゃーな!」
「(行ったか)・・・・怒ってても挨拶はしてくれるんだよなぁ・・・。
昔に比べたらすごい進歩だ。にしてもTシャツかぁ・・・武蔵野も考えたな。
俺も何かプレゼント考えないと・・・・パジャマとかがいいかな?」
2010/7/27
ありがとうございました。
武蔵野→東上←有楽町的なお話が書きたくて、作ってみました。
普通はシーツからTシャツは作らないと思います!
でもビンボーならありえそうですよね!
戻る
|