散々に殴られて、犯された。 歯はほとんど折れて、口の中も切れ、内臓が悲鳴を上げ、骨は軋んでいる。
下半身はそれよりも、ひどいことになっているのか。リーは思った。
体の中心線を割られた感覚。突き込まれた感触は、当分、癒えそうに無い。
そんなことをするくらいなら、いっそのこと殺してからしてくれれば良かったのに。
「それじゃあ、犯す意味がないじゃないか」
リーの血で濡れた拳を軽く振って、相手は笑った。
「むしろ、犯すよりも血のほうが好きなんだけどな」
美味そうにそれをすすり、なお嬉しそうに笑う。

叫び声は上げなかった。上げるよりも早く、喉を潰された。
何度となく振り回され、壁や床に叩き伏せられ、涙よりも血が流れた。
なんで、こんなこと。聞くまでも無い。相手はなによりも、それを欲していたのだ。
殴られた後、血を塗り付けられ、さらには内部の出血で動き回られた。
吐き気も湧かないほどに、絶望していたのか、あるいは……。

「どうした、リー」
今になって涙が滲む。
血でほとんど見えないと思ったのに、それでも貴方は分かるのですか。
「リー。赤を纏うお前は本当に綺麗だ」
そんな褒め言葉はいらない。
ぼくの血を纏うガイ先生だって、綺麗ですよ。
言おうとしたが、喉に血液が張り付いて、言葉はリーの頭の奥で殺された。


2007/01/12