『先生、お元気ですか?
ぼくは日夜、任務に励んでいますよ。
先生からもらった鍛練スケジュールもこなしてます。

ナルトくんやサクラさんと一緒の任務は本当に、楽しいです。
急な任務言い渡しにも、笑って行って来いとおっしゃってくれて、嬉しかったです。
ネジやテンテンと顔を合わせられないのは、少しさびしいですが。
ネジとテンテンは元気にしてますか?

ぼくたちは砂漠を越えて、今は港町にいます。嵐で船が出ないそうで、少しだけ休憩しています。
カカシ先生が、月の国の人と話し合いをしています。

今、ナルトくんが手紙を覗き込んでいきました。
毎日顔を合わせているのに、まだ言いたいことでもあるのか? と笑ってました。
でも、ぼくはガイ先生になら何を話しても、足りないんです。
帰ったらいっぱい、お話したいことがあるんですよ!

先生、最初はぼく、とても不安だったんです。
B級任務とは言え、長距離の長期任務ですし、やっぱり他の班と一緒というのは、どこか自分が入り込めないところがあるみたいです。
ぼくが先生と一緒に修行をしているように、ナルトくんやサクラさんもそれぞれの時間を共有して、カカシ先生にしても、二人にしか分からない冗談を言って笑っています。
そういう時は、ぼくも何となく笑って見せるのですが、楽しくはありません。
けど、ナルトくんがぼくの班に一人で来ようとも、ナルトくんはすぐにぼくの班になじむことができるんです。
ぼくは「そがいかん」というものを、たぶん、アカデミーの頃から知っているのでしょうが、いまだに慣れることができません。
ガイ先生は、そういう気持ちを知っていますか? 知っていたら、ぼくに対処法を教えてください。

なんだか、弱音を吐いてしまいました。
でも、ぼくはガイ先生との約束を守りますよ。

今、カカシ先生が船を出すから積み荷を運ぶのを手伝え、と言ってきました。
じゃあ、ガイ先生。またお手紙書きます。
ロック・リー』

ガイは、文面を声に出して読み終わると、膝の上で耳を塞いでいる丸い頭を見下ろした。
終わったぞ、と頭を小突いてやると恨めしそうにこちらを見上げてくる、可愛い弟子。
残念だったな。お前が帰るのと、手紙が着くのも一緒だった。
ガイは丁寧に紙を折ると、大事そうに封筒に収める。
小さな手で、弟子は手紙を取り上げようとする。腕を高く上げるだけで阻止できる、ささやかな愛弟子の抵抗。
恥ずかしいです。どうして、声に出して読むんですか。
お前が旅先でなにを思い、なにを感じたか。声に出したほうが分かる気がするからだ。
弟子は、顔を真っ赤にしてうつむいた。

おかえり、リー。
・・・ただいま、帰りました。ガイ先生。


(2007/04/29)





なにか普通に「映画ネタでガイリーネタ」。
「別にどの任務でも一緒ジャン!!」と思われそうだが・・・。
けれど、リーくんは映画の任務中、なにかしら「7班との隔たり」というか「疎外感」を味わったのでは無いかな〜、とか。
一生懸命、ガイ先生宛の手紙にしました。読んでください。的な空気が伝われば・・・、いいかな、みたいな。
「ガイ先生との約束」はお好きに想像してください。