二人きりの執務室。

何故だか互いを意識してしまう。

眼が合う度、恥ずかしげに視線を逸らす女。

その度、今すぐ押し倒したくなる衝動を抑える男。

何時もと余りに違う様子に戸惑う。

純情

「何だ其れは?」

遂に司馬懿は痺れを切らし、に話し掛けた。

「貴様はそんな乙女ではあるまい。何の真似だ?」

本心では、余りの可愛らしさに加虐心を煽られる。何時も手玉に取られているが、今日ばかりは司馬懿の方が有利そうだ。

しかし、は司馬懿の顔をちらりと見ると、恥ずかしそうに俯き首を振った。

司馬懿は、余りに平素と違うの様子にどぎまぎしてしまい、結局何時もの様に優しくしてしまう。

「何だ? どうした? 具合でも悪いのか?」

司馬懿は傍に寄り、肩を抱き抱えて顔を覗き込んだ。顔を赤らめたが司馬懿を見詰め、また恥ずかしそうに俯いた。

黒髪が鼻腔を擽った。薄い身体は、司馬懿の腕の中で儚げに震えている。

「……誘っているのか?」

肩を掴んだ手に思わず力が入る。

の顎を持ち上げ、口付ける。

「誘ったのは貴様だぞ?」

耳元で囁き、なぞる様に舐る。小さな吐息が零れる。余りに可愛らしい様子に司馬懿まで顔を赤らめる。

何時もに翻弄されている所為か、勝手が上手く掴めない。司馬懿は、の唇に何度も啄ばむ様な接吻をした。互いに赤い顔の侭、見詰め合っては口付け、口付けては見詰め合う。その初々しい反応に、司馬懿は段々抑えが効かなくなってきた。

「態とか? 誘ってるのか? 抱くぞ?」

何時も翻弄されている哀しさか、司馬懿は早口で捲し立てながらもの了承無しには押し倒せないらしい。

「……仲達……」

聞きなれないのか細い声に、司馬懿は心配そうに抱き寄せ顔を見詰めた。

「……腕……痛い……もっと優しくして……」

司馬懿は「すまん!」と慌てて腕を放し、身体も放したが、直ぐの傍に寄り抱き締めた。

「……優しくするから……良いのか?」

が少し顔を赤らめ頷くと、司馬懿の腕がを抱き上げ寝所へ運んだ。

存外骨ばった腕が、ぎこちなくの服を脱がしていく。司馬懿は、まじまじとの身体を見詰め、括れた腰を掴むと有無を言わさず噛み付いた。歯でなぞる様に甘噛みを繰り返すと、は擽ったそうに身を捩った。

司馬懿は、その可愛らしい様子に機嫌を良くしたのか、口角を挙げてニヤリと笑った。片方の手で弧を描く様に乳房を撫でながら、もう片方の乳房の乳首に軽く歯を立てながら舐る。

「いっ……ぁ……」

痛みより快楽の方が勝るらしく、は押し殺した嬌声を漏らす。

下腹部へ手を滑らせると、身体が少し震えた。そっと触れると、の性器は既に蜜を零し蕾を固くしていた。司馬懿はゆっくりと指を動かし、指に絡んだ蜜を態とに見せ付けるよう舐った。

「…仲達…」

は恥ずかしそうに視線を反らした。

司馬懿は、自分も着物を脱ぐと跪き、の蕾を甘噛みを繰りな帰しながら舐った。

「仲達…恥ずかしい…」

司馬懿は、その言葉を聞くといよいよ我慢が効かず、抑え付ける様に激しく抱いた。

抱き終えた司馬懿は、するりと腰に巻きついた腕に違和感を憶えた。先程までの恥ずかしがり様とは打って変わって、平素の様な行動に嫌な予感がする。

「……?」

顔を上げたの表情で、司馬懿は嫌な予感が的中した事を知った。

「仲達様は差異に弱いのですね」

「…………貴様……!」

司馬懿は、言葉を失いながらうわ言の様に呟く。

「たまには優しくしてさしあげ様かと…」

の指が司馬懿の髪に絡む。艶然と笑う表情は、常に司馬懿の心を掻き乱す物だ。

「ご不満でしたか?」

細められた美しい眼差しに、司馬懿は一度天井を仰ぎ見ると諦めた様に首を振った。

「いや、今宵も満足した」

その侭、再び熱を持つまで接吻を繰り返す。

悪戯な恋人。

もっと振り回されたい感情。

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今一つ良く解らない話になったので短めに切り上げました。政務室でそんな事を繰り返す司馬懿は、曹操を叱れないと思います。

次こそはまともな話を書きたいです。何時もそう思ってます。

2004.03.30 viax