すらりと伸びた脚を丁寧に洗ってやる。
蒸気で薄ぼんやりとしか見えぬ美しい女の表情。
女はそっと腕を伸ばし、孫堅の首に絡めた。
深い口付けを繰り返す内に、上下が入れ替わる。
女の小さな唇が、孫堅を翻弄する。
千夜秘話
の唇が、孫堅の身体をなぞる。
首筋に執拗に噛み付く小さな唇。
孫堅の膝の上で、ゆるりと動く肢体が艶めかしい。
孫堅の性器を僅かに擦り上げる腰の動きに、孫堅は堪らずの細い腰を掴む。
「文台様?」
少し悪戯な美しい顔が、孫堅を覗き込む。
「……あまり焦らすな」
孫堅は、浮かされた様な熱い眼差しでの口を貪る。
「文台っ……様、未だ駄目。」
の細い腕が孫堅の肩を押し戻し、抱きつく。
孫堅も抱き締めようとした瞬間、両腕を後ろで縛られる。
「?」
戸惑った孫堅の声に、可愛い恋人は笑みを浮かべるだけ。
濡れた手拭いで軽く縛られただけなのだから孫堅に解けぬ訳では無いが、に抗う気の無い孫堅は成すが侭にされている。
の細い指が孫堅の二の腕を撫でる。
「文台様の腕って卑猥」
そう言いながら血管をなぞる指に心臓が早鐘の様に打つ。
「何が卑猥だ?」
高潮した白い肌に紅い唇。
卑猥なのはどちらだと、孫堅は今すぐ押し倒したい衝動を抑える。
「筋肉が付いた腕に血管が浮いてると卑猥なんです」
はそう言うと唇を寄せた。
平素自分を翻弄する人を苛める楽しさ。
は美しい顔に悪戯な表情を浮かべた。
は孫堅の首筋に紅い痕を幾つも付ける。
普段はしない。後で孫堅が困るだろうと思うからだ。
けれど偶に独占欲が剥き出しになる事もある。
この男は江東の虎ではなく、孫文台 ― 私の恋人だ。
孫堅の身体を指でなぞる。
孫堅は眉を顰めながら浅い息をする。
は首筋から舌を滑らしながら、内腿を舐め上げて孫堅の性器を咥える。
「やめっ……!」
孫堅が上ずった声で止める。
は僅かに微笑んだが、止める事は無い。
の小さな口の中で、脈打つそれが愛しくすらある。
収まりきらぬ部位を手で扱きながら、唇を上下させ舌を絡めて吸い上げる。
孫堅が身震いする所為で緩んだ手拭いが腕から抜け落ちたが、孫堅は気付かぬのか下唇を噛み締めて声を殺す。
見かねたが孫堅の指に手を掛けると、初めて気が付いたのか慌てて両手で口を塞ぐ。
指の隙間からは甘い吐息が零れ落ちる。
「うっ……ぁ……」
上ずって喘ぐ孫堅が余りに愛しくて、は孫堅に口付け様とした瞬間腕を掴まれる。
「……何時までも我慢できると思うなよ?」
孫堅が口の端を上げて笑う。存外余裕の無い顔。
その侭湯殿の床に押し倒される。
孫堅の無骨な指がの身体を滑り落ちる。
の弱い箇所を攻めながら、ナカに入って来る指の動きに翻弄される。
知り尽くした身体を趣くまま攻める指も卑猥だと、孫堅の肩にしがみ付きながら思う。
「文台っ……あっ……!」
与えられる快楽故、最早頭が朦朧とする。
唯孫堅の肩にしがみ付きながら喘いでいるだけで眩暈さえ覚える。
「……もう……」
孫堅が浮かされたような眼差しで見詰める。
孫堅の性器からは白濁とした体液が滴っている。
も浮かされた様な眼差しで頷く。
それが合図だったかの様に、孫堅がナカに入る。
幾ら与えられても決して慣れる事の無い感覚。
打ち付けられる激しさに、やはり如何する事も出来ない。
喘ぎながら生理的涙を零して、孫堅の肩に爪痕を刻み込むだけ。
床の上に寝かしている事を気にしたのか、孫堅がの身体を持ち上げる。
孫堅の上に座らされ、より深く入り込むモノに喘ぐ。
押し上げられ、窒息するような息苦しさを快感として貪る不思議。
孫堅の首にしがみ付き決定的な快楽に落ちそうになった頃、孫堅の擦れ声が耳元で囁く。
「もう、良いか?」
頷くと、此れまでに無いほど激しく腰が打ち付けられる。
悲鳴とも付かぬ嬌声を上げると、孫堅の頭が肩に落ちる。
同時に精液が注ぎ込まれた事を知る。
激しく波打つナカに、自身さえ顔を赤くする。
「すまん」
孫堅が小さな声で謝る。
「如何なさいました?」
少し震える指で孫堅の髪を撫でる。
「……優しくしてやれなかった」
孫堅はの肩に頭を乗せたまま、恥ずかしそうに呟く。
「いいえ。私こそ失礼致しました」
は笑いながら孫堅の腕を撫でる。
孫堅は笑いながらの髪を撫でる。
押し当てられた胸の鼓動にの顔が赤くなる。
千夜秘話。
たまには翻弄したいと思うのが女心。
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孫堅夢第2話。実は口を抑えて喘ぐ孫堅が書きたかっただけ(変態)。