孫尚香、通称・孫婦人。蜀王劉備の正妻にして呉王孫策の妹。父は、今なお虎と恐れられる孫堅。

、通称・婦人。同じく蜀王劉備の妻であり、地方豪族の一人娘。

同じ様な時期に劉備に嫁いできた二人は、歳が近い事もあって仲良く、後宮の揉め事など別世界の話である。

しかも二人とも悪戯好きと来ているから、愛妻家の劉備としては堪らない。二人に振り回されてばかりなのだ。

悪戯

劉備は頭を振りながら軍師諸葛亮と話をしている。決して難しい話をしているわけではなく、二人の妻の話だ。

「今朝も突然起こされ、あっという間に寝巻きを剥がれ、服を着せられた有様だ」

劉備は、もう一度やれやれと頭を振った。

「それはそれは……しかし毎朝両頬に美女の接吻とは羨ましい話です」

諸葛亮は髭を撫でながら楽しそうに話す。

「そっ……そんな事話したか?!」

劉備は慌てて立ち上がるが、最早認めたも同然である事には気が付いていない。

「いいえ……しかし専らの噂で御座います」

諸葛亮は何でも無い事の様に言うと、羽扇で口元の笑いを隠した。

其処へ元凶の二人が現れる。

「「玄徳様!!」」

二人の声に劉備は驚き、慌てて振り返る。

「ど……どうしたのだ?」

勤めて平静を装うが、どうしても目が泳ぐ。一人ずつならこの上なく可愛らしい妻なのに、何故二人だと悪魔の様な妻になってしまうのか――妻達が仲が良いのは良い事だが、劉備は少しだけ天を恨むのだった。

「我が殿、奥方様のお邪魔になるといけませんので私は此れで……」

諸葛亮が席を立つと劉備が困っているのが見えた。しかし、困っているとはいえ其の顔は笑顔であり、説得力に欠けた。

仲が良いのも考え物ですね、と諸葛亮はもう一度羽扇で口元を隠した。

+++++

第八回更新「孫尚香と劉備を苛め隊!」。……全然内容に合って無いですね。

2004.09.18 [21:30]