愛しい人、そう囁かれると体中の力が抜けてしまう。

愛しい人、そう呼びながら孫堅はを抱き寄せるのだ。

毎夜毎夜、飽く事無く接吻される度、幸せで眩暈がする。

「おいで」

短い言葉でを抱き寄せる孫堅の腕は温かく、其の顔も何時も優しい笑みを絶やさない。

孫堅は閨でも優しく、良く聞く話のように無理矢理抱こうとしたり、変わった性癖を見せてを戸惑わせる事も無かった。ひたすら優しく、の快楽を優先していた。

「……文台様」

は珍しく嫌だと首を振った。

「ん……気乗りがしないのか。良い良い。傍で眠ろうか」

孫堅は何でも内容に言うと、の身体を愛しそうに抱き寄せて眠ろうとした。

「ち、違うのです」

は起き上がると、端正な孫堅の顔を見下ろした。

「何だ? 閨事は嫌なのではないのか?」

は首を振ると、赤い顔で少し俯いた。

「た……偶には私もご奉仕させて下さいませ」

其の言葉を聴いた孫堅は、起き上がると恥ずかしそうに金色に光る頭を掻いた。

「あ……いや、俺は別に……そういうつもりでを閨に呼んでいるわけでは……」

年甲斐も無く照れる孫堅を愛しく思いながら、は頭を振って孫堅を壁に寄り掛からせた。

「下手ですけれど……」

「……うむ」

孫堅は照れながらも、跪いたに感じるものがあったのか、頑なに拒もうとはしなかった。

着物の裾を割って触れた孫堅の性器は、未だいきり立ってはいなかったが、熱を含み始めていた。は余り其れを直視した事は無かったが、思いのほか躊躇無く口に含む事が出来た。孫堅はの口内の気持ち良さに小さく溜息を漏らした。其れはとても色気が有り、は改めて孫堅に見惚れた。

ゆっくり吸い上げながら扱き続けると、孫堅の溜息は喘ぎ声に変わった。小さな声が、時々我慢出来ない様に零れて、の聴覚を刺激する。

「文台様、気持ち良いですか?」

の言葉に孫堅は恥ずかしそうに頷いた。

「……困った。とても、悦い。」

そう良いながらの髪を梳くように撫でる孫堅の手は、僅かに震えていた。は愛しさが募るのを感じた。

「好きです、文台様」

孫堅は請ったように笑いながら、を強い力で抱き寄せた。

「俺もが好きだ。だから奉仕はもう良い。余り焦らすな」

を押し倒した孫堅の顔は、優しい虎の顔をしていた。

「食べてくださいませ……」

囁いたに孫堅は一瞬驚いた顔をしたが、すぐにやりと笑った。

「存分に食べてやるぞ」

虎の爪痕は、決して消えない愛の痕。

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第九回目更新「パパに奉仕する話」。何時ものヒロインとは微妙に違う感じ。

奉仕って精神的な面も勿論有ると思うけど、そろそろ即物的になってきました。

2004.09.18 [22:31]