掴んだ腕が愛しくて、離したくないと思ってしまった。
「文遠様?」
少し低い声が自分の名を呼ぶのが何とも心地良くて、離したくないと思ってしまった。
「離したくありませぬ」
そう言って、手近な紐で互いの腕を結ぶ。
「離したくありませぬ」
勝手に涙が零れた。みっともないと思わないでもなかったが、其れでこの腕を放さなくて良いのならばどうでも良かった。
「……お戯れは」
「戯れではありませぬ!」
片手で細い腰を抱き寄せる。
「彼方を離したくないのです……」
永遠に縛り付けて、愛で、恋で、感情で。
雁字搦めが心地良い。
+++++
第四弾「張遼に悪戯される」。人は此を手抜きという。
此は悪戯では無い気がする。でも最初に考えたのは遼来々なエロだった筈。
2004.05.03 [19:30] viax