雛鳥の擦り込み。
正にそうとしか言えないほど濃密な関係。
何者も拒む其の関係を、周囲の人間は最早諦めた様に見守るほか無かった。
小さな手が、男の鍛えられた首にしっかりと廻される。
男の大きな手が、掌に収まるほど小さな顔を優しく撫でる。
黄忠の孫娘である黄は、生まれた時から趙雲に良く懐いていた。どんなに泣き叫んでいても、趙雲の腕の中に収まれば泣きやんだ。
少し成長した今でも其れは変わらない。聞き分けのない駄々を捏ねている時も、趙雲が一言否定すれば直ぐ諦めた。
「子龍」
の声は子供にしては低い。勿論音域としては高めだが、子供特有の煩さがの声にはなかった。
「はい、なんですか?」
趙雲は腰より低い位置にあるの頭を優しく撫でた。
「……大きくなったら妻にして下さいますか?」
幼子とは思えぬほど色気のある眼差し。大きな瞳は趙雲の答え次第では今にも涙を零しそうだった。
趙雲は、何故か口付けだいと思った。そんな自分をおかしいとは思いつつも、其れは確かな感情として趙雲に根付いてしまった。
「様がそう望まれるのならば」
十年もしない内には子を宿す。趙雲の幼妻として、一身に寵愛を受けながら。
+++++
第六弾「ロリコン趙雲」。とんでもないお題ですが意外に人気。
趙雲の結婚が遅かったのは、劉備が礎を築くのに時間が掛かったからでは無く恋人が幼かったから、という邪推。
2004.05.03 [21:43] viax