君を愛でる、華の様に。

君を愛でる、蝶の様に。

君の姿が其処に有るだけで、こんなにも幸せに思える。

君の声が聞こえるだけで、こんなにも胸が苦しい。

君の肌に触れるだけで、蕩けてしまいそうだ。

溺愛

呉の忠実なる将、周泰。

身体に幾つもの傷を持つ男は、寡黙でやや威圧的な雰囲気を纏っていた。

故に端整な容姿ではあるが、未だに妻を娶らず一人身であった。

其れを気に病んだ孫権・孫策・甘寧の3人は、休日を見計らって周泰の私邸へと赴いた。

出迎えた周泰は、いつもの鎧姿では無く端整な顔も隠れてはいなかった。

そして3人は気が付いたのだ。

周泰の首筋に幾つか女が付けたらしい痕が見え隠れしている事に。

意外に思いつつも、およそ遊郭へ赴く様な周泰ではない事を考えると相手が気になった。

3人は周泰の私室へと続く廊下を歩きながら、あれやこれやと騒いでいた。

周泰の部屋は相変わらず質素なものだったが、部屋に入った3人は息を飲んだ。

其処には美しい少女が1人、難しそうな兵法の書を読んでいた。

「お客様?」

少女にしては少し低い声が周泰に尋ねる。

周泰は無言で頷きながら少女を抱き上げる。

「…暫しお待ちを。」

周泰は孫権らに頭を下げると、少女を抱えた侭廊下へと出た。

中に残された3人は大騒ぎだ。

「幼平の恋人か?」

「未だ年端も行かん様だったが……」

「やるこたやってんだなぁ!」

3人が騒ぐのも無理は無い。

女の影の見当たらない周泰を気にして来て見れば、大層美しい少女がいたのだ。

しかもあの周泰が億面無く抱き上げた事を考えると、それなりの仲としか思えない。

「大喬より下に見えたがなぁ……」

孫策がぼやく。

残りの2人も遺憾無いらしく大きく頷く。

少女は幼さ残るニ喬とは違った大人びた顔立ちだったが、其れでも如何せん幼く見えた。

「小さい姫さんよりも下なんじゃね?」

甘寧の言葉にも大きく頷く。

16歳の小喬より幼いとなると周泰も隅に置けない。

3人は周泰から色々聞き出そうと手薬煉引いて待つ事にした。

やがてお茶を持って戻ってきた周泰は、3人に囲まれる様して質問責めに合う。

「あの子は誰だ?」

まずは孫権が落ち着いて訊ねる。

「……です」

「恋人か!?」

甘寧が身を乗り出して訊ねる。

「…ああ」

「幾つだ?!」

「……14……」

無口な周泰から根掘り葉掘り聞き出すこと数時間。

少女の名は。14歳。

計略の苦手な周泰の為に兵法を学んでおり、時期が来れば娶るつもりだという。

周泰の亡き配下武将の遺児で、数年前に引き取り最近結ばれたばかりらしい。

「へぇー」

甘寧は照れながらも嬉しそうに話す周泰に驚きを隠せない。

それから孫策と小喬の話も交えつつ男4人で話していると、小さく扉を叩く音がした。

周泰が急いで立ち上がり扉を開ける。

其処には周泰の小さな姫君が居た。

「……どうした?」

3人の事など忘れたかのように優しい眼差しで周泰が髪を撫でる。

「んー……眠いの……」

は困った子で周泰の着物を引っ張る。

「そうか……」

周泰は一瞬3人に振り返ったが、その侭抱き上げると奥の寝所へと向かった。

3人が覘くと、周泰はの髪を撫でながら寝かしつけていた。

「幼平がねー……」

3人は呆れ顔で幸せそうな2人を見守るしかなかった。

小さな姫君、愛しい

周泰に呟きは、まどろむには聞こえたかどうか…。

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初周泰夢。大失敗の予感。脇役出張り過ぎ。

兎に角周泰をどういうキャラクターにしようか迷いました。結果、寡黙ながらも愛情深い方向に。案外ベタですな。

まぁ当時14歳の子に手を出してもロリコンでは無いと思います。ウチでは1番小さいヒロインですけど。