朝の光を瞼に受け、そっと目を開ける。
腕に心地よい重みを与える存在を、目を細めて愛しげに見詰める。
女の顔に掛かる髪をそっと掻き上げてやる。
女は擽ったそうな顔をして少し身を捩った。
身体を撫でる手に不埒な感情を呼び起こされる。



   − 優しい瞳 −



寝息にさえ妙な気分になる自分を諌める。
いい年をした男が、女に翻弄される姿は無様であると同時に心地良い。
「…、好きだ。」
寝ている恋人の耳元で囁けば、少年の様に顔が赤くなる。
初めて見た時から心を奪われていた。
美しいだけでは片付かない女。
自分の告白を嬉しそうに応じてくれた。
付き合って僅か二月で彼女がこんなにも愛しい存在になるなんて。
此から先も自分は彼女を愛し焦がれ溺れるだろう。其れがちっとも恐怖でも不快でもない不思議。
関羽とて雄弁ではないが、はもっと寡黙だった。
口下手な訳でも人嫌いな訳でもないだが、不思議と口数が少なく、しかし其れを感じさせない不思議な雰囲気だった。
其れは雄弁な眼差しの所為かもしれないと関羽は思った。
の眼差しには、真摯なの真意が籠もっている様に見えた。
だからこそ関羽は彼女が頷くだけで自信が持てた。
「ずっと私の傍にいて欲しい…」
関羽は囁きの瞼に接吻した。

は少し身を捩るとゆっくり眼を開けた。
「…雲長様?」
は、自分を見詰める優しい眼差しに少し照れた様な声を上げた。
「お目覚めか?」
関羽は笑いながら髪を撫で、の額に接吻した。
「お早う御座います。」
も笑いながら関羽に接吻した。
その儘繰り返される接吻は深くなっていき、やがて荒く甘い吐息混じりになった。



優しい眼差しで何時までも見詰めて欲しい。
彼方でなければ、こんなにも深く愛する事なんて出来ない。







*****

朝の甘い目覚め。そして朝から…(自主規制)。
今回は、どうしても使いたい言葉があったのです。
最後の一行なのですが、「Da pump」の「If...」の歌詞で「もしも君じゃなかったら こんなに愛せない」というのを見て、使いたいー!(基言わせたい)と萌えてしまったのです。夏候惇夢じゃちょっと違うなーと思い、関羽夢に使ってみました。
関羽お題夢予想外に書きやすく楽しいです(笑)。

2003.12.06 viax