常に鍵を開けたままの部屋に誰もいない夜、こうして自分を慰めるようになったのは・・・。 後ろに入ったバイブレータの振動に身を震わせながらも、さらに奥までと指に力を入れて押し込んだ。 いつからだろう・・・。 機械的な振動では奥の疼きが鎮まらなくなってしまったのは・・・。 画面の中にいる自分は大勢の男達に犯されて涙を流して歓喜の声を上げている。 このビデオを撮られたのは、もう随分と前の事だ。 学生の頃から勉強でもスポーツでも常に一番だった。 皆から一目置かれ、優等生の仮面を被っていても、陰では「公衆便所」と呼ばれ毎日のように盛りのついた男たちの性欲の捌け口にされていた。 社会人になってからもそれは変わらずに続いている。 ネットで写真や住所を公開され、仕事を終えて部屋に帰ると性欲を持て余した男達が毎晩のように歪な欲望を俺の中に吐き出していた。 何度も自分の中を掻き回して絶頂を迎えると後始末もせずにそのまま眠りについた。 真夜中、ドアの開く音で目が覚めると懐かしい足音が響いた。 「久しぶりだな。」 俺をこんな身体にした張本人が冷めた目で俺を見下ろしている。 「相変わらず一日でも男無しじゃいられないのか?」 高校生の頃、俺を何度も何度も犯した手が頬に触れた。 「淫乱・・・欲しいか?」 俺は頷くよりも早く、ズボンのファスナーを下ろし、彼自身を咥え込んだ。 わざと音を立てて扱き上げると口の中で期待通りに膨らんでいくそれに丁寧に舌を絡ませて彼を見上げる。 彼は俺の髪の毛を掴んで引き離し、頭を壁にぶつけると後ろ向きのまま張り詰めたそれを深く突き刺した。 微かな痛みに俺は悲鳴を上げて悦んだ。 抵抗して傷つけられたあの頃とは違い、今は前戯が無くてもすぐに受け入れられる。 彼のモノが深く突き刺さる度に声を上げ、その振動で絶頂に導かれていく。 彼の動きが一層激しくなった時、俺は小さな悲鳴を上げるとフローリングの床に音を立てて白濁した液体が零れていった。 「誰が出していいって言ったよ。」 ビクビクと震えながら快感を噛み締める俺に彼は舌打ちをすると動きを止めてしまう。 「汚ねぇんだよ。」 「舐めるから・・・舐めて綺麗にするから・・・もっと・・・して下さい。」 絶頂に達したにも関わらず、まだ疼きが収まらない俺は、彼の機嫌を損ねないように自分の吐き出した液体を舌で拭う。 顔中を自分の精液で汚しながら後ろに感じる振動に再び声を上げた。 そのまま夜が明けて気を失うまで彼に犯され続け、何度も生温かい液体を注がれる・・・。 目を覚ますと彼の姿は無く、火照った身体には昔、彼や他の男達に付けられた傷跡が薄っすらと浮かんでいる。 重い身体を無理矢理に起こすと後ろからまだ暖かい精液が涙と共に溢れ出した。 「・・・・っ。」 目の前の写真立てを床に叩きつけ俺は声を上げで泣きじゃくった。 「何で・・・死んだんだよ・・・。」 夢を見ていた。 俺は叶わぬ夢を見るために、毎晩部屋の鍵を空ける。 この世界にはもういない彼を求めて毎晩見知らぬ男に犯される。 抱かれながら一度も好きだと言ってくれなかった彼を想い出して涙を流す。 それでも彼はかえってこない。 一度も好きだと言えないままで・・・。 Top Index Next === たまには甘さゼロの話もいいかなと。 |