breaker =調教師= 1
2004.12.04
「金になるいいバイトがあるんだけど」
街中で声をかけられて、ノコノコとついて行ったのが運の尽きだった。
金も無ければ将来の夢も無い。
光輝は高校を中退してから毎日やる事も無く、ただ街をふらついていた。
金が無くなればバイトをするがそれも長続はしない。
地味な仕事をコツコツ消化するのは向いていないし、人に頭を下げるのも苦手だった。
甘えているだけだと判っているが、この生活から抜け出せるきっかけが掴め無い。
声をかけた男は高そうなスーツに身を纏っている、値踏みするように観察し、話しだけでも聞いてみようと男の話しに乗ってみる事にした。

怪しいとも思ったが、同時にチャンスだとも思った。



しかし、黒塗りの大きな車に乗り込むと微かに甘い香りを感じてそのまま意識を失った。
目を覚ますと手足は冷たい金属で拘束され、着ていた衣服は下着まで脱がされていて代わりに手術着のような頼りない服が身体を覆っていた。
何日もの間、大声で叫び暴れていたが、拘束が外される事は無かった。
食事を運んで来る男は、光輝がいくら叫ん一言も発する事無いまま部屋を後にする。

抵抗を諦めた頃、光輝をここへ連れて来たシンと名乗る男がやって来た。
シンに向かって思いつく限りの罵声を浴びせるが、シンは表情を変える事無く冷たい視線で暴れる光輝を見守った。


「気は済んだか。」
やがて声も枯れ、光輝がその場に泣きながらうずくまると、シンが顔を近づけて話しを始める。
「これからお前を商品にする。」
その言葉が理解出来ず、光輝は涙を流したままシンを見つめるが、シンの冷たい表情からは何の感情も読み取れない。
「世の中は色んな奴がいてな、自分の理想に近いセックスの相手に莫大な金を払う奴もいる」
「……」
「俺達は金になりそうな若い男を集めて、商品になるように教育し売りに出す……まあブリーダーだな」
光輝は自分の置かれた状況をやっと理解して目の前が暗くなった。
「ふざけるな……犯罪だぞ……」
「犯罪だから金になる」

「お前いくつだ?」
「18……」
「まだ若いな。悪い事ばかりでも無い、10年も働けば一生遊んで暮らせる金が手に入る」
「金なんかいらねぇから帰してくれ・・・。」
「それは出来無い」
涙を流して懇願するが、シンはきっぱりと拒絶すると光輝の髪を撫で上げながら忠告する。

「逃げようなんて考え無い方がいい、今までも逃げ出す奴らはいたけどな、全員死んだよ」


「シン、どうだ? 新入りは」

「素材は悪くない、金になりそうだ」
恐怖と屈辱にうなだれていると、見馴れない男が部屋に入ってくる。
ゴウと名乗ったその男は線の細いシンとは対象的な野性味のある屈強な男だった。

力では到底かないそうも無いこの男の出現で、光輝は隙を見て逃げ出そうとしていた計画を半分諦めてしまった。
「どれ、そろそろ調教するか」
手錠を嵌められたままの状態で服を脱がされ全裸になると、二人は光輝の身体を舐めるように身体を観察する。
「見るな……」
自分の身体にコンプレックスなど無かったが、同じ男に性の対象として観察される屈辱に耐えかねて顔を伏せる。
「初々しいねぇ……」
クックッと嫌らしい笑い声を上げたゴウに頭を掴まれて、浴室まで全裸のまま連れて行かれる。
「さすがに少し臭うな、シン洗ってやれ」
熱いシャワーをかけられ、暴れた時に付いた手錠の痕のついた傷に沁みたが、泡まみれのシンの手が肌の上を滑ると、身体が徐々に快感へと反応していく。
光輝の変化を楽しむようにシンの手は敏感な部分をゆっくりと刺激しながら泡を滑らせる。
「……っ」
声を出してしまわぬよう屈辱に顔を歪めて耐えていたが、先端を濡らしすっかり硬くなった中心を包まれると2、3度擦られただけで簡単に放出させてしまった。
「随分早いな」
大量に吐き出した液体は、自分で出したと思えないくらいにシンの手の平を白く汚している。
「初めはこんなモンだろ……」
こんなに早かったのは溜まっていたからだと言い訳をしようとしたが、二人が次の作業始めると声すら出せなくなっていた。

男同士のセックスがどういうものかは知識として知ってはいたが、シンの指が後ろの穴を掻き回しながら広げると快感どころか痛みが走り、気持がいいとは思えなかった。
しかし、目の前にいるゴウが瓶に入った液体を飲まされると、痛みはあっと言う間に快感に変わり身体が熱く火照り出しす。
先程出したばかりなのに、光輝の先端からは透明な液体が溢れ出して床に落ちた。
「……くっ……俺は商品なんだろ……? 手つけていいのかよ……っ……」
「馬鹿か、お前? ガキのセックスがすぐに金になる訳無いだろ、俺達が調教して商品にしてやってるんだよ」
「……殺してやる……」
僅かに残った理性でゴウを睨みつけるが、指で溶かされる程に熱くなった後ろにシンの硬いものが入り口を塞がれて声を上げる。
「ぁっ……んぁぁっ……」
光輝のそれより一回りくらい大きなモノは中を突き破りそうな程に硬く、奥を突かれる度に頭の中が真っ白になっていく。
「まぁ、せいぜい頑張れよ、使えなかったら廃棄品だ」
廃棄品とは死を意味している。
ただ殺されるだけなら光輝だって死んでしまいたいとさえ思うが、この場合は安い金で沢山の男に犯された後、猟奇的な趣味の持ち主に出荷されて殺されるだけだ。

「ぁっ……ぁっ……んぁっ……」
ぼやけた視界の中に浴室の鏡に写った自分の姿が見える。
その姿は涙と涎を垂らし恍惚とした表情で快感に身を委ね、突かれる度に先端から透明な液体が飛び散っていた。
前を触られてもいないのに、徐々に込み上げてくる絶頂感に身体を震わせて耐えていたが、シンの腰の動きが速くなるつれ、快感の波も間隔を狭めて押し寄せる。
「ぁぁぁっ……」
馴れていない快感に耐えるすべも無く、光輝は小さな悲鳴を上げると溜め込んだ快感を吐き出してその場に倒れ込んだ。
まだ、絶頂を迎えていないシンの舌打ちが聞こえ、見上げると抜けてしまったモノが先程見た時よりもさらに大きく上を向いている。

「そう、カリカリすんな、まだ終わってないんだから」
ゴウが嗜めるようにシンの肩を叩くと、光輝を浴槽の縁に座らせてモノを咥えこんだ。
出したばかりで刺激され、くすぐったさに身をよじらせたが、しばらくするとゴウの巧な舌の動きに反応し硬さを取り戻す。
唇を離し、上を向いたソレをつまみながら観察するとゴウは唸りながら溜息をついた。
「前の方は……形は良いけど大きさが微妙だな……この程度で使いものになるか?」
「それを何とかするのが俺の仕事だ」
決して大きいとは言えないが、ゴウの低過ぎる評価に腹を立てた光輝は下半身に力を入れて股間を大きく膨らませる。
光輝のささやかな見栄を二人は興味など無いように鼻で笑った。

「試してみるか?」
ゴウがそう言って光輝の手錠を外している間にシンがマットの上に仰向けになると自らの指で後ろをほぐし出した。
僅かにくねらせた肉体には無駄無く引き締まり、まるで彫刻のように均整の取れた身体だ。
中心には光輝より一回りくらい大きなモノが上を向いて睨んでいる。
今まで男の裸などあまり見た事は無かったが、初めて男の身体を綺麗だと思ってしまった。
「入れてみろ」
ゴウに促されて、まだ硬さを失っていないモノをシンの後ろに沈ませていく。
男なんかに感じる訳が無いと思っていたが、奥へと入っていく度に意に反して中心は徐々に硬さを増していった。
女とは違った感触……入口はキツク締め付けられるのに、奥に入る度にヒダが包み込むように先端を刺激する。
ゆっくりと動かさないといけないのは分かっているが、先端の絡みつきを求めるように腰の動きが速くなってしまう。
「ぁっ……ぁぁっ……そんなキツく…っ……ぅぁっ……」
抱いているのは光輝のはずなのに、シンは目を閉じて僅かに吐息を漏らすだけで、むしろ声を出して感じているのは光輝の方だ。
これまで、女とは飽きる程にセックスをしていた光輝だが、焦るように腰を動かしてシンの中を突き上げてもまったく反応が変わらずに、逆に込み上げてくる快感の波は抑えきれない程に大きく膨らんでいった。
「……どうした? その程度か?」
兆発するようなシンの冷たい言葉に、さらに奥へとモノを突き上げるが、シンが声を上げる間も無く快感に溺れて爆発させてしまう。
「あっ……ああっ……で、出るっ……うっ……ぁぁぁっ……」

吐き出した後も快感の余波に震えている光輝にゴウの容赦無い言葉が突き刺さる。
「駄目だな」
ゴウは呆れたように溜息をつくと浴室を出ようとする。

゛こんな所で終わってたまるか!゛

「ちょっと待てよ……コイツをイカせりゃいいんだろ……?」
肩で大きく息をつきながら、ゴウを睨みつけると女の子とする時のように優しくシンと唇を重ねた。
この間までは生きる目的も実感も無かった光輝だが、今死ぬ訳にはいかないと腹をくくった。
舌を絡ませ指で敏感な部分を次々に刺激するとシンの身体が僅かに反応していく。
軟体動物のように舌を這わせ、硬くなった中心に辿りつくと、裏筋を舐め上げて先端に溢れ出した液を吸った。
「ぁっ……」
シンが声を漏らしたのをきっかけに、モノを咥え込んで唇で扱き上げる。
熱くなった口の中で溢れ出しそうに硬くなったモノを煽るように舌が攻めていく。
「はっ……ぁっ……何だ……これ……」


何人もの男を調教し、経験豊富なシンが声を上げる事など今までに無かった。
ゴウは目を見開いてその様子を観察した。
先程までとは立場が逆転したように、光輝には余裕すら感じられ、攻められているシンは身体を震わせ早くも絶頂が近づいているようだった。
「あぁっ……コイツの舌……熱いっ……っ……」
この仕事を始めてからシンとは長い付き合いだが、調教師の中でもシンは快感に溺れたりせずに常に冷静に商品を作り上げてきた。
そのシンの乱れた姿にゴウはゴクリと喉を鳴らし状況を見守る。
「……っ……溶ける……」
セックスをする時、内臓の温度が通常の人間よりも異常に高くなり、その舌は吸い付くように愛撫する者を溺れさせる人間がいる。
噂には聞いていたが、そんな人間が本当に存在していた事にゴウは驚いた。
しかし、目の前で繰り広げられる光景は確かに光輝が選ばれた人間である事を照明している。


光輝の口の中でシンの先端が大きく膨らみ始めると、ピクピクと痙攣するように震えだした。
限界が近づいている事を察した光輝はそのまま喉の奥まで咥えこんで一気に扱き上げる。
「ぅわっ……ぁぁあっ……」
シンの大きな叫び声と共に光輝の口の中には大量の苦い液体が吐き出された。
絞りとるように最後まで吸い尽くすと光輝はゴクリとそれを飲み干す。
まるで自分意外の人間に支配されているような行為に、気を失いそうになる。

「まずは合格だな」
薄れる意識の中で、ぐったりと横たわったシンが初めて人間らしい感情のある声でそう言った……。

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