breaker =調教師=3
2005.01.22
「あんまり夢中になるなよ」
その声に振り返ると壁にもたれかかって腕を組んだゴウが含みのある表情を浮かべている。
「どういう事だ?」
つまらない駆け引きなどに興味が無いシンは眉を寄せて不快感を露わにした。
出会った頃からシンは人間らしい感情の片鱗も見せずに仕事をこなしていたが、時々大袈裟に表情を作っては相手を威嚇しようとする。
付き合いの長いゴウはシンの芝居じみた表情を見る度に去勢を張るシンを滑稽だと思いながらも胸が締めつけられた。
「確かにアイツは逸材かもしれん、だけどお前にとっちゃただの商品だって事を忘れてもらっちゃ困る」
「当たり前だ、俺はアイツを高く売る事しか頭に無い」
「そうだと、いいけどな……」
ゴウの溜息を背中で聞いてシンは再び長い廊下を歩き出した。




無機質なコンクリートに冷たく響く足音が徐々に近付いて目を覚ました。
この頃は浅い眠りが続いているから小さな足音でも敏感に反応してしまう。
虚ろなまま重たい頭を持ち上げると光輝を外の世界と隔離する必要以上に施錠されたドアが開いて光が差し込む。
光の中の人影が近付き光輝が生きている事を確認すると、つまらなそうに舌打ちをして嫌がる身体を無理矢理に抱き起こした。
髪の毛を掴まれ、おそらく誘淫剤が入っているであろうカプセルを口に捻じ込まれると口の中に苦い味が広がる。
「どうするつもりだよ……」
ここ数日、シンは定期的にやって来ては誘淫剤のような物を飲ませるが、そのまま触れることも無く椅子に座り一時間ばかり光輝の悶える姿を観察すると部屋を後にする。
「自分で考えるんだな」
拘束をしたまま煽るつもりなのだろう。
込み上げる熱を持て余して光輝が苦しそうに悶えてもシンは表情ひとつ変える事など無くただ椅子に座っている。



「抱いて下さい……」
無意味な抵抗を続けて四日目にやっと口にした言葉で始めてシンの表情が変わった。
男に抱かれる事に対しての抵抗が徐々に薄くなっている事に危機感を感じながらも、自分ではどうする事も出来ない疼きが身体中を支配していく。
シンがこの部屋を訪れる度にプライドが一枚ずつ剥がされ快感を求めてしまう。
熱くなった身体をシンに押し付け、薄い唇に舌を滑らせて吸いついた。
すぐにでも欲しくて先を急ごうとしても、シンは自分が満足するまで舌を絡ませた。
「…んっ……」
拘束されたままの指先に代わって不器用にシャツに噛みついてボタンを外すと胸の先端で尖っている小さな突起を舌先で弾く。
強弱をつけて溶かすように刺激するとシンの口から甘い溜息が漏れる。
感情が読み取れず冷たい人形のような表情が歪み、シンの頬に赤みが差して上昇する体温を感じた。
纏わりつく邪魔なシャツを乱暴に剥ぎ取ってズボンのファスナーを下ろすと硬く尖った先端に下着の上からしゃぶりつく。
唾液で濡れた下着の奥から溢れ出す雄の匂いを感じ取り、根元から先端に向かって何度も舌を這わせた。

「…っ……欲しいか……?」

手を塞がれて上手く下半身を脱がせられない光輝に痺れを切らしたのか、シンは自らズボンを下ろして存在感のあるモノを突出した。
「…っ………あぁ……」
剥き出しになった中心を咥え込んで直接光輝の舌を感じたシンは、中心から溶かされる感覚に目を閉じて震えている。
シンの漏らす声を聞きながら、放置され続けて狂ってしまう程にシンのそれを欲しがっていた自分と同様に、シンもまた頭の中まで溶かしてしまう光輝の舌を欲しがっていた事に気付いた。
「…んんっ……ご褒美だ……」
恍惚な表情を浮かべたままシンは光輝の後ろにオイルが染み込んだ指を這わせて中を掻き回していく。
光輝の口の中で突き上げるように硬く上を向いたモノで今すぐにでも塞いで欲しい衝動に駆られるが、何もかもがシンの思い通りに運ぶ事が気に食わずに、せめてもの抵抗として咥え込んだままのそれを離さずに唇の動きを加速させていく。
「おい……もう離していいぞ……」
後ろに入った指をぐっと広げて光輝の中の熱が唇以上に与える快感を想像したのか、シンの体温は上昇し始めて喉の奥まで咥え込んでいる光輝の頭を引き剥がそうとする。
だが、シンの言葉など聞こえないように腰をくねらせて中に入った指先の感覚を味わいながら、光輝の舌はさらに温度を上昇させて中心を吸い尽くそうとする。
「……くっ……このガキ……離せっ……」
焦るシンを煽るように吸いついた唇を大きく上下にスライドさせると喉の奥に当たる先端がビクビクと痙攣しはじめる。
身体中を硬直させて込み上げる絶頂感に震えるシンからは、いつもの余裕がすっかり消えている。
光輝の中に入った指から力がふっと抜けると、ガチガチに硬くなったモノに絡みつく舌の音とシンが漏らす微かな吐息だけが部屋の中に響いた。
「……ぁっ……うぁぁぁっ……」
吸いつきながら加速していく唇の動きに耐え切れずにシンが小さな悲鳴を上げると、搾り取られるような喪失感と共に吐き出された欲望が光輝の喉を直撃した。


「調子に乗るなよ小僧」
光輝の抵抗に屈辱の表情を浮かべたシンは光輝の髪の毛を掴むと苛立ちを隠しもせずに頭を壁に叩きつけた。
一瞬目の前に火花が散ったが、光輝は兆発するようにシンに顔を近づけて吐き出したものを音を立てて飲み込んだ。


「抱いて下さい……」
泣いているような切ない声で欲しがりながら、自分の存在が徐々にシンを支配している事を確信して光輝はシンに向けて完全に服従しているような態度で尻を突出した。
薄い衣服が胸までめくれると光輝の開いた足の間からシンに掻き回されて射精してしまい白濁とした液体で汚れた性器が露わになった。

光輝の態度に明らかな変化を感じ取とったシンは、その光景にゴクリと喉を鳴らすと突出した尻を力強く掴んで光輝の溶けるように熱くなった中を何度も味わった。

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