Pooh 1
2004.10.01
=居候=(1/2)

「アパート追い出されちゃって、しばらく泊めてくんない? 」


高校の頃からの友人、田辺晃一が半年ぶりに会った俺に言った第一声がこれだった。
卒業してから6年、コイツは相変わらず定職にも就かずフラフラと生きているようだった。
「……今度はどうしたんだ? 」
「ほら最近天気いいだろ? ついダラダラ寝てたら夜でさ、7日連続遅刻したからバイトクビになっちゃって」
出会ってからずっと、いい加減な奴ではあった。
「よくもまぁ、毎度毎度下らない理由でクビになるよな」
俺は飽きれながらも全く変わっていない晃一が少しだけ嬉しかった。
「頼むよ昭仁、なんでもするからさぁー」
いつも頼み事を断り切れないのは晃一は俺のタイプそのものだったからかもしれない。
眠たそうに見える大きな眼や筋の通った高い鼻、大きくて薄い唇の下に生やしたヒゲが男臭い。
初めて出会った8年前から晃一の全てがストライクだった。
コイツは俺がゲイだと知っているにも関わらずいつも何でもするなんて言って頼み事をしてくる、しかし俺は一度も晃一を抱かなかった。
ヤってしまったら、これまでの関係が壊れる事が怖くて、この美味しそうな身体を目の前にして無償の親切を提供している。
「何にもしなくていいけどよ」
俺はため息をつきながらも「入れよ」と晃一を部屋に入れた。

飯を食った後、シャワーを浴びた健一はパンツ一丁のカッコでビールを飲んでいる。
よく食う割にはガリガリに痩せているが、広い肩幅と見事に8つに割れた腹筋、ヘソの下に僅かに生えた毛がトランクスの中へ繋がっている。
"エロい身体だよな……"
奴の身体を久しぶりに鑑賞し思わずゴクリと喉を鳴らす。
最近仕事が忙しく禁欲生活を送っていた俺には目の毒だった。
そんな俺の気もしらずに奴は勝手に冷蔵庫を開けてビールをゴクゴクと美味そうに飲んでいる。


"我慢なんか出来ないよな……"


しばらく禁欲が続いていたからなのか、何もしていなくても晃一の身体は俺を兆発していく。
「あのさ、さっき何もしなくていいって言ったけど、やっぱヤってもいいかな? 」
自分でも驚くくらい声が乾いていた。


今の関係が壊れてもいい一度でもいいから晃一を抱きたい。
そう覚悟したものの、俺は晃一の顔を見れずにいた。
晃一の弱みにつけこんで、身体を要求するなんて最低だろうか?軽蔑する晃一の顔が脳裏をかすめ俺は俯いたまま目を閉じる。


「ん?いいよ。」
俺の決死の覚悟をあっさり一言で返し、パンツ一枚の格好で寝室へスタスタと歩いて行く、状況が飲みこめず、そのまま呆然と佇んでしまった俺に「おーい、早くこいよ。」とハイキングでもしているかのように声をかけた。
ベットにもたれかかる晃一の目が薄暗い部屋でキラキラと光っていた。
俺は戸惑いながらも吸い寄せられるように横に腰をかけると深呼吸をして晃一を見つめた。
晃一が柔らかい表情で微笑み頷いたのを合図に伸ばした俺の手は少し震えていた。

緊張してる。

心臓の音が晃一に聞こえてしまうかと思うくらい高鳴っている。
俺が躊躇していると晃一から唇を近づける、長い舌が絡まると次第に緊張は解け晃一を抱き寄せた。
抱き合いながら肌をすり寄せ長い間、晃一の唇を貪るように味わい、熱にうなされるように指や唇で晃一の身体を隅々まで愛撫する。
時折漏れる晃一の掠れた声がさらに俺の熱を加速させ、晃一にまとわりついた邪魔な布を剥ぎ取り、露わになった晃一の硬くなったモノにじっとりと舌を這わせる。
長さはないが、ぷっくりとした大き目の亀頭と太目の竿を飲み込んでつるりとした感触を楽しんだ。
たっぷりと舌をなじませると、そのまま唇で扱き始めると晃一の声にならない吐息が漏れる。

徐々に呼吸が早くなる晃一を見上げると、大きな目がとろけそうに潤んでいる。
「・・・昭仁、俺たまってるからすぐ出ちゃうよ」
晃一の言葉ひとつで俺は目の前がクラクラする程感じていく。
舌で先端を刺激しながら吸い付くように唇を上下に動かすと晃一は歯を食いしばって絶える、声を上げさせようと、オイルを含ませ後ろをゆっくりほぐしていく。
「んっ……んっ……」
俺の唇と中を掻きまわす指の動きに合わせ晃一は徐々に声を漏らし始め、もう一方の手で晃一の太腿をなでると全身の筋肉が硬くなっていくのが伝わる。
俺の頭を両手で押さえながら晃一が身体がさらに硬くなり、それに合わせるように俺の唇と指の動きが加速していく。

「あっ……」

限界が近くなったのか晃一は俺の頭を引き離し腰を引かせた。
「あーっ……ごめん出るっ……」
後ろに指を入れたまま、もう一方の手で扱き上げると晃一は口を開けたまま顔を歪ませる。
硬く目を閉じたまま数回身体を震わせると晃一は勢いよく飛び散らせた。


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