Pooh 3
2004.10.30
=坊主頭の後輩(1/2)=

「そろそろ昭仁が帰ってくる時間だな……」
パチスロの台を睨みつけながら晃一はチッと舌打ちを一つして台を離れる。
本日の成績はさっぱりで、余ったコインは3本分のワインにしかならなかった。
タラタラと歩きながら寄生している我が家に帰ると、ドアの前に坊主頭の若い男が座りこんでいる。
まさか借金取りかと思い若干怯んだ晃一がドアの前に立つと、坊主頭の男は慌てて立ちあがった。

「えっ? ……あの、こちらは井原さんのお宅じゃ……? 」
野生的な顔立ちとは逆に礼儀正しい物腰に借金取りで無い事を確信してほっとした。
「んっ、昭仁の知り合い?」
「あの、自分、井原さんの会社の後輩で比嘉元と言います・・・・。」
まだ若いからか男のつるりとした肌と、侍のようなしっかりとした顔立ちに晃一の前が少し疼く。
「ひがはじめ? あーそう、まぁ入れば」
「いえっ、自分はここで……」
遠慮する元を強引に部屋へ招き入れると、本日の戦利品であるワインを開けマグカップに注いで元に勧める。

「えーと井原さんのルームメイトの方ですか……? 」
「俺? 違うって、ただの居候」
ゴクゴクとワインを飲みながら戸惑ってオロオロしている元の肩をバシッと叩く。
「後輩、まぁ飲めよ。」
「あっあの、俺、……今日は先輩に挨拶に来ただけっスから……」
「いいじゃん、付き合えよ、はいカンパーイ」

「で、後輩はなんで坊主なの? 」
戸惑いつつも元が一口ワインを口に含むと、晃一の手が坊主頭を気持良さそうに撫でる。
「いや自分……仕事でデカイ失敗しちゃいまして……頭丸めてみたんスけどクビになっちゃいました……ははっ」
「おぉっ! お前もプータローか、仲間じゃねーか」
「あ、あの、お名前は……」
「俺? 晃一」
「あ、晃一さんはリストラか何かですか? 」
「ん? 違うって、俺はただ仕事が無くてバイトが面倒くせぇだけ」
「はぁ……」
「で? 」
「あっ、ハイ……で自分がクビになりそうな時に井原さんが庇ってくれたんですけど、結局クビになっちゃいまして……」
「それで昭仁に挨拶に来たと、律儀な奴だなぁ」

ふんふんと頷く晃一の頭を撫でる手が頬を滑り、指先で唇をなぞられると元がピクリと身体を固くする。
「ちょっ、ちょっと……」
「ん……いいから、いいから……」
そのまま元をソファに押し倒し、晃一は素早い動きでワイシャツのボタンを外して胸の先端をくすぐる。
元が何が起こっているのか分からないまま抵抗出来ずにいると、ベルトを外され晃一の手が下着の中に滑りこんできた。
「なっ……何するんですかっ……」
股間を刺激され首筋に舌を這わせると、元が甘い声を漏らしながらも晃一から逃れようと身体をくねらせる。
「ひゃっ……ぁっ……」
「暴れるなよ後輩」
ズボンを脱がされ晃一の舌が尻を這い中心に辿り着くと、その長い舌が奥へと掻き回すように元の閉ざした扉を広げていった。
「っ……やっ……ぁっ…」
必死に晃一の頭を引き離そうとするが、足を掴まれクルリと尻が天井を向くと思う様に力が入らず、なんとも言えぬ恥かしい格好になってしまった。
あまりの恥かしさと突き刺さる晃一の舌がもたらす快感に涙が零れそうになると、上から聞きなれた優しい声が降ってくる。

「晃一、何やってんだよ。」
「はっ……ぁっ……い、井原さん……たすっ……助けて……」
助けを求めつつも自分の家で恋人らしき男と交わっていて昭仁は怒らないだろうかと元の心臓がヒヤリと跳ね上がる。
「おう、昭仁お帰り」
「お前って奴は本当に……俺んちで、ウチの会社の後輩と何を……」
「後輩はクビになったから、お前の会社の後輩じゃ無いよ」
呆れて目頭を押さえる昭仁に晃一は悪びれもせずに屁理屈をこねる。
「あの……井原さんスンマセンッ……俺……」
元は昭仁の呆れ顔と自分の格好に顔から火が出そうになりながらも、かろうじて露わになった股間を手で隠して弁解をしようとする。
「あー、謝んなくていいって、どうせ晃一が無理矢理始めちゃったんだろ? 」
「ひでぇな、まぁそうなんだけど……混ざる? 」
「晃一……お前は馬鹿か? 」
こんな状況でもしっかりと元の足を捕まえたまま、呑気な事を言う晃一に昭仁は冷たい口調で頭を掻いている。
「いっ……いはらさぁんっ……」
昭仁の冷静な言葉にほっとした元が、とにかくこの格好を止めさせてくれるように潤んだ目を昭仁に向けた―。


Top Index Next