朝帰りの後で
2004.10.25
明け方・・・玄関先でガタンと大きな音が鳴り、一瞬眠りについていた和人が飛び起きた。
付き合って2年、一緒に暮らして1年半、いったい何度目の朝帰りだろう。
和人だって睦月を縛りつけたい訳では無い、しかし夕飯を作って待っている和人の事を考えれば電話の一本くらいしてもバチは当たらないというものだ。
先に寝てしまえばいいのに、和人もついつい睦月の帰りを待って夜を明かしてしまう。
寝不足で不機嫌なままの和人が玄関先にのそっと現れると、酒臭い息を撒き散らしながら睦月が抱き付いてくる。
「睦月、どこ行ってたんだよ。」
「和人ぉ〜。」
「おいっ、くっつくなよ酒クセェな・・・。」
構わずに睦月が顔を近づけて唇が重なった。
抵抗する和人を酔っ払っているとは思えない強い力で抱き上げるとそのままベットまで運んでいく。

まったく、いつもこうだ。
和人がいくら怒っていても、睦月はいつだって強引に抱いてうやむやにしてしまう。
睦月が服を一枚ずつ脱がせながら、すっかり知り尽くした和人の敏感な部分にキスの印をつけていく。
「んっ・・・睦月・・・痕つけんなよ・・・。」
している最中、睦月はいつも和人の声など全く聞こえなくなってしまう。
指にオイルを絡めると和人の後ろにヌルリと中へ滑らせ、そのままキスの痕をつけながら甘く噛みついていった。

「ぁっ・・・・んっ・・・睦月っ・・・もっとゆっくり・・・ぁっ。」
少し太めの睦月のモノを飲み込む時はいつも最初に鈍い痛みが走る。
シラフの時は時間をかけてゆっくりほぐしてからでないと和人が受け入れないが、今朝のように酔っ払っている時は、和人の抵抗をねじ伏せて強引に入ってくる。
「いっ・・・てぇっ・・・馬鹿っ・・・んっ・・・。」
睦月が根元まで包まれるように腰を落とすと、掻き回すように腰を捻り、さらに奥へ侵入しようと腰を突き上げてくる。
「ぁっ・・・・ぁっ・・・・んんっ・・・。」
呼吸が乱れながらも睦月は声を漏らして黙々と突き上げてくる。
突き上げられる度に痛みが徐々に快感に変わり、和人の前は切ないくらいに張り詰めて込み上げてくる。
「ん・・・睦月っ・・・好きっ・・・。」
和人が甘い声を上げてしがみつくと、睦月は激しく腰をぶつけて声を上げる。
「あぁっ・・・んっ・・・駄目だぁ・・・俺もう眠い・・・出していい・・・?」
「ぁっ・・・なっ・・・眠いって何だよそれぇっ・・・!!」
潤んだ瞳で和人を見下ろす睦月は、口を開いたまま今にも果ててしまいそうな表情をしている。
「ちょっ・・・待って・・・やぁっ・・・まだ駄目っ・・・。」
和人が足で腰を抑えつけて、睦月の動きを止めようとするが、強引に腰をぶつけて体を震わせる。
「んっ・・・ぁぁっ・・・ぅっ・・・・。」
「・・・睦月ぃっ!」
抵抗も空しく和人の中に熱い液体が勢いよく注ぎ込まれると、睦月がふぅと大きく息をついて覆い被り、そのまま眠りについてしまった。
「ちょっ・・・重いっ・・・睦月っ!」
いくら叩いてもピクリともしない睦月を蹴り上げると怒りがさらに込み上げてくる。
「自分だけイクなよっ・・・この馬鹿っ。」
もう一度、睦月を蹴りつけると、重い身体を起こしシャワーを浴びる為に立ち上がる。
中途半端にされたせいで、まだ半分硬くなったままの先端からツーと露がこぼれた。
「・・・ったく、もう絶対別れてやる。」

シャワーを浴びて寝室に戻るとセミダブルのベットは鼾をかいて大の字に寝ている睦月に占領されていた。
和人は3度目の蹴りを入れると毛布を剥ぎ取りソファに横になって眠りについた。

「んっ・・・ぁぁっ・・・・。」
夢の中で睦月にたっぷり愛撫され、妙にリアルな気持良さに幸せな気持で目を覚ました。
欲求不満かなと頭を振るが、目が覚めても硬くなった股間にザラリとした感触が這い、ゾクゾクと込み上げてくる快感に思わず声を上げる。
はっきりと意識を取り戻し、毛布をめくると睦月が和人のモノを絞り上げるように咥えている。
「んんっ・・・何だよ睦月・・・。」
「ゴメンな、さっき俺一人でイッちまって・・・。」
一言文句でも言いたい気分だったが、睦月の巧な舌使いに言葉の代わりに甘い声が漏れる。
「ぁぁんっ・・・睦月っ・・・俺・・・出そう・・・。」
肩を叩いて終わりが近づいている合図をするが、睦月は唇の動きを止めずに舌を絡ませる。
「ぁはっ・・・・だめっ・・・離せよぉ・・・ぁっ・・・ダメっ・・・んんっ・・・っっ・・・。」
必死に耐えた分だけ勢い良く飛び出し、睦月の口の中で果ててしまうと、最後まで絞りとるように吸い尽くされた。
「ぁっ・・ぁっ・・・んんっ・・・ごめっ・・・俺・・・出ちゃった・・・。」
ピクピクと身体を震わせ涙声で謝ると、睦月はゴクリと喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。
「うぇー、マズイ・・・。」
これまで睦月がそんな事をした事は無かったが、和人はそのマズイものをいつも飲んでいる。
舌を出して無神経な言葉を吐く睦月に、和人は快感の余韻で震えながらも力の無い蹴りを入れる。
「そんな事言うくらいなら飲まなきゃいいだろっ・・・!」
"何だよコイツ・・・もうっ絶対に別れてやるっ!!"
涙目のまま和人が睨みつけると睦月がっと笑い、お互いの額をつけて囁くように甘い声でゴメンと笑う。
この優しい笑顔に惚れたんだよな・・・。

「特別だよ、だって今日お前の誕生日じゃん。」

「覚えてたの・・・?」
驚いて目を見開くと睦月のゴツゴツとした指が和人の唇をなぞる。
普段好き勝手やって怒らせる癖に、和人を喜ばせる事に関してはマメな男だ。
いつもそうやって騙されてるんだから・・・、和人はこんな事くらいで許さないぞと気を引き締めた。
「当たり前だろ、お前が馬鹿みたいに寝てる間にちゃんと準備したんだから。」
テーブルに目をやると料理人の睦月が特別に用意した豪華な料理が並んでいる。
「普段うちで料理なんかしないくせに・・・。」
「当たり前だ、料理人は特別な時にしか腕を振るわねぇんだよ。」
「俺の誕生日が特別・・・?」
「俺にとっちゃ1年で一番大切な日だからなっ。」
唇を重ね和人の舌をたっぷりと味わうと、睦月は「さぁ食おうぜ」とシャンパンの詮を開け始める。

・・・まったく、俺は怒ってるんだぞ・・・。
でも、まぁ・・・今日の所は別れ話はしないでやるよ・・・。
和人の気持も知らずに大きな口を開けて笑う睦月を睨みつけ、軽いキスを一つすると和人はグラスに注がれたシャンパンを一気に飲み干した。


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ひさしぶりに短編を書いてみました。
なんか私ロクデナシというかダメ男が好みなんでしょうか。
ちょっと睦月にハマりそうな自分が怖いっ!!
結構お気に入りなので、また機会があれば続編でも書ければと思ってます。