彼の太陽 4
2005.01.11
=男のプライド=(1/2)

正月はお互い帰省していたから連休を使って近場の温泉でも行こうと哲也を誘ったが、引越しと帰省で金が無いらしい。
哲也よりも遥かに収入の多い友紀が全部出すからと提案したが、年下の男にもプライドがあるからとそれも却下された。
普段は恋人だからと散々甘えてくるクセに、こんな時には線を引きたがる。
日頃、恋人としては完全に哲也が優位に立っているから、こんな時くらい良い所を見せたかった友紀は哲也の頑なな態度が面白く無かった。
哲也に男のプライドがあるなら、友紀にだって年上の男のプライドがあった。
大人気無いと判っているが、急ぎでも無い仕事をわざと持ち帰って連休の間はずっと哲也を放っておいた。

「友紀、仕事終わりそう?」
「あ?どうかな。」
どんなに態度を冷たくしても、哲也は休日に仕事をしている友紀を気遣って健気にコーヒーを淹れたり肩を揉んだりしている。
「大変そうだね……晩飯は俺が作るから頑張ってね。」
寂しそうにしている哲也を見て心が痛んだが、つい意地になってしまい完全に仲良くするタイミングを逃してしまった。

「馬鹿みてぇ…。」

哲也が出ていった部屋の中で溜息をついた。
自分がこんなに小さい奴だったかと嫌になる。
友紀も今までそれなりに恋愛をしてきたが、哲也と出会ってからは今までの経験が全く無意味だったように思えてしまう。
意地を張っているのが急に馬鹿馬鹿しくなり、仕事を放り出してそのまま床に寝転んだ。





「哲也…?」

いつの間にか眠ってしまい、気が付くと友紀の上には毛布が掛けられていた。
「友紀、起きた?仕事は大丈夫?」
眠っている友紀の横に座って本を読んでいた哲也が優しく微笑んだ。

「ん…。」
休日の昼間に眠ってしまうと目覚めた時に言い様の無い寂しさに襲われる事がある。
それは窓の外に見える薄紫に染まった空の色の所為かもしれない。
暗い部屋で目覚めた時は誰かに傍にいて欲しい。
大人になった今でも大丈夫だよと優しく慰めて欲しい。
寝転んだまま甘えるように哲也の膝に顔を埋めると、哲也は何も言わずに暗くなるまで友紀の頭を撫で続けた。
いつまでも このままでいたいと思っていると気分をぶち壊すように哲也の腹がギュルギュルと鳴った。
「腹減ったな…晩飯にしようか。」
起き上がろうとする哲也の腰に抱きついて邪魔をする。
「ちょっと友紀。」
「へへっ。」
悪戯っ子のように離れない友紀を引きずりながら哲也が起き上がると、そのまま友紀を持ち上げて抱きかかえた。
「うわっ。」

「重い…。」
175p、70kgの友紀を持ち上げて震える姿が可笑しくて、友紀は哲也の耳元を甘く噛んでから唇を舌先で撫でる。
「もうギブアップか?頑張れよ哲也。」
「このっ。」
唇を弄ばれた状態のまま、哲也は震える足でベッドまで歩いて行くと友紀を放り投げた。
「友紀が誘ったんだぞ。」
上に乗った哲也に力強く抑えつけられ、仕返しとばかりにキスをしながら服を脱がされていく。
友紀も負けずに唇や指先を使って抵抗するが、哲也の唇が首筋に吸いつくと力が抜けていった。

「ふ…んんっ……。」
暗闇の中で聞こえる哲也の息遣いと体温はそれだけで友紀を溶かしてしまう。


「ぁっ…なにっ?」
背中を這う舌が尾骨をくすぐるとビクリと身体を震わせた。
哲也と抱き合うようになってから全身どこを触れられても敏感に感じてしまうようになった。
身を硬くして震える友紀をさらに刺激するように哲也の舌は後ろの入口を開いていく。
「ちょっ…てつやっ……ぁぁっ…んっ…。」
強引に尻を広げられ、哲也の唇が音を立てて入口に吸いつくと身体中が熱くなって声を上げてしまう。
予想も出来ない哲也の愛撫に全身が痺れて涙が零れた。


Top Index Next