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 カーウェイ 

 デリング物語 

FF8の世界の現代史はガルバディア(デリング政権)の視点で見ると分かり易い。

 をもたない野心家

まず、ガルバディア大統領ビンザー・デリングその人について整理してみよう。
  •  大統領就任早々ティンバー制圧を行った野心家。 
  •  自国の首都に自分の名を付ける(=デリングシティ)ほど自己意識が強い。 
  •  ゾーンたちの父親を見せしめのために自ら撃つ。 
  •  自分を批判する者を容赦なく収容所へ。 
  •  終身大統領として絶対的な権を振るう独裁者。
これほど典型的な暴君だといっそ清々しい。権欲や野心の大きさならばFF2のパラメキア皇帝、FF6の皇帝ガストラにも負けていない。だが、彼は、FF6のガストラ帝国の高度な魔導技術やFF2の魔物軍団に代表されるような、他を圧倒するだけの“なにか”をもたなかった。FF8世界における最強国家は超科学技術と魔女を擁するエスタであり、ガルバディアは挑戦者の立場でしかなかったのである。

 エスタに代わる新たな壁

ガルバディアエスタに対抗するために、領土の拡張を試みた。その代表的なものがティンバー併合だ。
だが、ガルバディアの領土拡張はそこで止まってしまう。その最大の理由はどうやらSeeDにあるらしい。
ガルバディア
ビンザー・デリング大統領が事実上の支配者である国。対エスタ・大国主義を打ち出し、領を広げ、国領の増強を進める軍事大国である。他国への軍事行動をたびたび行うが、SeeDによって阻まれることが多い。中心デリングシティ
(チュートリアルより引用)
スコールたちを思い出して欲しい。HP600程度の若造が、G.F.を利用したアビリティ装着や魔法装着によって、5000以上のHPを手に入れることができる。SeeDの恐ろしさは、記憶障害というリスクを怖れず(厳密にはリスクを知らされず)G.F.を存分に活用できるという点であり、その圧倒的なの前では精強なガ軍さえも歯が立たなかった。
なによりも恐ろしいのは、
  •  正規軍と正面からぶつかって勝てるだけのを持ちながら、
  •  むしろ、SeeDの得意分野が破壊工作や暗殺といった裏の活動にある
という点だ。少数精鋭の特殊部隊SeeDは、いつでも、最強の暗殺部隊、テロ部隊に変貌する。バラムガーデンを潰すことはできるだろう。だが、その際にSeeDも一人残らず根絶やしにしなければ、ガルバディアは大きな爆弾を抱えることになる。しかも、SeeDの本拠バラムガーデンに侵攻するには海を渡らねばならない。リスクは大きかった。
ガルバディア政府は、SeeDでねじ伏せることを諦め、なんとかドドンナを媒介にしてSeeDに影響を持とうとしたが、もちろんノーグはガ国のその対応まで計算に入れたうえでSeeD派遣業を営んでいる。狡猾なワンマン経営者の前に、ガ国政府はいいように弄ばれた訳だ。

 魔女イデアの登場

エスタSeeD。その2つに阻まれて、ビンザー・デリングは己の野望を前進させることが殆ど出来なかった。そのまま20年近い月日は無情にも流れていく。…だが、天はデリングを見捨てなかった。少なくともデリング自身はそう思ったに違いない。なんと魔女が味方についてくれたからだ。

デリングは今こそ一世一代のチャンスに思えた。
  1.  イデア魔女ということは、もうアデル魔女ではない!?
  2.  アデルエスタを支配していたという事実から「魔女エスタの科学」。 
  3.  魔女さえいれば、エスタなんて怖くない! 
  4.  もちろんSeeDだって怖くない! 
  5.  大統領就任時からの目標、世界制覇の夢、魔女イデアがいれば果たせるッ!
そして、FF8劇中でお馴染みの展開へと話が繋がる。
  •  電波塔を再稼動させるという、ただそれだけの目的のために、ガルバディアドールに侵攻する。魔女が自分の参謀であるという事実を世界に知らせることには、それだけのリスクを侵す価値があった。
  •  ティンバーの放送局でデリングは「世界の全ての争いを終わらせる用意がある」と語った。これは魔女を背景としたガルバディア一極支配の実現を意図したものであり、平和大使として魔女イデアを紹介したことは、実質的には、各国に対する脅迫であった。
  •  魔女イデアのために開かれた大パレード。そこからデリングがどれだけ魔女イデアを重く見ていたかが分かる。
だが、魔女イデアの登場で舞い上がっていたデリングの姿を冷めた目で見つめる男がいた。ガ軍の実質的な最高権者フェーリー・カーウェイその人だ。
  •  エスタ魔女に支配されて恐怖の国へと変貌した。
  •  カーウェイは、エスタと同様にガルバディア魔女に乗っ取られることを怖れた。
  •  彼は利害が一致したドドンナと共に、魔女暗殺計画を練りはじめた。
その計画に巻き込まれたのがスコールたちだった。


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