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 魔女と騎士

ネタバレを禁止する(テスト版)
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 現代の魔女イデア

 シドの正体
一見すると普通のおじさんにしか見えないFF8シド。だが、その正体は先代の魔女の騎士だ。Disc3魔女になったリノアに、イデア魔女としての心構えや魔女の騎士のことを話す。そのときイデアは間接的ながら語る。
リノアイデア騎士は…?」
イデア「もちろん、いますよ。今も一緒にいてくれて私を守ろうとしてくれています」
あの温厚そうなシド魔女の騎士とは……。魔女の騎士に夢中だった頃のサイファーが聞いたら、どんな反応をしたのだろうか。

シド魔女の騎士だとしたら1つだけ疑問がある。あの貌や劇中での行動から考えて、彼は大した戦闘を持っていないだろう。ろくに戦えないシドがどうして“騎士”なのか? その答えは、ずばりイデアが語っている。
イデア「あのね、リノア魔女でいることの不安を取り除いてくれる方法を教えましょう。それは…魔女の騎士を見つけることです。いつでも貴方のそばにいて、あなたを守ってくれる騎士
イデア騎士はあなたに安らぎを与えます。あなたの心を守ります。だからリノア。あなたの心の騎士を見つけなさい」
つまり、魔女の騎士とは、魔女のために戦う戦士ではなく、魔女精神的に支える人間なのだろう。だとすれば、サイファーは一度も魔女の騎士になれなかったことになる。なんだか哀れな話だ。
 シド物語における役目とはなにか? 
孤児たちの身代わりになって魔女を継承し、それが長く続く苦労に繋がったことから、妻であるイデアにばかり注目が行きがちだが、そもそもイデアがそのような好人物になれたのはシドの存在があったからである。
先ほど引用した発言をもう一度引用してみよう。
イデア「あのね、リノア魔女でいることの不安を取り除いてくれる方法を教えましょう。それは…魔女の騎士を見つけることです。いつでも貴方のそばにいて、あなたを守ってくれる騎士
イデア騎士はあなたに安らぎを与えます。あなたの心を守ります。だからリノア。あなたの心の騎士を見つけなさい」
イデア騎士がいない魔女は多くの場合、を悪しき道のために使ってしまうのです」
リノアイデア騎士は…?」
イデア「もちろん、いますよ。今も一緒にいてくれて私を守ろうとしてくれています」
魔女という特殊な境遇ゆえに心理的に不安定だったイデアを支えたのがシドだったのだ。イデアシドに救われたからこそ、今度は自分が孤児たちを救おうという気持ちになったのだろう。つまり、シドイデア孤児たちという流れなのである。愛の起点はシドであり、彼がいなければ、FF8という物語は根本的に成立しない。

 未来の魔女アルティミシア

 アルティミシアの目的
アルティミシアはどうして時間圧縮なんて暴挙を行おうと思ったのだろう? その理由は実はゲーム序盤、Disc1イデアの口を通して語られている。
「…薄汚れた愚か者ども。古来より我々魔女は、幻想の中に生きてきた。愚かな幻想だ。恐ろしげな衣装を身にまとい、残酷な儀式で善良な人間を呪い殺す魔女、無慈悲な魔法で緑の野を焼き払い、暖かい故郷を凍てつかせる恐ろしい魔女。…くだらない」
「ならば、愚かな者、おまえたち! こうするしかない。みずからの幻想に逃げ込め! 私はその幻想の世界で、お前たちのために舞い続けよう! 私は恐怖をもたらす魔女として、未来永劫舞い続けよう!」
抽象的な発言なんで分かりにくいと思うけど、要するに、
  1.  自分は邪悪な魔女じゃなかった
  2.  にも関わらず人々は自分に偏見を抱き迫害を止めなかった
  3.  そこまで偏見を抱くならもういいよ…お前らのお望みどおり邪悪な魔女になってやる
どうしてアルティミシアはこんな極端な考えを抱いてしまったのだろう? その理由はイデアが示唆している。
イデアアルティミシアは恐ろしい魔女です。心は怒りに満ちあふれています」
イデア騎士がいない魔女は多くの場合、を悪しき道のために使ってしまうのです。アデルには騎士はいなかったと聞いています。おそらく、未来の魔女アルティミシアにも騎士はいないのでしょう」
アルティミシアには自分の不満や苛立ちを相談できる相手(=騎士)がいなかったらしい。不安、不満、怒り、苛立ち、その他もろもろの負の感情が発散されることなく積もりに積もって、ついに爆発してしまったということか。
 時間圧縮の動機
先ほど紹介したアルティミシアの発言にもう1度注目してみよう。
  •  「みずからの幻想に逃げ込め! 私はその幻想の世界で、お前たちのために舞い続けよう!」
  •  「恐怖をもたらす魔女として、未来永劫舞い続けよう!」
アルティミシアの望みは、人々に未来永劫の恐怖を与える幻想世界を作り出すこと。しかし、彼女にはその望みを実現させるほどのはなかったらしい。
ライブラ文章
時間圧縮魔女をたくさん集めるための手段だったわけだ。
 アルティミシアとサイファー
ゲーム序盤でサイファーは言う。
サイファー「オレは戦闘が大好きだ。怖いことなんて何もない。戦闘が終わっても生きてるってことは、確実に夢の実現が近づいているってことだ」
サイファー「いつか聞かせてやるさ! オレのロ〜〜〜マンティックな夢をな!」
サイファーは将来への憧れや目標という意味で『夢』という言葉を使った。

それに対して、
イデアの中のアルティミシア「幻想の中の恐ろしい魔女ガルバディアの味方になると知り、お前たちは安堵の吐息か? 幻想に幻想を重ねて夢を見ているのは誰だ?」
イデアの中のアルティミシア「自らの幻想に逃げ込め! 私はその幻想の世界で、お前たちのために舞い続けよう! お前たちと私。ともに創り出す究極のファンタジー。その中では生も死も甘美な夢」
アルティミシアは現実逃避の幻想や妄想という意味で『夢』という言葉を使う。

2人の言う『夢』という言葉に大きな隔たりがあることを踏まえたうえで、2人のやりとりを見るとなんとも言えない気分になる。
アルティミシア「忠実なる魔女の騎士サイファーよ。魔女は生きている…魔女は希望する。海底に眠ると伝えられし、ルナティック・パンドラを探し出せ。さすれば魔女は再びお前に夢を見せるだろう」
サイファー「おおせの通りに。アルティミシア様」
アルティミシアはどういうニュアンスで『夢を見せる』と言ったのか。サイファーアルティミシアのその言葉をどういう意味に受け取ったのか。


最後まで魔女の信頼を得ることができなかった騎士。最後まで騎士を信頼しようとしなかった魔女。どちらも悲しいね。

 魔女で何ができる?

 人の心を読む
ゲーム序盤アルティミシアは言う。
「…可哀想な少年混乱している可哀想な少年。さあ、行くの? 退くの? お前は決めなくてはならない。お前の中の少年は行けと命じている。お前の中の大人は退けと命じている。どちらが正しいのか、お前には分からない」
アルティミシアサイファー初対面だ。まだ出会って数十秒しか経っていない。にも関わらずアルティミシアサイファーの微妙な心理状態をずばり言い当ててしまった。おそらく、アルティミシアには人の心を読むがあるのだろう。
アルティミシア「お前の思う、最も強い者を召喚してやろう。お前が強く思えば思うほど、それはお前を苦しめるだろう」
クライマックスでもスコールの心を読んでグリーヴァ召喚しているしね。


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