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エンディングの意味

ネタバレを禁止する(テスト版)
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FF8のシナリオが謎に満ちているのは、ずばりエンディングのためだと思っていい。伏線をひたすら溜めこんでエンディングで一気に解消するという、なかなか豪快なことをFF8はやっている。このページでは、エンディングの進行順は無視して、分かり易そうなものから順に解説していこう。他のページと重なっている話題も多々あるけど、その辺はまあ御愛嬌ということで。

 記憶障害の真の脅威

Disc2終盤、スコールたちはG.F.の副作用で自分たちの記憶に障害が起きていることに気づく。
ところが、スコールたちは別に過去の思い出なんて惜しくないと、この問題を放置してしまった。
  •  実はその判断があとあと致命的な問題に発展することになる
  •  スコールたちは記憶の喪失を恐れずG.F.を使い続けた
  •  当然Disc3〜4もスコールたちの脳内では記憶障害が進行している
スコールたちは幼少期の記憶なんて惜しくないと考えてG.F.を使い続けたが、そもそもG.F.による記憶障害が遠い昔の記憶に限定されると決まっているわけではない。記憶がどこまで侵食されるか分からないままスコールたちは邪悪な魔女と戦い続けた。
そう!記憶障害が更なる牙を剥いたのだ。スコールは慌てて記憶の糸を探り寄せる。サイファーイデアアーヴァインアルティミシア…etc。他のみんなのことは思い出せるのに、リノアのことだけが思い出せない。あれ? あれれっ!? どういうことだ!? スコールは必死でリノアのことを思い出そうとするが記憶はどんどん混乱し……ようやくリノアのことを思い出せたと思ったら、それは宇宙でリノアが死んだという悪夢の記憶だった…。

G.F.の記憶障害のメカニズムはまだはっきりと解明されたわけではない。自分が最も大切にしているものの記憶をピンポイントで読み出せなくするような副作用があったのかもしれないし、記憶障害だけでなく記憶の改変という副作用すらあったかもしれない。どこまでがG.F.の副作用で、どこからがパニックに陥ったスコールの妄想なのかは定かではないが、このことでスコール精神的に大きなダメージを受け、現代に戻る気を無くして倒れたのはまぎれもない事実だった。

 リノアの悲願

もともとリノアは、スコールたちの依頼者、つまり“お客様”の立場だった。しかし彼女は同世代の若者たちの頑張っている姿やスコールへの憧れから、Disc2終盤である決意をする。
リノア「…私、戦うから。守られるだけじゃ嫌だから戦う。私にも誰かが守れるなら戦う。みんなと一緒にいたいから戦う
だが、彼女はプロ傭兵ではない。どんなに硬い決意を固めたとしても素人はしょせん素人にすぎない。
意気込みはどんどん空回りし、誰かを守るどころか、みんなの足手まといになってしまった。

これはよく考えれば当たり前のことだ。
スコールたち 兵士になるために何年も訓練を重ねてきた
リノア そのような訓練を受けたことは一度もない
リノアは素人。いくら強い決意したからといって、そう簡単に助ける側に回れるわけがない。
  •  みんなのになりたい。
  •  ところが、みんなのになれない。
  •  それどころか、足でまといになってしまう。
そんな苦しい状態のリノアが、ようやく自身の願い、目標を達成できたのがエンディングだ。
FF8って、実はリノアの成長物語でもある。スコールキスティスと衝突していたDisc1、みんなの影響を受けて考えかたが変わってきたDisc2、みんなに迷惑を掛けたくないと自ら封印されることを望んだDisc3、そしてスコールを救ったDisc4(エンディング)。物語の王道といえば王道だね。

 オープニングと組み合わせてみて分かる真相

FF8のオープニングムービー、実はエンディングの時間圧縮世界をリノア視点で描いたものだったりする。
ここまでがオープニングムービー。これ以降の展開はエンディングで描かれている。
  •  色々あって時間圧縮の世界で気絶してしまったスコール
  •  そこに一枚の白い羽が舞い降りる。
  •  白い羽に導かれるようにリノアが登場!
そう、リノアを気絶していたスコールのもとに導いたのは魔女! あんなに忌々しく思っていた魔女が、結果的に愛する者を救うことができたんだから、なんとも皮肉なものだ。

 シドの謎の発言の答え

劇中シドは至る場面で意味深な発言をする。
シドスコール、よろしくお願いしますよ。これは君のです」
シド魔女討伐の先陣に立つことは、君の定めなのです」
命だの定めだの。まるでシドスコールの未来を知っているかのような…? どういうことだろう?

その疑問が解けるのもエンディングだ。

エンディングでスコール13年前イデアと出会う。そこで言う。
イデア「あなたは私をママ先生と呼んだ。あなたは…だれ?」
スコールSeeDバラムガーデンSeeD
イデアSeeD? ガーデン?」
スコールガーデンSeeDママ先生が考えた。ガーデンSeeDを育てる。SeeD魔女を倒す」
イデア「あなた、何を言ってるの? あなたは…あの子の未来ね」
こうしてイデアは、将来スコールが邪悪な魔女戦う宿命にあることを知った。つまり、
Disc2スコールは、
※理由
自分がガーデンに残ったのは自分の性格のせいだろうと推測していたが、実際はシドの意向だったわけだ。…しかし、なぜシドはそんな大事なことを劇中で語らなかったのだろう?
シド「これは君の命です。魔女討伐の先陣に立つことは、君の定めなのです」
スコール「俺の人生が最初から決まっていたみたいに言わないでくれ!」 
実は『語らなかった』ではなく『語れなかった』。スコール当人にこう言われては、さすがのシドも何も言えまい。かくして真実を知る機会はエンディングまで持ち越されたわけだ。

 幼馴染結集の本当の理由…?

スコールたちは幼馴染が結集したのは単なる偶然だと思っていた。偶然だからこそ価値がある、この奇跡を大切にしたい、そんなアーヴァインも言っていた。しかし、本当に幼馴染の結集は偶然の産物なのだろうか? シドスコール命を最初から知っていたとなると、今までの“幼馴染の終結は偶然”という推測も考え直さねばならなくなるのではないか?
結局スコールは、どう転んでも孤児院組の生徒と共に戦うことになったんじゃないだろうか。

 命論の世界

我々の世界、現在の日本では、未来は過去や現代を積み重ねて生まれるものだと広く信じられている。でも、どうやらFF8の世界は違うようだ。FF8の世界には人間どころか魔女にすら覆すことのできない命というものが存在し、全ての存在はそれに翻弄されながら生きている。だからFF8の世界では『過去を変えたら未来はどうなる?』と悩む必要がない。誰かが過去に行くことも、そこで行うことも、最初から“命”として織り込み済みで歴史が出来上がっているようだ。
このような世界観はもちろんFF8のオリジナルではなく、実はギリシア神話や北欧神話、さらにはプロテスタント系のキリスト教などでも見られるものだったりする。FF8は文明の発達した世界を舞台にしているけど、そういう世界観の核となる部分では神話等から設定を引っ張ってきているところが興味深い。題名に“ファンタジー”を冠しているけど、単に魔法を出すのではなく、ちょっと捻ってみたってところかな。


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