FF8のシナリオが謎に満ちているのは、ずばりエン
ディングのためだと思っていい。
伏線をひたすら溜めこんでエン
ディングで一気に解消するという、なかなか豪快なことを
FF8はやっている。このページでは、エン
ディングの進行順は無視して、分かり易そうなものから順に解説していこう。他のページと重なっている話題も多々あるけど、その辺はまあ御愛嬌ということで。
Disc2終盤、
スコールたちは
G.F.の副作用で自分たちの記憶に障害が起きていることに気づく。
※
ところが、
スコールたちは別に過去の思い出なんて惜しくないと、この問題を放置してしまった。
- 実はその判断があとあと致命的な問題に発展することになる
- スコールたちは記憶の喪失を恐れずG.F.を使い続けた
- 当然Disc3〜4もスコールたちの脳内では記憶障害が進行している
|
スコールたちは幼少期の記憶なんて惜しくないと考えて
G.F.を使い続けたが、そもそも
G.F.による記憶障害が遠い昔の記憶に限定されると決まっているわけではない。記憶がどこまで侵食されるか分からないまま
スコールたちは邪悪な
魔女と戦い続けた。
そう!記憶障害が更なる牙を剥いたのだ。
スコールは慌てて記憶の糸を探り寄せる。
サイファー、
イデア、
アーヴァイン、
アルティミシア…etc。他のみんなのことは思い出せるのに、
リノアのことだけが思い出せない。あれ? あれれっ!? どういうことだ!?
スコールは必死で
リノアのことを思い出そうとするが記憶はどんどん
混乱し……ようやく
リノアのことを思い出せたと思ったら、それは宇宙で
リノアが死んだという悪夢の記憶だった…。
G.F.の記憶障害のメカニズムはまだはっきりと解明されたわけではない。自分が最も大切にしているものの記憶をピンポイントで読み出せなくするような副作用があったのかもしれないし、記憶障害だけでなく記憶の改変という副作用すらあったかもしれない。どこまでが
G.F.の副作用で、どこからがパニックに陥った
スコールの妄想なのかは定かではないが、このことで
スコールが
精神的に大きなダメージを受け、現代に戻る気
力を無くして倒れたのはまぎれもない事実だった。
もともと
リノアは、
スコールたちの依頼者、つまり“お客様”の立場だった。しかし彼女は同世代の若者たちの頑張っている姿や
スコールへの憧れから、
Disc2終盤である決意をする。
リノア「…私、戦うから。守られるだけじゃ嫌だから戦う。私にも誰かが守れるなら戦う。みんなと一緒にいたいから戦う」
だが、彼女はプロ傭兵ではない。どんなに硬い決意を固めたとしても素人はしょせん素人にすぎない。
意気込みはどんどん空回りし、誰かを守るどころか、みんなの足手まといになってしまった。
これはよく考えれば当たり前のことだ。
スコールたち | 兵士になるために何年も訓練を重ねてきた |
リノア | そのような訓練を受けたことは一度もない |
リノアは素人。いくら強い決意したからといって、そう簡単に助ける側に回れるわけがない。
- みんなの力になりたい。
- ところが、みんなの力になれない。
- それどころか、足でまといになってしまう。
|
そんな苦しい状態の
リノアが、ようやく自身の願い、目標を達成できたのがエン
ディングだ。
FF8って、実は
リノアの成長
物語でもある。
スコールや
キスティスと衝突していた
Disc1、みんなの影響を受けて考えかたが変わってきた
Disc2、みんなに迷惑を掛けたくないと自ら封印されることを望んだ
Disc3、そして
スコールを救った
Disc4(エン
ディング)。
物語の王道といえば王道だね。
FF8のオープニングムービー、実はエン
ディングの
時間圧縮世界を
リノア視点で描いたものだったりする。
ここまでがオープニングムービー。これ以降の展開はエン
ディングで描かれている。
- 色々あって時間圧縮の世界で気絶してしまったスコール。
- そこに一枚の白い羽が舞い降りる。
- 白い羽に導かれるようにリノアが登場!
|
そう、
リノアを気絶していた
スコールのもとに導いたのは
魔女の
力! あんなに忌々しく思っていた
魔女の
力が、結果的に愛する者を救うことができたんだから、なんとも皮肉なものだ。
スコールたちは幼馴染が結集したのは単なる偶然だと思っていた。偶然だからこそ価値がある、この奇跡を大切にしたい、そんな
風に
アーヴァインも言っていた。しかし、本当に幼馴染の結集は偶然の産物なのだろうか?
シドが
スコールの
運命を最初から知っていたとなると、今までの“幼馴染の終結は偶然”という推測も考え直さねばならなくなるのではないか?
結局
スコールは、どう転んでも
孤児院組の生徒と共に
戦うことになったんじゃないだろうか。
我々の世界、現在の日本では、未来は過去や現代を積み重ねて生まれるものだと広く信じられている。でも、どうやら
FF8の世界は違うようだ。
FF8の世界には人間どころか
魔女にすら覆すことのできない
運命というものが存在し、全ての存在はそれに翻弄されながら生きている。だから
FF8の世界では『過去を変えたら未来はどうなる?』と悩む必要がない。誰かが過去に行くことも、そこで行うことも、最初から“
運命”として織り込み済みで
歴史が出来上がっているようだ。
このような
世界観はもちろん
FF8のオリジナルではなく、実はギリシア神話や北欧神話、さらには
プロテスタント系のキリスト教などでも見られるものだったりする。
FF8は文明の発達した世界を舞台にしているけど、そういう
世界観の核となる部分では神話等から設定を引っ張ってきているところが興味深い。題名に“ファンタジー”を冠しているけど、単に
剣や
魔法を出すのではなく、ちょっと捻ってみたってところかな。