花火 P1



竹本はその日、前日の会議が長引いて会社に泊まることになった社長の佐久間孝平を起こすために、いつもより早く出社した。
秘書を任されてから五年が経つ。
彼は自分の今の仕事に満足していた。

そのせいか、三十歳になった今でも独身。
女の気配すらない。
それは仕事が忙しいというのもあったが、それ以上に好きなことがあった。

竹本は、社長室の前まで来ると一度深く深呼吸して、慎重に扉をノックした。
「竹本です。入ります。」
返事はない。
そのまま入ってしまうと、奥の仮眠室へ直行する。

再びノックをして中に入ると、一つしかないベッドにシャツも着替えずに昨日の格好のまま眠る孝平の姿があった。
深く眠っている様子だが、朝の八時には起こすようにと言われている。

「社長。起きてください。」
揺さぶってみるが起きない。
「社長。」
三度揺さぶると孝平がうっすらと目を開け、竹本を見た。
腕を伸ばして竹本の首を持って体を引き寄せ、唇を重ねる。

そう、竹本は孝平の、社内愛人。

最近は、孝平に抱かれることを望んでいる。
「しゃちょ…っ。んん…っ。」
強引な、求めるようなキス。
寝ぼけてたまま唇を重ね続けた孝平は、徐々に目を覚ましてきた。
ふと我に返り、嬉しそうに唇を重ねて来る竹本をじっと見た。
そして、挑発的な目で、笑った
「なんだ、お前か。」

その目、ゾクゾクする。
「社長…。」
「今日はお前と遊んでる暇はないよ。今何時だ?」
「…八時です。」
「うん、さすがだ。」
少し不満そうな竹本に目もくれず、孝平は立ち上がって背広に腕を通した。
その通し方が、好き。

「例のアレ、取ってくれただろうね?」
「隣町の湖である花火大会のためのホテルですか。はい、取りましたよ、二名。」
「そう、それだ。ありがとう。」
「…どなたと、行かれるおつもりなんですか?」

竹本は、自分だったらいいと願いつつ、それが絶対にないことはわかっている。

孝平は意味深に笑うと、言った。
「息子だ。一番不幸な、ね。」


「……花火?父さんそれ本気?」
「ああ、本気さ。二人で行こう。」

珍しく仕事を早く終えて家に帰った孝平は、夜まで待って長男恭平の部屋に忍び込んだ。
恭平が足を怪我してから、孝平の恭平に対する愛情はより一層深くなったようだ。
会社や家、場所を問わず二人きりになろうとする。
二人きりになってすることと言ったら一つだ。
今も、恭平の裸体を後ろから抱き締めたまま二人で布団に入っていた。
激しくすると恭平が眠ってしまうので、そうなる前に伝えたかった。

「でも…その日の夕飯とかは。」
「一日くらい、お前の休日があってもよかろう。」
「そうだけど…。っ、あぁ…っ!」

孝平が、結合したままの状態で腰を動かした。
恭平がビクリと反応を見せる。
「いいね、恭平。」
言って腰から腕を回し、前にある恭平のものをしごいてやると、既に何度か射精して敏感になっていた恭平は、すぐに絶頂に近付いた。

「ぅんぅ…っあぁっ!はぁっやぁぁぁはっ……っ!」
甘い嬌声をあげて、恭平がイった。
イく瞬間の恭平の顔といったら、何よりも興奮させる。

もっと、そんな顔をして。

恭平の、整い始めた呼吸がまたもや速くなる。
「あぁ…っ!父さん…っ早いよ…ぉっ!!んうぅん…っ。」
続けて揉みこんでやると、再び下半身に熱が帯び始めた。
逃れようともがくが、もがけばもがくほど、股間の穴に挿入されたものが変な風に動くし、前にあるものを揉む力も強くなった。

「あぁん…っはぁぁん…っ!ふ…ぅっうぁっ!」
「早いのはお前だよ…恭平。」

「や…っ、あ!くぅん…っ、はぁぁぁっ!」
またイっちゃう…!

「あ、…あ!…っあああぁぁぁぁ…っ!!」

恭平が力のない声を上げて、喉を仰け反らせるようにして孝平の手の中に射精した。
孝平はその様子を満足そうに見つめながら、恭平の首の後ろにキスを落とした。
恭平の速い呼吸を感じる。

ぐったりとして枕に顔を埋めた恭平に、孝平は言った。
「まだ寝たら駄目だ。私がまだだよ。」
その言葉に恭平の体がピクリと震える。
すでに何度も射精をしていた恭平は、体力的に限界だった。
挿入されてからどれくらいの時間が経ったというのか…。

「も…っ。寝たい…。」
「それじゃあ、寝ていいよ。…寝られたらね。」
孝平が、恭平に覆いかぶさるようにして身を起こした。
腰から引っ張られて、恭平は四つん這いに手をついた。
先程の射精でかいた汗が、額から頬にかけて流れてシーツに落ちる。

「父さ…っ。」
恭平の抗議の声を掻き消すように、恭平が恭平の中から腰を突いた。
中で待機していた孝平のものは、少しも外れずに恭平の前立腺を刺激した。
恭平の体が大きく跳ねる。

「う、うあぁ、ぁ、ぁあ…ッ!あ、はぁっひぁあッ!」

この日の孝平はなかなか恭平の体を離してくれず、激しい動きで恭平の最奥まで何度も突いてきた。
恭平はその度に甘い嬌声を上げ、射精してしまう。

「んんっ!くぁ…っ!はあぁぁあぅ……ッ!」
お陰で次の日、恭平は風邪をひいたように声がかすれ、睡眠不足な上に体中が痛かった。


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