見るだけでは P6
「ん!んふ…っ。」
恭平の体がビクンビクンと跳ねる。
城山の舌が、キスマークのある位置を執拗に嘗め回した。
ああ…!このままだと…時間の問題かも…っ!
恭平は、興奮を抑えるのに限界を感じた。
そんな時、城山が唾液の糸を引きながら恭平から離れた。
湿った舌で、ペロリと唇を舐めて、恭平を見た。
「一番気持ちよくなったところを、ちゃんと見てあげるからね。安心して私に任せておきなさい。」
何をどう安心して任せるというのか。
恭平は高潮した頬を引きつらせて首を振った。
「直接的な刺激がいいか、間接的な刺激がいいか…。君はどちらがイイ?」
「うっ、んんぅっ!」
「ふむ…時間はまだあることだし、じっくりジワジワといこうか。」
城山は自問自答して、先ほどから天を向いて光っている乳首に、噛み付いた。
大きく吸い付くように包み込んで、それから舌で丹念に舐めてやると、口の中でそれがより一層ピンと硬くなった。
「ふぅんん…!うんんぅんん!!」
恭平の体が硬直し、震えだす。必死に興奮に耐えているようだが、カラダは正直に興奮を表していた。
「すごいな。君の体をこんな風に調教したのは一体誰だい?沖田くんかい?かなりそそるよ…その反応。」
「うんんんぅぅぅ……っ!」
乳首をしゃぶりながら喋ると、恭平が奇妙な感覚に打ち震えた。
「イイ形をしていると思ったが…まさか触感までこんなにイイとは。ね?」
「ふぅっ。んんん!」
「褒めているんだよ…恭平くん。」
「ん!んー!んぅ…っ!!」
今度は反対の乳首をくわえ込んで、同じように嘗め回す。
性感帯を弄くられて、恭平の触覚は限界が近かった。
このままでは、今日知り合ったばかりの、しかも友人の恩師に犯されて恥を晒してしまう…!
助けて、父さん…!!
城山が両方の胸に手をあてがい、揉み解し始めたその時だった。
「うんんん…っあぁ…!!」
恭平の理性が吹っ飛ぶその直前。閉まっていたはずの扉が開いて、人が入ってきた。
「何をしているのですかな、城山さん。」
恭平の胸を揉む手が止まり、城山が勢いよく振り返った。
「誰だ?!」
朦朧とした頭で、その声の主を、恭平は知っているような気がした。
城山が睨む方向に、その男は立っていた。
「竹本伸彦ですよ。お忘れですか。」
「な…?!」
城山が明らかに驚愕の声をあげ、その場に崩れ落ちた。
竹本…?
恭平の興奮が急激に冷めていく。
父さんの秘書の竹本。彼に、こんな無様な姿を見られてしまった。
「相変わらずこのようなことをして、いつか法に掛かりますよ。」
「…同性に犯されて、訴えるような奴は日本にはおらん。」
「そういう問題ではないでしょう…。そこの、貴方が食い物にしようとしていた男を、誰だかわかってそういうことをやっていたのですか?」
「名前くらいは、知っている。」
竹本が軽く溜息をついて、二人の元に近づいてきた。
恭平と目が合うと、いつもの笑顔で微笑んだ。
何故だか、少しだけ安心した。
「可愛そうに。大丈夫ですか。今、手当てを。」
竹本はまず、恭平の口に巻かれたハンカチを外し、それから手首のパーカーを外してやった。
「た、たけ…。」
「いいですよ。誰にも言いません。約束です。」
いつもより優しいような竹本の声。ズボンを上手く恭平にはかせると、その様子を静かに見ていた城山に向き直った。
「佐久間建設は、貴方のスポンサーから手を引かせていただきます。いいですね?」
「な、なぜだ!それとこれとは……っ?!」
はっと気付いたような顔つきになり、城山が恭平の方を見る。
ビクリと震えて、恭平は竹本の背に顔を沈めた。
「社長の跡取り息子さんです、恭平さんは。その方に手を出したのですから、それ相応の覚悟はしてもらわないと。いいですね?」
跡を取ると約束した覚えはないし、孝平からもそんな話は聞いたこともないが、恭平は取り合えず黙っていた。
縛られていた腕や足が、今頃になってズキズキと痛む。
「そ、そんな…!知らなかったんだ!本当なんだ!!」
「問答無用ですよ。あなたの信頼のためにも、社長には私からうまく言っておきますけどね。今後はどうなってもこちらとしては一切援助はいたしません。そのおつもりで。」
竹本はそういい残し、恭平を促して部屋から出た。
そのまま手を引いて建物の外へ出て、振り返った。
「危ないところでしたね。私が偶然通ったからよかったものの…。」
「あ、ありがとうございます…。ごめんなさい。でも何故、ここに?」
「先ほどもちらりと言いましたが、うちの社がスポンサーをやっているので、招かれた社長の代わりに私がやって来たのですよ。」
竹本は小さく溜息をついて、恭平の腕を取った。
「…この跡は、しばらく残るかもしれませんね…。さて、なんて社長に報告しますか…。」
「あ…。」
恭平は今にも泣き出しそうな情けない顔をして俯いた。
父さん…本当のことを言ったら怒るだろうか…。
「あの。俺が、ちゃんと、言います。俺のことだし…。」
「いいのかい?…言っちゃ何だけど、相当恥ずかしいことされてたと思うけど。」
竹本の目が、眼鏡の奥で光った。
しかし恭平は俯いているので気付いていない。
「はい…。たぶん、大丈夫です。」
軽いお仕置きを受ける羽目になるのであろうが、竹本さんには迷惑をかけたくなかった。
あの場を助けてくれただけで十分だ。
竹本は、目の奥を隠して頷いた。
「そこまで言うのなら、お任せいたします。」
「ありがとうございます。」
恭平は、丁寧に頭を下げた。