1月15日 P1



前の年が去り、次の年が来ても、孝平の忙しい毎日はあまり変化がない。
元旦と二日だけは休暇を取ったが、会社関係者が次々と訪ねて来るので自宅にいても所詮は同じことだ。
恭平は生まれてこのかたこういう生活には慣れていたが、やはり気配りや料理の用意で死にそうなほど忙しいと疲れる。
正月用の着物がさらに疲労感を醸し出す。袴だと動きづらいことこの上ない。
今年は、元旦の夕方から頭痛がし始め、ほとんど終わった三日目には微熱が出た。新年からついてない。

恭平がソファに寄り掛かってぼんやりしていると、バイト帰りの良平が眉をしかめて言った。
「最近兄貴、どうも体調よくねぇな。病院行く?」
「いや…たぶんしばらくしたらよくなるからいいや。」
「無理してっと母さんみたいになるぞ。明日熱がひかなかったら引きずってでも連れてくからな。」
「…じゃあ、今日は早めに寝ようかな。」
「うん。」
半ば強制的な感じで早めに就寝したお陰か、次の日にはだいぶよくなって、良平はどこか悔しそうな顔をした。
今後のためにも病院に連れて行きたかったらしい。

五日には兄弟で母親の墓参りをした。
六日になると順番に大学と高校が再開し、年始の雰囲気が去った。
またいつもの日々が始まる。

ある天気のいい日、恭平は課長のデスクに呼び出された。
恭平が向かうと、デスクに座った課長から小包を渡された。
「これを郵便局まで届けてきてくれって。」
「…俺がですか?」
「ウン。社長の指示だって、さっき竹本くんが来て置いていったよ。」
「わかりました。」
恭平は受け取ってから首を傾げた。

わざわざどうしてバイトの息子に郵便物を預けるんだ?
よくわからないが指示ならば仕方がない。
恭平は打ちかけのパソコンの電源を落とし、コートを羽織ってビルを出た。
郵便局までは歩いて十分。
恭平の足でも二十分見れば余裕だ。

太陽の日差しを浴びながらひたすら歩き、郵便局へ着いた。
幸い空いていてすぐに終わった。
相手先の住所も書いてあったし、特別急ぎの荷物でもなさそうだ。
不思議に思いながらも領収書を丁寧に畳んで財布にしまい、郵便局の自動ドアを出た。

三段の階段を一つずつ降りて、建物の隣にある駐車スペースを横切る。
黒い車の前を通った時、背後で人の足音が聞こえた。

「?」

無意識に振り向いたところ、目の前に誰かの腕が迫ってくる。
驚いて声を出す前に口も塞がれて、何をどうされたのか、車の中に引きずりこまれた。
背後からシートにぶつかって悶絶する。
膝の下に回された腕が足を折り畳み、バタンッとドアを閉める音がした。

「ん…!な、なに?!誰?」
叫んで抵抗すると、腕を掴まれた。
大きな手。
この感触には覚えがある、そう思った瞬間に、相手の顔が見えた。
独特の笑顔で笑いながら、こちらを見てる。

「…。」
「なんだ、苦虫を潰したような顔して。私じゃいけなかったかな。」
強張っていた全身から力が抜ける。
聞き慣れたその声は、予想外なことこの上なかった。

「父さん…?」

狭い車内で、恭平の体を押さえ込むように乗っていたのは佐久間孝平。
佐久間建設の社長で、きりっとした表情の恭平の実の父親。
恭平は自分の置かれた状況を認識して、恥ずかしくなって顔を背けた。

「い、痛い父さん、離して。」
恭平の言葉に従って、孝平は素直に手を離した。
後部座席のシートからずり落ちそうになった体を支えて、恭平は尋ねた。
「こんな真似して…一体どういうこと?」
「小包、ちゃんと出してくれただろうね。」
「うん。それと一体何の関係が…」

言いかけた言葉は、孝平が唇を塞いでしまったために紡がれることはなかった。
熱い。
孝平の舌が、恭平の唇を上下に割って中へ侵入してくる。抗えずにそれを受け入れた恭平は、体重を支えきれずにシートから落ちそうになった。
孝平の腕がその身体をうまく支えて持ち上げる。
その刺激で奥まで舐められて、恭平の身体がヒクンと震えた。
「…はっ。」
重ねなおした唇の隙間から息が漏れる。
恭平は呼吸が苦しくなって、孝平の首に腕を回した。
溢れた唾液が恭平の頬を伝う。

「あっ。と、父さん…!」
孝平は火照りだした息子の洋服のボタンに手を掛けて、一つ一つを外していった。
零れた唾液を舐め取るように恭平の肌に舌を這わせ、その首筋を下降する。
ボタンを全て外すと、肩を魅せるように剥いだ。
恭平がビクンと痙攣して顔を伏せた。

「あっ。見える…外から見えちゃう…!」
「外からは見えないガラスだから大丈夫。」
「あ…待っ…!ん・・・ッ」
孝平が、恭平の胸に咲いた紅い突起の片方を口に含んだ。
突然の刺激に恭平の身体が大きく跳ねる。
喉を仰け反らせて、座席の上に倒れこんだ。

わざと音をたてるように舐めると、恭平が恥ずかしそうに首を振った。
粘着質な音が、耳に纏わりついて身体を熱くする。
「はぁ…はぁ…父さん…」
無意識のうちに呼吸が上がる。
孝平は突起を舐めるのをやめずに、反対側の突起を指で突付いた。
「あ!…んッ!」
恭平の身体がそれと反対の方へ逃げるようにびくつく。
しかしその方向は座席の背もたれがあるので、逃げられない。
孝平が追い討ちをかけるように乳首を弄んだので、恭平はもどかしくなって顔を腕で覆った。


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