あるクリスマス P8
一方、孝平の姿を求めて彷徨う恭平もまた、同じところへ迷い込んでいた。
二人がばったりと鉢合わせしたのは、控え室と倉庫が並ぶ、人影など皆無の廊下であった。
「父さん…。」
顔を赤らめ、息を弾ませている恭平は、余程アルコールが入っているものと思われる。孝平は息を止めて目を凝らした。
いくら見てもそれは、会場内で弟妹たちと楽しんでいるであろう彼の息子であった。
「恭平?どうしてこんなところに…。」
いるはずがない。
ここは、入ってくる時に関係者専用のドアをくぐらなければならなかったはずだ。
恭平は腕を伸ばした。
倒れるかと思い、孝平は慌てて駆け出した。
支えるように腕を差し出すと、抱きつかれた表紙に壁に背中を押し付けられた。
恭平の体からワインの香りがした。
「父さん、父さん…っ!」
恭平が連呼する。
「会いたかった…っ。」
孝平の頭に悪い予感が迸る。
「恭平?まさか、孝介に何か…?」
「違う、違うよ。会っただけ。すれ違っただけ。矢吹さんが助けてくれた。」
「そうか…。」
ほっとしたような、悔しいような、複雑な気分。
「でも。」
「え?」
「父さんが、いなかった。父さんがどこにも見当たらなかったから、俺、不安で…」
恭平は必死だった。
何が彼をそうまでして焦らせているのかわからない。
だが、彼がいつもより、必死に孝平を求めていることだけは確かだった。
孝平は恭平の腕を掴み、自分の体から恭平を引き離した。
大人しく従って俯く恭平。
睫毛には涙が浮かんでいた。呼吸が荒い。鼓動も速い。
意地悪く笑みを浮かべた孝平は、恭平の腕を掴んで歩き出した。
「と、父さん…?」
一番近くにあった控え室のドアを開け、入った後に鍵を閉めた。
かちゃん、と無機質な音がした。
控え室の中は、会議用の長机が所狭しと並べられていて、少し気温の低いひんやりとした部屋だった。パーティー会場を飾り付けている電球やツリーの飾り類が壁に沿って置きっ放しにされている。
孝平は長机の一つに恭平を座らせた。
顔を近づけて、おでこを合わせる。
「私を探したって?」
「うん。」
「なぜ?」
「なぜ、って…会いたかったから。すぐ戻ってくるって言ったのに、戻ってこなかった…」
「恭平はイイ子だから、待っていられると思ってたんだがな。」
「……待っ…」
恭平の言い訳を聞かずして、孝平は静かに唇を寄せた。
頬に当てた手から彼の体温が伝わってくる。
恭平の心臓がドクドクと脈打っているのが感じられる。首筋に指を這わせて、脈拍を測った。
「…っ。……ぁ…、んぅ…ッ」
苦しそうに逃げようとする。
孝平は離すまいと強引に迫った。恭平をゆっくりと押し倒し、長机に寝かせる。
恭平の腕が首周りに絡みつき、やがて舌すら応えるようになった。
時折、ずれた隙間から小さな嬌声が聞こえた。甘い歌声のようだ。
孝平は唇と呼吸を奪ったまま、恭平のシャツのボタンを外し始めた。
キスに夢中な恭平はさほど大きな抵抗もしない。
肩を肌蹴させ、その熱い身体に指を這わせた時、意識が覚醒した恭平が抗議の声を上げた。
「あぁ…っ、父さん…っ!」
「だめだ。まだ、キスを。」
一旦離れた唇を再び奪い、深い箇所まで愛撫を与えた。恭平は戸惑いつつも、孝平の要求を受け入れる。
くふん、と鼻を鳴らして胸を反らせた。
孝平の指が伸びる。
胸の突起を優しく触れた。
「…はぁぁっ!…んぁっ!」
唇から唾液と共に鳴き声が漏れる。
酒と熱で上気した身体の感度は極上を称えていた。
「あう…っ」
まともな呼吸を許されず、酸素の足りない頭が朦朧としている。
孝平の指が胸の突起を交互に弄び、じわじわと快感を与えていく。
そこが何かのスイッチのように、恭平の身体に異変を起こしていた。
「あう…っ、ぁぁん…っ!」
口を塞がれているのに声が止まらない。
恭平が鳴くタイミングで孝平が唇を解放していた。
いつまで経っても新鮮な空気は吸えないが、自分の弱々しい快楽を表す嬌声だけは、室内中に響いていることがわかった。
それが恭平の羞恥心を煽り、反応を豊かにさせた。
スーツの下で恭平のものが頭をもたげる。
ひくひくと腰を浮かせて、恭平が全身で歓喜の声を上げていた。その中心もドクドクと大きく痙攣していた。
「あっ、…ぃん…っ!あうっ…ぁあ…」
孝平はベルトを外し、恭平のものを解放した。
そこは触れてもいないのに引きつるほど膨張し、その先端に耐え切れず溢れ出した体液を纏っていた。
全てを脱がすと、無意識に恭平が足を左右に大きく開く。
唇を解放すると、しばらくは耳に聞こえるほど大きな呼吸を苦しそうに繰り返していた。
しかし孝平は休む暇を与えずに、胸の突起を転がした。
「あっ、あ……」
ペロリと舌で濡れた唇を舐め、孝平は笑った。
彼は未だに服を一つも脱いでいない。
恭平だけが長机に寝かされ、一糸纏わぬ姿で息を乱れさせている。
朦朧とした瞳で恭平は孝平の姿を探した。
焦点の合わぬ目で、潤んだ唇で、嬌声混じりに孝平に言う。
「と、父さん…あっ、来て…っ」
「何?」
「はぁ…や、く…っ!」
恭平の有無を言わせぬ色気に思わず動揺した孝平は、恭平の突起を左右同時に思い切りひねった。
快楽とは違った痛みに、恭平が顔をゆがめる。
「あぁ…!!」
孝平は真剣な表情になり、恭平から手を離し上着を脱いだ。
恭平は一人、肩で息をして、秘所を惜しげもなく曝け出したあられもない姿を晒している。その光景に、耐えられなかった。
孝平は服を離れた場所に置き、そこである物に目を留めた。
クリスマスツリーの飾り用の、モール。
孝平は脱いだ服の代わりにそれを手に取り、恭平の元に舞い降りた。