佐久間良平と杉野拓巳 P1



「ん…、あぁっ」
暗い部屋に色っぽい喘ぎ声が響いた。
彼は両腕を脱がされた服で纏められ頭上でベッドに拘束された状態で、びくびくと痙攣していた。
いや、させられていた。
「あ…っやめ、杉っ野ぉ!」
びくんと大きく仰け反って、彼は一際大きく鳴いた。
彼にまたがるようにして乗り、彼の両足を左右に大きく開かせているのは、杉野拓巳という背の高い男。
先程からしきりと彼の股間に執着していた。
「良平の反応ってこれだから止められないよ。」
そういって再び彼の前立腺を刺激する。
佐久間良平がベッドを軋ませてまた鳴いた。
「ぁ…っ、あぁんっ」

「で?昨日は寝れなかったの?」
「あぁ。ちっ、杉野の奴。」
「嬉しいんじゃないの?良平。」
「ばぁか、何で俺がぁ!」
良平が顔を赤く染めて怒鳴った。
双子の弟、聡平はそれを見て図星じゃんと呟いた。
この二人、姿形や顔はそっくりだが聡平は女に、良平は男に、人気が高い。
良平のほうが友達が多いが、聡平のほうがバレンタインのチョコが多い。
「で、その問題の杉野先輩は?」
「サボリだよチクショー。まだ寝てやがる。」
彼らは高校一年、良平の恋人杉野拓巳は三年だ。
二人は学校に向かって歩いていた。
「でも杉野先輩って良平のどこが好きなんだろうね。」
「知らねぇよ、俺が聞きたいくらいだ。」
「突然だったよね。男だし。」
「そうだぜ。マジびびったもん。ってゆーか奴の頭ん中には犯ることしかないよ、絶対。」
「そうかなぁ。」
「賭けてもいい!」
「他の人にはそうでもないよ。良平だからじゃない?」
「…っ」
聡平の言葉にまともに赤面する良平。
そんなところが可愛いんだと聡平ですら思う。
「ま、体調悪くなったら保健室いきなよな。」
「あぁ。サンキュ。」
そして三限目で限界を感じた良平は保健室へ行くことになった。

保健室には杉野の叔父である二宮咲斗という保健医がいる。
杉野と違って優しいが、やはりセクハラ野郎だ。と良平は思っているが聡平に言わせるとやっぱり良平だけらしい。
「おや良平くん。どうした?」
保健室に入ると二宮が振り返って言った。
「寝かせてください。睡眠不足なんで。」
「そう?じゃあ服脱ぐ?」
「イヤです。」
「…強くなったなぁ、入りたての頃のほうが可愛かった。ベッド使っていいよ。」
「どうも!」
良平は素早くベッドに潜り込んだ。
「また拓巳と?」
「…。」
「あいつ、次の日学校ある時はやるなって言ってあるのになぁ。」
「聞いちゃいないみたいっすよ。」
「みたいだねぇ。何回いったの?」
「…。」
「内緒?」
「…内緒です。」
「拓巳が羨ましいねぇ。いつまでたっても君はウブだ。」
どういう意味だ?
「拓巳が一人にこんなに執着するのって珍しいから、末長くよろしく頼むよ。」
「…あいつって…」
「ん?」
「杉野って、そんなに遊び人だったんですか。」
「遊び人ってゆーか…来る者拒まず去る者追わずってかんじかな。」
「はぁ。」
「次から次へと恋人が変わって、最初はモテる奴だなと思ってたけど、どうやら飽きっぽいらしい。だから君が初めてだよ、あいつがこんなに離したがらない男は。」
「…。」
「初めてからどのくらいだっけ?」
「ええと…4月からだから、ちょうど半年くらいです。」
「一緒に寝る頻度は?今の。」
「…二日おき、くらい、です。」
「…激しいね。」
「よよ余計なお世話です!」
「毎回拓巳のほうからなんだろ?」
「当たり前ですよ!あんな恥ずかしいの、俺から言うわけないじゃないっすか!」
「恥ずかしいの?あんな?」
「は…。」
「例えば?」
「い…いえ…。」
「聞きたいなぁ。」
「そっそんなに近寄らないでくださいっ。」
「可愛いなぁ良平くんは。」
「なっ?!」
「拓巳のじゃなかったら横取りするんだけどなぁ。」
「はぁ?!」
「キス、していい?」
「ちょ?!え…?!」
「嘘だっよーん。」
「…っ」
「なんちゃって。」
「?!んぅ…っ」
安堵して目を瞑った良平の顎を掴み、二宮医師は良平の唇に自分の唇を重ねた。
予期していたとはいえ突然の出来事に良平は目を見開いた。
重ねられたそこから二宮の熱が伝わる。
離れようと首を振ろうとするが二宮の手がそれを阻止する。
ずれた隙間から吐息が漏れた。


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