▼Under Title 15
└09:体液-1


∴∵∴∵∴∵∴


せっかくの休日に、相田貞二は二宮咲斗に学校まで呼び出された。
保健室へ行くと、自分の椅子に座って机に足を乗せ、窓の向こうをぼんやりと眺めながら煙草を吸っている二宮がいた。
後ろからそっと近付いて、その口に銜えられた煙草を奪い取る。
「あっ?」
彼が、驚いて相田の方を振り向いた。

「何するんですか、相田先生。」
「煙草は体に毒ですよ。まったく、保健の先生がこれじゃあ生徒に示しがつかないでしょ!」
「生徒の前では吸いませんってば〜。返してください。」
「没収です。捨てますっ。」
そう言って相田は灰皿に煙草の先をぎゅっと押し付けた。

「今日は、なんのご用ですか?」
「あ、すいませんね、休日出勤なんてさせてしまって。」
「前置きはいいですから。どうせ、ろくでもない用事なんでしょう。」
「ひっひどいなぁ〜相田先生。風当たりが強くないですか。」
「気のせいですよ。」
「…ストレスが溜まってるとお見受けされますが。」
困ったように笑って、二宮は机から足をどかして立ち上がった。
立ち上がると二宮の方が背丈が高いので、相田は思わずウッと唸って一歩後ろへ引く。
そんな相田に目もくれず、二宮が白衣のポケットから取り出したのは、折りたたみ式のメジャー。
シャッと音を立てて先を引っ張り出し、ニッコリと楽しそうに笑った。

「今日は、相田先生の定期健康診断の日です。」
「はっ?そんなものありましたっけ…?」
「はい。己のタイチョウを知ることは、健康への第一歩です。」

いま、”体調”って単語が”体長”と聞こえたのは気のせいだろうか…

「では、まず身長と、体重を。そちらの測定器の前に立ってください?」
「…。」
相田は怪訝そうに二宮を見上げつつも、持っていた荷物とコートを二宮の机の脇へ置き、上着を脱いで身長測定器の前に背を合わせて立直立した。
「170センチ。相田先生って、見た目より高くないんですねぇ。」
「よっ余計なお世話です…!」
「ハイハイ。では、次は体重。」
言われた相田が体重計の上に乗ろうとしたところで、二宮があっと手を上げて付け加える。
「靴と靴下、脱いでから乗ってくださいね。この機械、デリケートなんです。」
「あ、はい。」
「ちなみに、服の重みも加えた体重になりますから。嫌なら脱いだ方がいいですよ。」
「……けっ結構です。」
「ではドウゾ。…ふむ。」
体重は読み上げずに、持っていた紙に文字を書き込んでいく二宮。
そんな彼を黙って見つめていた相田は、次に彼が言う言葉を予想していた。
書き終えて、顔を上げた二宮の口から出てきた言葉は。

「次は、スリーサイズです。」
ニッコリと笑う二宮。ヤッパリと肩を落とす相田。
「…。先生。関係ないでしょう。」
「関係ありますよぉ。ささ、こちらに来てください。」
二宮が多少強引に相田の手を引き、後ろから腕を通して先程のメジャーを相田の胸の辺りにまきつける。
「ちょっ…本当に計るんですか?!」
「はい。さ、計りにくいので手を上げて。俺の首に巻きつけてください。」
そこまでしなくても、という相田の反論が出る前に、二宮のメジャーが相田の胸を捕らえた。
「早く、相田先生。」
「もう…っ。」
相田が怒ったように顔を赤らめて、仕方なく両手を上げ、背後に立つ二宮の首の後ろにその手を回した。
わざともたついた動作でメジャーを操る二宮の罠にはハマるまいとなるべく意識しないようにしたが、その手とメジャーが何度も胸にある二つの突起の上を動く。
意識しないようにしようとすればするほどなんだか気になるような、そんな動き。

「…っ。」


続き
∵∴∵∴∵∴∵

(c)puyu. All Rights Reserved.


+戻る+