▼10万hits記念関連企画
└2位:杉×良で「無断外泊」


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「は?何それ。」
杉野はお昼のサンドウィッチを頬張ろうと開けた口をそのままに、眉根を寄せて良平を見上げた。
思わず肩をすくませて引きつる良平。

何気なく話した昨晩の出来事は、杉野のお気に召さない話だったらしい。
持っていたサンドウィッチを皿に置いて、手に付いたパンの粉をパンパンと払った。
「それで良平の言いたいのは?その誠くんちに仲良くお泊まりしたよってことだけ?」
杉野の声は明らかに不機嫌だ。
良平も少しむっとして、冷たい言い方に反論した。
「そんな言い方ないだろ。帰れなくなった俺を泊めてくれたんだって話だよ。」
「帰れなくなったって言ったって…飲み過ぎて電車乗れなかっただけだろ?なんでそんなに飲んだんだ。」
「なんでって…。おいしかったから。」
「おいしけりゃなんでも飲むわけ、良平は。」
杉野の言い方はなんだか刺々しかった。
今までにないくらいイラついているようだ、と良平は思った。

「泊まってけって言われたら、どこにでも泊まっちゃうわけ、良平は。」

良平は黙った。
そんな言い方…ないじゃないか。
確かに、泊まってけって親切に言われたら、断ることもないとは思うけど…。

「ふーん。」

その一言を最後に、杉野は口を噤んでサンドウィッチを頬張った。
冷たい声音に、良平は不安になった。
俯いて食事を続ける杉野の顔を覗き込む。

「おい、怒ってんのか?」
「…。」
「なんだよ、別に何もなかったよ?お前に気にされるようなことは何も、さ。」
「……。」
「そりゃさ、帰り際に好きだとか言われたのにはびっくりしたけど。」
「え?」
「でもさ、あいつはいい友達だし、その告白も物の弾みっていうか…冗談だと思うわけ。あいつに限ってねぇ…あっ、杉野にも今度会わせてやるよ。いい奴だから!」
良平はなるべく明るい声で、杉野が話に乗ってくるのを待っていた。

しかし彼は黙々とサンドウィッチを平らげ、静かにコーヒーを啜る。
その間、一度も良平と目を合わせようとしない。

杉野は無言で、やがて、ふぅ、と溜息をついた。
伏せていた目を上げて。
見透かすように、目を細めた。

「もう、知らない。面倒みきれない。」

地を這うような低音。
杉野の言葉は重く苦しく、良平の動きを止めた。
聞こえた声を理解するのにだいぶたくさんの時間がかかったような気がする。
良平がやっとのことで瞼を動かし、瞬きをした頃には、杉野は一人会計を済ませて店を出てしまっていた。

追いかけようにも追いかけられなかった。
足が地べたにくっついてしまったかのように、お尻がイスにへばりついてしまったかのように。
ただ、先に歩き出した杉野の背中を見つめていた。


++4へ続く


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