▼10万hits記念関連企画
└2位:杉×良で「無断外泊」


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「そりゃな、怒るわな。」
次の日事情を聞いた瑞樹は、あっけらかんと言い放った。
まるでそんなこともわからないのか、という目付きで。
「なんでだよっ。別に、ただの友達んちに泊まっただけじゃんっ。」
「何も言わないで泊まったからじゃねぇの?それか良平がさも楽しそうに話したんだろ、その話。」
「そんなことねぇよ!ちょ…ちょっとは悪いと思ったから一応言っておこうかなと思っただけだし…。」
「もし俺がトーコに男の家泊まったって事後報告されたら、めっちゃやだなぁ〜。下心みえみえだもん。」
「しっ下心なんて!お前、相手は誠だぞ?!」
「俺、誠が良平のこと色眼鏡で見てるのなんとなく知ってたぞ。」
「へ…?」
良平は目を点にして瑞樹のことを見上げた。
マジ、かよ。
「まぁそれがなくても、先輩にとっては見ず知らずの男だろーっ。俺なら不安だね。トーコの知らない女とは二人きりじゃ泊まれないよなーっ。」
チラリと細めで良平のことを見やり、瑞樹は言った。
「先輩かわいそー。謝った?」
「…連絡がねぇ。」
「嘘?!電話は?メールは?」
「電話には出ねぇ。メールにも返信がねぇ。」
瑞樹はポカンとした表情で口を開けて。
一言。
「嫌われたかもなぁ…。」

ぐっと良平が息を詰まらせて硬直した。
杉野が自分のことを嫌うなんて、付き合い始めてこのかた、考えた回数を思い出すほうが苦労する。

「ま、ここら辺が潮時だってことかもね。」
「え?!」
瑞樹はキラリとした瞳で良平のことをまっすぐに見つめた。
「良平が態度を改める時期だよ。甘やかされすぎも、そろそろやめたら?」
こういう時の瑞樹は遠慮も何もなく、ハッキリとものを言う。
「それともお前、先輩よりも誠が好きなの?」
「そっ!そんなことない!!」
「言わなきゃわからないこともあるんだよ、良平クン。」
瑞樹はわかったような顔をして良平の肩をポンと叩いた。
良平は唇を噛み締めて、困ったように顔をしかめて俯いた。

その日の夜。
バイトから帰った聡平は、良平を見るなり台所で家事をしていた恭平に聞こえないくらいの小声で囁いた。
「昨日、どこ泊まったわけ。」
「え?」
「先輩に返そうと思ってたCDがあってさ。そのことで電話した時に、お前の話になって。」
「俺の話?」
「そ。お前まだ帰ってなかったからさ、てっきり先輩んち行ってるもんだと思って、聞いたんだ。そしたら先輩も知らないっていうからさ。」
「…。」
「心配してたよ。先輩にちゃんと説明しとけよ?」
「…わかってるよ、うるせぇなっ。」

どうりで。
あんなに不機嫌になったのは、知らせなかったからかもしれない。
心配してくれてたのに。
もっと他に言いようがあったはずだ。

彼を自分が傷つけたのだ、と良平は痛いくらいに実感した。


++5へ続く


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