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└3:見たね…


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3:見たね… / 佐久間明美

明美が中学生になった時。
初めて兄さんと違う部屋になった。

もう小学生じゃないんだから一人で寝れなきゃいけないんだって思う反面、心細くて寂しくて泣きたかった。
初めのうちは当時もう大学生だった兄さんの部屋に毎晩のように枕片手に忍び込んでは、駄々をこねて一緒に眠った。
それも初めての夏休みを迎える頃には回数も減り、一人で宿題をやるために机に向かったり一人で音楽を聴いたり雑誌を読んだり、できるようになった。
もちろん一人でベッドに入るのも平気になった。

高校生の兄二人も、特に良ちゃんが一人部屋が欲しいと言った。
明美ばっかりずるいって。
兄さんは困ってた。
だって誰が数えたって、この家に部屋はもうない。
諦めきれない良ちゃんは、誰の部屋にだってノックなしに入り込み、気に入った場所に何時間もいたりした。

その日も、良ちゃんはノックせずに妹の部屋に入り、明美の後ろを横切り、おもむろにCDラックを覗いた。
「貸して。なんだ、女もんしかないな。」
借りる身で文句言わないでよ。
ってか…
「おい明美。着替えてるなら着替えてるって言えよ。あ?なんだよ。ブラ、止めてやろうか。」

…。

優しい恭平兄さんと、この馬鹿が、どうして同じ母のお腹から出てきたんだろう!?


 
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