愛する想い 愛される願い 3


<それで、お前はどうしてここに?>


 とりあえず頭痛も治まったことだし、いつまでも医務室を占領しているわけにもいかないため、まだ事態を上手く飲み込めていない様子のマイクロトフを連れて、カミューは自室へと戻ることにした。
 部屋までの道のり、事情を知った城の連中が心配そうに声をかけてくる。
「マイクロトフさん、大丈夫ですか?」
「何か困ったことがあったら何でもおっしゃってくださいね」
「あとで美味しいものでもお持ちしますね」
 声をかけてくるのはことごとく女性である。
 知らないところで、ずいぶんとモテているじゃないか、とカミューは思わず嫌味を言いそうになったがやめた。今のマイクロトフはカミューの恋人ではない。
 16歳の、まだ何も知らない少年だ。
 やれやれ、元に戻った時に覚悟しておけよ、と心に誓うカミューである。
「いい人ばかりだな」
 部屋に戻ると、マイクロトフが感心したように言った。
 下心があるんだろうさ、とは言えず、カミューは曖昧に微笑んだ。見知らぬ部屋でどうしたらいいか分からず立ち尽くすマイクロトフに、優しく声をかける。
「疲れただろう?ゆっくりするといい」
「……ここは、カミューの部屋なのか?」
「ああ……そう、だな。私とお前の部屋というのが正しいな」
「10年たっても、俺たちは同室なのか?」
 どこか嬉しそうにマイクロトフが笑う。
 そういえば10年前、士官学校の二人部屋で、同室になったことがあったな、とカミューは思い出した。もっとも、あの時はまだ本当の親友とは言えない程度の仲だったけれど。
「同室というか、ここはマチルダほどに恵まれているわけではないから、部屋数が足りないんだよ。二人で一室いただけたことに感謝しないといけないくらいでね」
 言われて、マイクロトフはぐるりと部屋を見渡した。確かにマチルダに居た頃の、上官…特に団長の部屋とは比べ物にならない粗末な部屋。家具と呼べるものは何もない。二人で過ごすにも狭いといえるほどの部屋。それでも不思議と嫌な空気は感じない。
 お茶の用意を始めるカミューに、マイクロトフがおずおずと声をかけた。
「なぁカミュー、俺はまだ信じられないんだが……」
「ああ…そりゃあ、突然お前は本当は26歳だと言われてもね」
「いや、そうじゃなくて」
 ベッドに腰かけ、マイクロトフが困ったような表情でカミューを見上げる。
「カミュー、ここはマチルダじゃない」
「……うん、そうだね」
「そして、俺はエンブレムを……身につけていない」
「………」
 しばらくの沈黙。
 カミューはマイクロトフの好きなコーヒーを煎れると、カップを手にしてマイクロトフの隣に腰を下ろした。カップを手渡すと、マイクロトフはありがとうと礼を言った。
「さて、と。どこから話したらいいかな……」
 話せば長くなるのだけれど、と前置きをして、カミューは今二人が同盟軍にいるその理由を、マイクロトフに話し始めた。
 初めのうち、神妙な顔つきでカミューの話を聞いていたマイクロトフは、やがて信じられないというように、片手でその口元を覆った。
 すべてを話し終えると、カミューは黙ってマイクロトフの言葉を待った。
 じっと何かを考え込んでいたマイクロトフはやがて口を開いた。
「………それは…本当のことなのか?」
「本当のことだよ」
 マチルダに反旗を翻し、同盟国に身を置き、ハイランド王国軍と戦っているという現実。今のマイクロトフにどこまで理解できるか。いずれ元の彼に戻るのだから、すべてを話す必要なんてなかったかもしれない。けれど、カミューはあえてすべてを語った。
 マイクロトフならきちんと受け止められるだろうと思ったから。
「カミュー」
「うん?」
「俺はマチルダに、ゴルドー様に忠誠を誓った」
「そうだね」
「何があっても、俺は騎士として、その務めを果たそうと、そう…自分に、剣に誓ったのだ」
「……知ってるよ。お前は昔からずっとそう言っていた。それは私が一番よく知っているさ」
「では何故だっ?!俺は一度誓ったことをそんなに簡単に破ってしまうような男だったのか?」
 騎士の誓いは、そう容易く破れるものではない。自分は、そんなに弱い人間だったのか、そんなに責任感のない人間だったのか。マイクロトフは情けない気持ちでいっぱいになる。
 嘘だと、言ってほしいと訴えるマイクロトフがカミューへと詰め寄る。
 真っ直ぐに見つめる瞳は、昔も今も変わらない。カミューはふっと微笑み、何かまぶしいものでも思い出すかのように言った。
「………俺は騎士である前に人間だ…」
「え?」
 突然のカミューの言葉にマイクロトフが戸惑った表情を見せる。
「お前がそう言った。ゴルドー様の命令に背いた時、お前はそう言って胸のエンブレムを外した」
「………」
「簡単にその言葉を口にしたのではない。お前は、あの時、本当にいろんなことを真剣に考えていた。罪なき人たちのことをどうすれば救えるのか、そのために何をするべきなのか。そして、お前は騎士であり続けることよりも、民を選んだ。私は、お前は間違っていないと思う」
 カミューの力強い言葉に、マイクロトフは黙り込んだ。
 幼い頃から憧れ続けた騎士。
 その誇りを捨ててまで、自分は何を選び取ったのだろうか?
 今のマイクロトフには分からなかった。だが、その答えは、10年後の自分が導き出すのだ。それは正しいことなのか、それとも間違ったことなの、今のマイクロトフにはわからない。
 深く溜息をついたマイクロトフは、ふと思いついたようにカミューを見た。
「カミュー」
「何だい?」
「それで、お前はどうしてここに?」
「え……?」
 どうして?
 どうしてそんなことを聞くっ!とカミューは一瞬怒鳴りそうになったが、目の前にいるのが16歳のマイクロトフだと思い出して何とか心を落ち着かせた。
 10年前、カミューとマイクロトフはまだ恋人同士でも何でもなかった。親友でさえなかったのだ。どちらかといえば、あまり係わりあいになりたくないと避ける素振りさえ見せていたカミューが、どうして今ここに一緒にいるのか、マイクロトフが不思議に思っても当然だ。
 しかし、何と言えばいい?
 お前と私は恋人同士なのだから、当然だろう?などと言えば気味悪がられるに決まっている。16歳の頃のマイクロトフは、そういうことについては潔癖だったような気がするからだ。男女のことにでさえそうなのに、男同士でそんな関係に陥ったなどと知っては、ショックを受けるに違いない。
 困った。
 カミューは低く唸って頭を抱え込んだ。そんなカミューにマイクロトフががしっとその腕をつかんだ。
「カミュー!!」
「え?」
「もしかして、俺たちは、し、親友同士になれたのかっ?!」
「親友……?」
「ああ、すまない、その……違ってたらすまない。お前はあまり俺のことを快く思っていないのだと分かっているのだが、だが俺は、ずっとお前と仲良くなりたいと思っていたのだ。だから同室になれた時もとても嬉しかった。しかし、お前はそうでもなさそうだったし…その……」
「………」
「ずっと俺は……お前ともっと親しくなりたいと思っていた。お前のことをもっと知りたくて、いろいろとうるさく話し掛けたり…お前が迷惑だと思っていることは分かっていたが、だが…」
「マイク……」
 突然の告白に、カミューは困ったように視線を彷徨わせた。
 顔が火照るのが自分でも分かる。
 思わず俯いたカミューに、気を悪くしたのかと誤解したマイクロトフが決定打を打った。
「だがカミュー、俺はお前のことがとても好きだからっ!!」
 真摯な言葉に、カミューは言葉を無くした。
 今では当たり前となってしまったその言葉。
 10年前のマイクロトフの口からその言葉が出ようとは思わなかった。
 今度こそ本当にカミューは赤面してしまった。
 16歳のマイクロトフにこんな言葉を言われる日が来ようとは……。
 恥ずかしくて死にそうだ。
 しかしマイクロトフの口から出たのは、カミューが赤面した意味とは少し違った。
「お前とならば、俺は生涯の親友になれるんじゃないと思ったのだ。10年たって、俺たちは親友同士になれたのだろうか?」
 親友。
 カミューはその言葉に、やっと我を取り戻した。
「うん、私たちは親友だよ」
 カミューがそっとマイクロトフの手を握る。
「私たちはね、そりゃあ何度も喧嘩もしたけれど、お互いのことを尊敬しあって、共に騎士の誇りを貫こうと誓い合った。お前の言う通り、私たちは生涯で唯一人の親友同士だったよ」
「そうか……嬉しいぞ……お前と親友同士になれると分かっただけでも、俺は嬉しい」
 そうだね、とカミューが静かに微笑む。
 しかし、素直に喜ぶマイクロトフに、カミューは言いようのない淋しさを覚えた。
 親友だという言葉に嘘はない。
 けれど、それ以上に、マイクロトフはカミューにとっては大切な存在なのだ。
 親友以上の存在だ。
 それを、今のマイクロトフは知らない。
 言えない、とカミューは思った。
 10年後、自分たちが恋人同士になっているなんて、今のマイクロトフに教えてどうなる?そんな関係は真っ平ごめんだと、思うに決まっているではないか。男同志で、そんなこと。16歳のマイクロトフが受け入れられるとは到底考えられない。
 そんな未来はいらない、とマイクロトフが思ったとしてもおかしくはない。
 けれど、もしこのまま、マイクロトフが元に戻らなかったらどうなるのだろうか?
 しばし、その可能性を考えて、カミューは眉を顰めた
「…………年下過ぎる…」
 あまりの年齢差に、眩暈がしそうになったカミューである。
 よしんば、めでたく元通り恋人同志になれたとして、11も年下のマイクロトフに押し倒されるなんて、あまりにも情けなさ過ぎる………。
 いやしかし、ハンフリーとシーナは確か16歳の年の差が……いや、あれはシーナの方が年下だからいいのだ。
「カミュー?どうかしたのか?」
 一人ぶつぶつとつぶやくカミューを心配そうにマイクロトフが覗き込んだ。
 生真面目な瞳がカミューを見つめる。
 そこには何の曇りもない。
 カミューはやれやれと頭を振った。
「いや…とりあえず、早く元に戻ってくれることを心底願っているよ、マイク」
「あ、ああ…?」
「11歳も年下なんて、私はとっても困るんだ」
「?????」
 何だかよく分からないが、とりあえずマイクロトフがうなづいた。
 よろしく頼むよ、とにっこり微笑むカミューに、マイクロトフは何故か赤面した。






<お前は俺の何なんだ?>
 

「さぁて、ここが俺たちの部屋だ」
 ばんと勢い良く開いた扉。
 さぁ中に入れ、と手招きされて、フリックはきょろきょろと周りを眺めながら中に足を踏み入れた。
 カミューとマイクロトフが医務室をあとにし、フリックとビクトールもホウアンに気休め程度の薬をもらい医務室を出た。城の中のことは右も左も分からないフリックは、とりあえず何も言わず素直にビクトールのあとをついてきた。
 すれ違う連中が心配そうにフリックに声をかける。
「心配しなくてもビクトールが何とかしてくれるからな」
 そんな言葉を何回聞いただろう。
 フリックは何とも言えない気分で、自分よりも少し前を行く男の背中を追った。
 10歳若返りました。はい、そうですか、と簡単に受け入れられることなんてできない現実。
 けれど、どうやら嘘でも何でもなく、本当にそうなってしまったものは仕方がない。
 フリックはそう腹をくくった。
 ホウアンという医師の話では、明日にでも突然元に戻るかもしれない、とのことだし、あれこれと悩むのは馬鹿らしいことかもしれない。
「さ、フリック、まだ頭痛いンなら、少し寝ろ」
 ビクトールがばさっとベッドのシーツを剥がしてフリックを見る。
「いや……頭痛はもうしない……」
「本当か?お前、俺に変に気ぃ使うことはねぇんだぜ?」
 男の言葉に、フリックは首を横に振る。
 ま、平気ならいいんだがよ、とビクトールががしがしと頭をかいた。
 フリックは扉を閉めると、部屋の隅に置かれた椅子に腰を下ろした。
 そして、ぐるりと部屋の中を見渡してみる。
 決して広くはない部屋。
 あるものといえば、小さなタンスにテーブルと椅子が二つ。窓際に寄せられた粗末な棚。そしてベッドが一つ。贅沢なものなんて何一つない部屋。けれど、どういうわけか居心地がいい。
 フリックはほっと肩の力を抜いた。
 目覚めてから今まで、初めて見る人たちに初めての場所ばかりで落ち着く暇もなかった。けれど、この部屋に入ってやっと自分の居場所に落ち着いたような気がする。
 ああ、ここは自分の部屋なんだ、とわけもなくそう思った。
「フリック、なぁ、何か飲むか?冷たいもんがいいなら、レストランで何か貰ってくるぜ」
 声をかけられ、フリックはさっきから心配そうに自分を見ている男を見た。
 ビクトール。
 3年以上前からの付き合いだと、それだけ言われた。
 どこで、どんな風に出会ったのか。
 お互いのことをどう思っていたのか、何も覚えていない。覚えていないというよりは、今のフリックにはビクトールは知らない人間だ。たとえ親友だったと言われても、ピンとはこない。
「しっかしまぁ、お前はとことん運の悪いヤツだよなぁ」
 ビクトールがフリックの向かい側に座ると、どこか人を食ったような表情でフリックに笑いかける。
「でもま、ディランを庇ったんだっていうから、お前らしいっちゃあお前らしいが、もうちょっと気をつけて行動しろっていつも言ってるだろう」
「知らないな」
 ぷいとそっぽを向くフリックに、可愛くねーとビクトールが舌打ちする。
 10歳若返ってしまったフリック。
 子供っぽさの抜けない横顔。華奢な身体。そのくせ、ふいに見せる仕草などは、ビクトールが知っているフリックのものだ。
「まいったな……」
「え?」
 ガキは趣味じゃねぇんだがなぁ、とビクトールは口の中でつぶやく。
 目の前のフリックは何も知らないガキだ。
 先の戦争も、オデッサとの出会いも別れも、まだ何も知らない。
 真っ白なフリック。
 ビクトールはふぅと溜息をつくと立ち上がった。これ以上考えていると、だんだんとヤバイ気になってきそうな気がしたのだ。
 未成年に手を出すほど餓えてはいない。が、相手はフリックだ。
 どこまで我慢できるか自信がない。
「フリック、腹減らねぇか?レストランで何か食おうぜ」
「ビクトール」
「ああ?」
 フリックがどこか怒ったような顔をして、ビクトールを睨む。
 フリックがこんな顔する時は、真面目な話をする時だ。それを知っているビクトールは、黙ってフリックの言葉を待った。フリックは真っ直ぐにビクトールを見詰める。
 ああ、そんな目で人を見る癖は、10年前から変わらないんだなぁとビクトールは思う。
「ビクトール、お前が知っている俺のことを、教えて欲しい」
「………」
「俺は、10年の間にどんなことをしてきたんだ?どうやってお前と知り合った?どうして同盟軍にいる?10年後の俺は……いったいどんなヤツなんだ……」
「フリック……」
 ビクトールは再びイスに腰をおろした。
「不安…なんだ……」
 ぽつりとフリックが言う。
「10年後の俺はどんな人間なのか、ここにいていい存在なのか、何も分からないままでいるのは、とても辛い」
「………」
「教えて……くれないか?」
 今のフリックからは考えられないような素直な台詞に、ビクトールは苦笑する。口では可愛くないことを言っても、18歳のフリックはビクトールにしてみれば、可愛いとしか言いようがない。
 どこか怯えたような青い瞳で見つめられては、嫌だとは言えない。
「ああ……」
 ビクトールは自分が知っているフリックのことをぽつぽつと話した。
 ビクトールが出会った頃、すでにフリックはオデッサとともにレジスタンスに身を置いていた。その頃のフリックからしかビクトールだって知らないのだが、そこからのフリックのことはすべて知っている。
 解放軍でどんな風に闘ったか、その後二人で砂漠を越え、この地にやってきたこと。砦時代の話。そしてこの同盟軍での暮らし。
 言葉にして語るとほんの数分の出来事。
 だけど、本当はその中に数々の思い出がつまっている。
 それはフリックが自分で築き上げるべきもので、ビクトールが教えるべきことではない。淡々と事実だけを語るビクトールに、フリックはじっと耳を傾けていた。時々首を傾げて、不思議そうに唇を尖らせる。そんな仕草でさえ、ビクトールには愛しくてならない。
「……えっと…だいたい…は分かった…。」
 話し終えると、フリックは深々とうなづいた。
「そりゃ良かった」
「もうひとつ聞きたい」
「何だ、まだあんのか?」
 もう話すことは何もねぇぜ、というビクトールにフリックがぐいと詰め寄る。
「で、お前は俺の何なんだ?」
「……………」
 ビクトールは言葉につまった。
 さすがのビクトールも自分たちの関係については、今のフリックに告げることはできなかった。
 恋人同士だと。
 いきなりそんなことを言われても、フリックの性格からして受け入れることはできないだろう。長い時間をかけて、やっと築き上げた関係だ。どうせ、すぐに元に戻るのなら、わざわざややこしい話をする必要もないだろうと思い、ビクトールは何も言わなかったのだ。
 だが、どうやらフリックはそれでは納得できないらしい。
「ビクトール、俺たちは……友達なのか?」
 その言葉にビクトールは低く唸った。
 友達とは、何と色気のない単語だろうか、と悲しくなる。
「友達ねぇ………相棒だとか、腐れ縁だとか、お前はよく口にしてたがな」
「腐れ縁……」
「まぁいいじゃねぇか。俺たちの仲を一言で言うには、いろいろ複雑なもんがあるんだよ。仕方ねぇだろ、伊達に3年以上つるんでるわけじゃねぇんだ。そのうち分かる……が、…」
「が?」
 ビクトールはフリックの髪をくしゃりと撫でた。
 見上げるフリックにふと微笑む。
「いいか、よく覚えておけよ。俺にとってお前は、唯一無二の相棒なんだ。たとえどんな姿になっても、お前が俺のことを忘れても、お前は俺には必要な人間だ。お前も……俺のことをそう思っていたと、俺は思ってる。自惚れでも何でもねぇ。俺たちはそういう仲なんだよ」
「………」
「早く元に戻れよ、フリック」
 ぺちぺちと頬を叩かれ、フリックはうつむいた。
 どちらかというと、人づきあいは得意ではない方だと自分で分かっている。
 それなのに、10年後の自分には、相棒と呼べるほどの人間がそばにいるのだ。
 不思議だ。
 ビクトールの言葉は嘘ではないだろう。10年後の自分は、この男のことをきっと大切に思っていたに違いない。だけど、いったい何があったのだろう。
 自分にそんな存在ができるようになるには、きっと何かあったはずだ。
 フリックは何か釈然としないものを感じつつ、目の前の男を眺めた。
 
                                        NEXT



  BACK