「蘭花さ〜ん。まだバスガイドのアルバイト、続けてるんですか〜?」
「あのねえ……アルバイトじゃないわよ。これはマーメイドプリンセス達をおびき出す為の作戦なの。さ・く・せ・ん!」
「でも〜、全然マーメイドプリンセス達を見つけられていないんでしょ〜?あららはもう何度も見つけてるのに〜」
「……そりゃあれだけ派手に動き回れば向こうから見つけてくれるでしょうよ」
「え〜、あららがかわいすぎるから、何をしてても目立っちゃうのかな〜」
「……人の話を聞きなさいよ」
「でも〜、蘭花さんもあららには及ばないけどかわいいから〜、アイドルになっちゃえばどうですか〜?」
「む、及ばないってどういう意味よ、失礼ね。私ほどイケてる女はいないわよ」
「じゃあ、どうしてならないの〜」
「あのねえ……私は別に目立ちたくてこんな事しているわけじゃないの。不必要に目立っても仕方ないでしょ」
「う〜ん……あららよくわかんないです〜」
「ハァ……」

「とはいえ、ねえ」
 ガヤガヤとやかましい車中で、蘭花は一人ため息をついた。今日はバスガイドとして、高校生の研修旅行に同行している。蘭花の自己紹介の直後から始まった少年達のセクハラまがいの質問の嵐を切り抜け、やっと一息入れているところだ。
「この作戦、失敗だったかしら……」
 頬杖をつき窓の外を走り抜けていく景色をぼうっと見やりながら、蘭花は再びため息をついた。


「……こういう手筈だ。わかったな」
 研修旅行の自由時間中。駐車場脇の売店の片隅で少年達は顔をつきあわせて何やら囁きあっていた。皆一様に緊張した面持ち。ただ、どことなく口端がにやけてしまっているのはこれから起きるであろう事態を想像してだろうか。
 そんな中、浮かない顔をしている少年が一人。
「……ねえ、やめた方がいいよ……だって、その、これって犯罪だよ?」
「んあ!」
「ひっ……ご、ごめんなさい……」
 いっせいにすごまれ、その少年は思わず縮こまってしまった。今は学生服を着ているから少年だとわかるものの、もしワンピースでも着ていればたちまち美少女と見間違えてしまいそうな、そんな華奢な体つきと中性的な顔をしている。 ガラの悪そうな回りの少年達と比べれば明らかに異質な存在。彼がこの集団の中でどういうポジションにいるのかは、想像に難くないだろう。
「大丈夫だって。あの姉ちゃん、イイ女だけど頭良くなさそうだしよ、乳デカいし。写真一枚撮っときゃ泣き寝入りするに決まってるんだ。うまくいけばお前にも回してやっからよ」
 鞭の後は飴、とでも言うかのようにポンポンと華奢な少年の肩を叩く手。
「え、ボ、ボクは……そんな……」
「どうせまだヤッた事ねえんだろ? イイ思いさせてやっから、お前は黙って見張りに立ってりゃイイんだよ」
「でも……こんな事したら……」
「いつまでもグズグズ言ってんなよ! なんならボコボコにしてその辺の山にでも捨ててきてもいいんだぞ。この辺は夜になったら人も通らねえらしいし、そこの山は狼が出るって話もあるからなぁ」
 再びすごまれ、少年は言葉を無くす。震えながら、首を縦に振った。その震えは暴力や夜の山に対する恐怖なのか、それともこれから行われる行為によるものか。
「よし。んじゃ、さっそく行くか」
 歩き出した少年達の後を、華奢な少年は俯きながらトボトボとついていった。

 コンコン。
 柔らかい陽射しの中、車中でうたた寝をしていた蘭花は物音に目を覚まし、窓の外を覗き見た。数人の少年達が、バスの昇降口の付近で立っている。
 運転手は目的地に到着早々、煙草を吸いに行くと言って出て行ったきり戻ってきてはいない。どうせ出発時刻ギリギリまで戻ってこないのはいつもの事なので、ランファは車中で一人くつろいでいたのだ。
 よくよく考えれば男子校の研修旅行にマーメイドプリンセス達が乗り合わせているはずもない。しかも、駐車場を見渡しても数えるほどしか停まっていない、賑わっていない観光地である。わざわざ辺りをうろつくのも骨折り損のくたびれ儲けというやつだ。
そもそもこんなところにいったい何の研修に、とは思ったが考えても仕方のないことなのでやめにしていた。
 車中に自分一人では自分が出ないわけにも行かず、蘭花は窓を開けて尋ねてみた。
「どうしたの、君達」
「いや、コイツがバスの中に財布忘れたっていうんで、取りに来たんですけど」
 周りの少年達にズイと押し出された、俯いてモジモジしている華奢な少年。どう見ても周りの子達とは釣り合いが取れないな、と思いながらも、蘭花の目は自然とその少年に吸い寄せられる。
 元々美しいモノ好きの蘭花である。行きの車中から、その存在が気になってはいた。もっとも、あくまで車中に居合わせた数十人の中で、というだけのことだが。
「わかったわ。今開けるから」
 にこやかに微笑を返し、バスの鍵を開けて扉に手をかけた瞬間。
少年達が一気に雪崩れ込んできた。
「キャッ、な、なにっ!?」
 一瞬の出来事にパニックを起こしている間に床に引き倒され、両手両足を押さえ込まれる。胴には一際大柄な少年が跨って蘭花の動きを封じ込んだ。
「な、何をするのよっ!」
「騒ぐなっ!」
 馬乗りになった少年がポケットをまさぐり何かを取り出すと、蘭花の頬に押し当てた。視線をその物体に向けると、窓からの光が鈍く反射している。
 ……ナイフだ。
 思わず蘭花は息を呑んだ。
 もちろん、ミケルの御使いとして力を与えられている蘭花であるから、たかだか男子数人、あっという間に跳ね除ける事はできる。とはいえ、人一倍美しさにこだわりを持つ蘭花である。少年の手元が狂い、大事な顔に傷でもつけられてはたまらない。
「……何のマネ?」
「へ、へへ……決まってるだろ、こういう事だよ」
 蘭花の両手足に各々跨って動きを封じたまま、少年達が己の学生ズボンのチャックに手をかけた。若干もたついた後、次々に勢い良くまろび出る若々しい肉の塊。
「キャッ! そ、そんな醜いモノを見せないで」
「おいおい、醜いだって、ひでえなぁ。あんたのせいでみんなこんなになっちまったっていうのに」
「わ、私のせい……?」
「そうだよ。姉ちゃんみたいな美人がでっかい胸プルプルさせてるから、みんなたまんなくなっちゃったんだ」
「…………」
 一様に首を縦に振る少年達。自分の美しさには絶対の自信を持つ蘭花だが、周りが女ばかりの為に余りそれを指摘される機会がない。面と向かって自慢の美しさを誉められて、こんな状況だというのに思わず頬が緩んでいまっていた。
「そ、そう……君達、見る目あるじゃないの、ウフフ……」
 満足げに笑みを浮かべる蘭花に、馬乗りになった少年は面食らっていた。よっぽど余裕があるのか、行きの車中で感じたように頭が足りないのだろうか。が、ナイフまで出して企てた計画である。このままうやむやにするわけにもいかない。
「と、とにかく! あんたには責任取ってもらうぜ」
「ちょ、それとこれとは話が、むぐっ」
 少年はいきり立った肉棒を握り締めると、蘭花の艶やかな唇にグリグリと押し付けた。
「む、むぅ、む〜〜〜っ」
 唇を固く引き結び、首を捩って抗う蘭花の頭を左手で鷲掴み、ナイフを持ったままの右手で高い鼻を摘まむ。
「む、ん〜〜〜っ」
 文字通り目と鼻の先で刃物がちらついているのだ。下手に動けば本当に顔に傷をつけられてしまう。蘭花はなんとか息を止めて耐えていたが、もちろん長続きするはずもなく。
「ん〜〜〜〜〜……く、ぷはっ、ハゴッ」
 息苦しさに耐えかねて口を開いた瞬間、肉棒がズルリと侵入してきた。
「んくっ、お、おい、歯なんか立てんじゃねえ、ぞ、オオッ!」
 精一杯すごんで見せたつもりだが、少年の声はすっかり裏返っていた。肉棒を駆け上がる快楽に腰が痺れる。ただそこに入れただけだというのに、それだけで蘭花は少年を虜にしてしまっていた。
 その感覚に耐えかねて知らず暴れだす腰。いきがって見せても所詮は少年、大して経験があるわけでもなく、沸き上がる欲望に促されるまま自分勝手に腰を揺すり続ける。
「ふむっ、グプ、ジュポッ、むっ、むふんっ、ブジュッ、グポッ」
 両手で頭をガッチリ押さえ込まれ、蘭花はただ少年のオナホールと成り下がる。理不尽な暴虐に晒されながらも、蘭花の口内はそれがあるべき姿とばかりに、意思とは無関係にねっとりと肉棒に粘膜をまとわりつかせ、少年の理性を飲み込もうとしていた。
「くあ、も、もうダメだ、でるっ!」
 突如肉棒の幹が膨らんだかと思うと、ものすごい勢いで大量の白い液体が口内に流し込まれる。
「ふ、ぐむ、んう〜〜〜っ……ゴギュ、ふごっ、げふっ、んぐ、グキュッ」
 若さゆえのあまりにも早い爆発。受け入れ態勢の整っていないまま、頭を固定されて逃げる術のない蘭花はむせながら、それでも懸命に口内に次々流し込まれる白濁を飲み込んでゆく。
「む、んぼっ! ゲホッ、カハッ、うえぇ……」
 が、若い肉体に溜め込まれた欲望はまたも蘭花の予想を上回り、飲み干すスピードより射出の勢いと量が圧倒的に上回った結果、肉棒と唇の隙間から大量の白濁が漏れ出る。
 むせる蘭花に少年は慌てて肉棒を引き抜くが、それでも射精は収まらずに蘭花の顔の上を濁液がビタビタと汚した。
「エフッ、エホッ……ん、くはあぁ……はふ……きゅふ……」
 口内と顔面を白濁まみれにされながらも、息苦しさを静めるために懸命に深呼吸をする蘭花。が、かえって青臭い精臭を大量に吸い込むことになり、思わず眉をひそめた。
「な、なんて事をするのよ……私の美しい顔に、こんな、臭くて汚らしい液を大量にかけるなんて……」
 蘭花は恨みがましい視線を少年に向ける。男の精に汚されながらも、自らの美しさへの自負は微塵も消えることはない。その様子に、射精を終えて萎え始めていた少年の肉棒が、再びピクリと反応した。

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