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指−蒼衣−注意:蒼衣一人称/独白/疑似フェラ
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ごつごつと、節くれだった、太い、男らしい、――指。 その指が、僕に触れる。 驚くほど優しく。繊細に。 その指が、好き。 今日もまた僕の隣に座り、その指の持ち主は無意識なのか、それとも意識してなのか、僕の髪を触っている。 でも視線はもう片方の手にあるケータイに向けられてて。 なにかやたらに真剣な表情でカチカチとボタンを押して、画面に映る何かを操作をしている。 何をしているんだろう、と隣から覗き込んでみれば……。 「……テトリス、好きなの?」 あまり直輝くんと、画面に映る落ちものゲームのイメージが繋がらず思わずそう聞いてみる。直輝くんが好みそうなゲームはなんとなく勝手に格闘ゲームとか、シューティングとかそんなのを想像していたから、本当にちょっと意外だった。 するとチラリと僕を横目で見た後、小さく、あぁ、と答えた。 そうなんだ、と返事をしながら、なんで今それを必死になってやってるんだろう、とちょっと思う。 今居るのは僕の部屋で、僕と二人っきりで、僕はお風呂上がりで、僕を隣に座らせて、肩に手を回した格好で。 それなのに視線はケータイの小さな画面。 別に今しなくてもいいんじゃない?ともちょっとだけ思う。 でも、恥ずかしいし、ゲームに嫉妬してるなんて知られたくないからそれは口には出来ないし、言わない。 だけど、その僕の感情をまるで読んだみたいに、僕の髪に触れていた片方の手が持ち上がり、まるで慰めるみたいに先ほど漸く乾かした髪をぐちゃぐちゃに掻き回すように撫でた。 「あっ、もう、折角梳いたのにっ、ぐしゃぐしゃになっちゃうー!」 一応そう抗議の言葉を口にして見る。 だけど、本当は。 そうして直輝くんの指に、手のひらに頭を撫でられるのは心地よくて、嬉しくて、気持ちが良い。 過去を振り返ってみても、僕の記憶には誰かにこんな風に頭を撫でられたという感触も記憶もほとんどない。 四歳以前ならばきっと恐らく父さんや母さんが撫でていてくれていたのかもしれないけれど、でも、その頃の記憶はその後の記憶にすっかり塗りつぶされ、食いつぶされ、ほとんどわずかにも残っていなかった。 叔父さんはもとより、施設の職員さんは僕をこんな風に撫でる事などほとんどなかったし、撫でたとしてもそれはセックスが上手に出来た時に、おざなりに頭に手をやった程度。その後も、色々とあったけどこんな風に僕の頭を優しく撫でてくれる人なんて居なかった。マスターや朱里さんに出会った頃は、もう僕は頭を撫でるような年齢の子供ではなくて。だからか、マスターも朱里さんも僕を自分の子供のように扱ってはくれたけど、こんな風に、いい子、いい子、とでも言いたげな頭を撫でる行為なんてしなかった。 だからか、実は直輝くんにこうして頭を撫でられるのはとても嬉しい。 子供扱いされているのかな、誤魔化しているのかな、とも思う事はあるけれど、それでも、こうして直輝くんの指が僕に触れて、優しく撫でてくれる事に小さな幸せを感じてしまう。 エッチの時にも直輝くんは度々僕の頭を撫でる。髪を優しく梳いてくれる。 他にも頬を撫でてくれたり、キスをしてくれたり。 今まで僕が経験した事のない優しさを直輝くんはこの指で、唇で、体で僕に与えてくれた。 僕の抗議なんて聞かないふりをして直輝くんは、更に僕の頭をぐちゃぐちゃに撫で続けている。 ひょっとして、僕が喜んでいるのに気が付いているんだろうか……? そんな事がふと頭の中を横切った。 だったら恥ずかしいな。 そう思い、僕の頭を飽きることなく、よしよし、と撫で続けながら、相変わらず視線はケータイの画面にくぎ付けになっている直輝くんの横顔を見る。 だけどその横顔からは、何を考えているのか、思っているのか読み取れなくて。 僕は、むぅ、と頬を軽く膨らませると、頭にあるその手を掴み頭から離す。 すると直輝くんの視線が僕へとちらりと流れてくる。 だけどまたすぐにケータイに戻した。 その事にちょっとだけムッとすると、頭から離した直輝くんの手を自分の顔の前に降ろし、その太い指、人差し指をかぷりと噛みつくように口へと入れる。 と、流石に驚いたのか、直輝くんの手からケータイが落ちた。 それを少しだけ、ザマーミロ、と普段は思わない意地悪な気持ちで胸の中で呟き、口の中にある直輝くんの指に甘く歯を立て、舌を絡めて舐め上げる。 まるで直輝くん自身にするように、ちょっと、エッチに見える様に、ちゅっ、くちゅ、と水音を立てて。 「ちょっ、蒼衣?!」 直輝くんの戸惑った声が耳に心地よく聞こえる。 それには返事はせず、僕は直輝くんの節くれだった指を舐め上げ、ストロークをし、ちょっとずつ舐める範囲を広げていく。 相変わらず耳には直輝くんの焦ったような、戸惑ったような声。 だけど、その声は無視して、段々と自分自身のエッチな気持ちを高めながら、太く、節くれだった、その優しい指を舐める。吸う。甘く噛む。舌を絡める。吸う――。 「っ……ぅ。」 耳に聞こえる直輝くんの戸惑ったような、だけど、少し荒くなった吐息。 それが嬉しくて、口の中に入れていた指の数を増やしていく。一本、二本、三本。でもそれ以上は入らなかった。だけど口の中一杯になった直輝くんの指をまとめて僕は吸い上げ、わざと音を立てる様にして顔を上下させて口の中で扱く。 すると、直輝くんの息が一層荒くなった。 「ん……っ、はむ……っ、ちゅっ、んん……っ。」 ぴちゃぴちゃと音を立てて、下から上へと舐め上げる。 さらり、と髪が顔に落ちて来て、それが鬱陶しくて開いている方の手で髪の毛を掻き上げながら、直輝くんの指を舐めていると、僕の顔に影が落ちた。 そして。 直輝くんの指が僕の髪の毛を少しだけ乱暴に掴むようにすると、僕の口から指を引きぬくように強く、僕の顔を上向かせた。 「……ばかやろう。」 そう低い声で呟かれる。 何が、ばかやろう、だよ。そう反論しようと口を開いたけれど。 その声は直輝くんの口の中に消え、僕の舌は直輝くんの舌に絡め取られてしまった。 そのまま深く、激しく、それこそかぶりつくように、強く、強く、僕は直輝くんに吸われ、重なり、交わる。 自分の喉から洩れる自分とは思えないような甘い声をどこか遠く聞きながら、それでも、直輝くんの指が触れる感触だけは、はっきりと、熱く、優しく記憶に刻みながら、僕は直輝くんの下で果てた。 さらさらと汗ばんだ髪の毛を直輝くんの指が撫で、梳く。 それが殊更心地よくて、僕は直輝くんの逞しい胸板に頭を乗せたままうっとりと微笑んだ。 もっと、もっと、撫でて欲しい。 沢山、沢山、触れて欲しい。 この指で。 大好きな、直輝くんの指で。 節くれだった太い指の触れる所からじわりと幸せが広がって行く。 記憶のずっとずっと奥にしまわれていた誰かに撫でて貰ったその感触を重ねながら、僕はまどろみの中に落ちて行った。 |