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NOVEL

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エピソード5 02

注意事項:無理矢理/輪姦

 まさかあいつらがあんな安い挑発に乗るなんて思いもしなかった。
 流石にノーマルで女好きなこいつらが、幾ら野々村の命令であっても僕とセックスを本当にするなんて思わなかった。
 だけど僕のそんな目論見はアッサリ破られ、野々村の号令により僕は男達にその場に押さえつけられてしまう。
 そして、今、僕は、四つん這いの格好で男達の性の玩具にされていた。
 部屋の中は獣の息遣いが充満していた。
 男達の熱気に、その臭い匂いに、咽そうになる。
 笹川一人とシてた時だってあの匂いに気持ち悪くなることは多かったけど、四人が相手じゃその濃度は桁違いに濃くなっていて、段々鼻が麻痺してきた。

「っふ……ん、ん、ちゅ……っ、む……ぅん……っふっ。」
「幸田……ぁっ、ほら、もっと舌ぁ使えよ、鈍ってきてんぞ。」

 コータが僕の髪を掴みながら喉の奥に当てるように腰を突き上げるように揺する。
 喉の奥を強く押され、それが吐き気を誘発するが、僕はぐっと堪えてコータの命令どおりに舌を、もうフェラをしすぎて痺れて感覚のない舌を、コータの勃起している性器へと這わす。
 ぴちゃ、ぴちゃ、と猫がミルクを飲むような、そんな水音を立てて自分の唾液とコータから溢れ出る先走りを舐めると、コータは喉の奥で低く唸る。
 そしてもっとしろ、とでも言うように僕の頭をその手で揺すった。
 コータの要求に応える為に、僕は更に激しく舌を動かす。
 だけど、後ろから感じる痛みと、異物感に意識が持って行かれそうになり、どうしても舌の動きが鈍ってしまった。
 そう、今、僕の尻には、最初に僕が口で勃起させた西なんちゃらって奴の性器が無理矢理挿入されている。
 誰かが用意していたローションをお情け程度にかけられたソコはこの状況下では当たり前だけど硬く閉じていて、そんな状態のせいか当然だけどなかなか西の性器を受け入れなかった。そのせいか、本当に無理矢理、西は僕の尻の中へその入り口が切れるのも構わず押し入り、今、その腰を滑りの悪いソコで一生懸命振りたてている。
 ……尤も、西自身が僕の尻穴で快感なんて得てないのは、その動きで良く解るけど。
 あんな無理矢理ほぐれても居ない尻穴に挿入したって、硬く閉まっている入り口にぎゅうぎゅう締め付けられるだけで、絶対に気持ちよくなんてないに決まっている。
 だからか、西は小さく舌打ちをしながら、時折萎えそうになる性器を僕の尻から抜くと自分で擦り、また勃起させて僕の尻にローションを垂らしてから挿入するというのを何度か繰り返していた。
 勿論、僕だってこんな風にされて気持ちが良い訳がない。
 ただ幸いな事に西の性器は笹川よりも一回りくらい小さかった。そのせいで、入り口が酷く切れるということはなかったのだけど。
 でもやっぱり無理矢理挿入された分、後ろからは断続的に引き攣れるような、裂けるような、そんな痛みが全身を襲い、コータの性器への愛撫の手が止まったり、緩んだりする。その度にコータからは、真面目にやれ、だとか、怠けるな、だとか言われて髪を掴まれ酷く揺すられた。
 だから痛みで遠のきそうになる意識を必死に保ち、僕はコータの性器に舌を這わせ続ける。

「ん、っ、ちゅ……っ、ぅ……っ、は、っ。う、うぅ……っ。」

 だけどもどうしても尻から襲ってくる痛みに僕の顔は歪み、痛みから来る生理的な涙が頬を伝って床の上へとぽたぽたと零れ落ちた。
 それを見てコータは、どこかサディスティックな笑みを浮かべ、更に僕の頭を強く揺する。僕の唇にその勃起した性器を押し当て、早くしろよ、だとか、泣いてる暇あったら舐めろよ、なんて言ってくる。
 糞、勝手な事ばっかり言いやがって。
 大体、西って奴がヘタクソなのが悪いんじゃないか……っ!
 そう心の中で悪態を吐きながら、僕は唇に押し当てられているコータの性器に舌を這わせ、先端を甘く吸い上げる。
 と、その時、僕の後ろを攻めていた西が、一際大きく舌打ちをすると僕の中から性器を引き抜いた。

「……ちっ! あーもー、やってらんねぇぜ! なんなんだよっ、イテェーだけじゃねぇかっ!」

 苛立ちを隠そうともせず西は大声でそう言うと、僕の尻をその手でバシンッと音が響き渡るくらいに強く平手で叩く。
 その音と、叩かれた衝撃と痛みが僕の体を貫き、口に咥えていたコータのモノを慌てて吐き出してしまう。だって、口から出さないともう少しで噛み千切ってしまいそうになったから。
 だけど僕が性器から口を離したことがコータには不満だったらしい。

「幸田ぁ、誰が口離していいっつったよ? あぁっ?!」

 コータの声に剣呑なものが混じるが、僕はそれを上目使いに見上げてふるふると首を横に振る。
 そして口を開いた。

「……ごめん。だけど、お願い、ちょっと待って……。」
「あぁん? 俺達に口ごた……、って、おぃっ、お前何、してんだよっ!」

 コータに性器から口を離した事を謝った後、僕は後ろを振り返ると背中から聞こえてくるコータの文句を無視する。
 そして西が手に持っていたローションのボトルを取ると、僕は奴らが見ている前で、その中身を手に取り、四つん這いの格好のまま自分の尻穴にそれを塗りこめて行く。それを見て、コータが驚いたような声を出し、そして、西は西で呆気に取られているような目で僕の行動を見ていた。
 そんな二人を上目使いに見ながら、僕はゆっくりと頭の中に笹川が僕にしていた事を思い出しながら、自分で後ろの穴を弄る。

「っ……ん……、だって、西くん、今のままじゃ痛いんでしょ……? 僕も痛いのはヤだし、このままじゃコータくんのモノ、しゃぶるのだって、上手に出来ないよ……だから。」

 ぬるぬるとしたローションの感触に僕は瞳を細めながら、そう自分の行動の意味を二人に伝える。
 その僕の言葉に二人は互いの顔を見合わせて、そして野々村の指示を仰ぐようにそちらへと視線を向ける。
 すると野々村は低く喉の奥で笑った後、口を開いた。

「いいじゃねぇか。させとけよ。これはこれで見物じゃねーか。」

 ゲラゲラと僕の行動を嘲笑うように声を出して笑った後、横に控えているもう一人の手下に自分の手にあるビールの缶を手渡した。
 最後の手下である、そいつ、沢崎はなんとも言えない顔をしながらも野々村の飲み終わったらしいビールの缶を受け取ると、それを傍にあるゴミ箱に捨て、僕の家のキッチンへと向かう。多分冷蔵庫の中からもう一本ビールを取りに行ったのだろう。
 それを少しだけ目で追いながら、僕は、沢崎がキッチンの中へと消えたのを最後に目を閉じる。
 そして、笹川とのセックスを思い出す。
 今思えば、笹川とのセックスは最初からある程度快感を得る事が出来た。
 指を無理矢理挿れられたときは流石に痛かったけど、その後、あいつがあいつなりに僕の体を気遣ってか、それとも、得た知識を実践したかったのかは解らないが、ともかく、あいつが僕の後ろをほぐしてくれたからあいつの性器を受け入れた時は異物感はあれども、それ程痛みは感じなかった。
 しかも、それ以降はあいつとのセックスは、確かに、僕にとってもあいつにとっても想像以上の快感を感じることが出来た訳で。だから、あいつは僕に対してあんだけサルになった訳だし、僕だってそれがあるからあいつの求めを拒むことはほとんどなかった。
 そんな事を思い出しながら、同時にあいつが僕とセックスする時に僕の体にしていた愛撫を思い出す。
 笹川の指や、舌や、その性器の感触。
 キスをしてくる時のあの感じ。
 僕の中に挿入させる時の、あの、妙に満たされる感じ。
 それを思い出すだけで、不思議な事に僕の体はゆっくりと熱くなり、自分の指で捏ね繰り回している尻穴までジンジンと疼くような感覚を湧き上がらせていった。
 本当に、何で? としか思えない。
 あいつとの、笹川とのセックスはただの手段だった筈なのに。
 いつの間に僕は、いや、僕の体はあいつとのセックスをこんなにも快感だと受け取るようになったんだろう。

「んっ……、ふぁ……っ、ぁ……あ……っんん……はぁ……っ。……あぁ……、んふぅ……っ。」

 自分の指がいつの間にか笹川の指になったような感覚に僕の頭の中が溶けていく。
 くちゅくちゅと音を立ててローションを塗りこめ、そして、我慢が出来ずに穴の中に指を沈めて行くと、体がブルブルと震えるくらい堪らない快感が僕の背中を這い上がって言った。
 そして、僕の性器もその快感に合わせるようにゆっくりと屹立していくのも解る。
 そうなってくると、後はもう簡単だ。
 堪えきれない荒い息を漏らしながら、僕は更に尻を上に突き出して自分の手でそこにある穴をぐちゅぐちゅに掻き回す。
 その度になんとも言えない快感が体に走り、喘ぎ声となって僕の口を突いて出た。

「……へぇ、こりゃ驚いたな。マジでケツで感じるんなんて事があるのか。」

 不意に耳元で野々村の低い声が聞こえ、ぎょっとして思わず閉じていた目を開ける。
 すると目の前に野々村の顔があって二度驚く。
 いつの間に僕に近づいてきたんだろう。全く気がつかなかった。
 それと共に周りに居るこいつらの存在さえも一瞬完全に失念していたことに気がついた。
 視線を自分の周りに巡らせると野々村だけじゃなく、コータや西、そして沢崎までが僕の傍に寄り、にやにやと笑いながら僕を見下ろしている。
 途端に僕の体を羞恥心が襲った。……今更だけど。

「……っ。」
「ん? なんだよ、今更恥ずかしくなったってか?」
「べ、別に……っ。」

 僕の表情の変化を読み取ったのか、野々村がその太い眉毛をひょいっと持ち上げにやにやと僕を笑いながら見ていた。それに僕は視線を逸らすと、精一杯の虚勢を張って小さな声で答える。
 だけどその声は、消え入るように小さくて。
 僕が羞恥心を感じているのを呆気なくこいつらに暴露してしまっていた。
 そんな僕に野々村は瞳を細めて笑い、何を思ったのか体を起こす。そして、カチャカチャと音を立てて穿いていたジーンズと下着を一気にずり降ろし、僕の目の前にその太い性器を露にさせた。
 しかも意外な事に野々村のソレは僕がフェラしなくても上を向いて勃ち上がり、その太さを更に増していて僕は目のやり場に困って視線を左右に動かす。

「……特別に俺様が直々に相手してやるよ。くく……、チビぃ、感謝しろよ?」

 そして野々村は僕の顎を掴んで無理矢理視線を僕に合わせると、なんとも凶暴な顔で僕にそんな事を言った。
 一瞬何を言われたのか解らなくて僕は、野々村の顔をまじまじと見返す。
 だけど野々村の真意を見抜く前に、野々村は僕の顎から手を離すと、立ち上がり僕の視界から消えた。

「おい、西、退けろよ。」
「は、はぁ……。」

 僕の後ろ側で野々村が低い声で西にそう言い、西は間の抜けた声で返事をして僕の後ろから退けた様な気配がした。
 そこに来て僕は漸く野々村がさっきなんて言ったのか、その意味を理解する。
 そして僕の顔から血の気が引いた。
 だって、野々村のモノは平均よりもかなり大きくて。
 笹川のモノなんて目じゃないくらい大きくて、太くて、長くて。
 西の短小と言ってもいいくらい大した事ない性器なら今の状態の僕なら易々と受け入れられるかもしれない。だけど、今まで経験した事のない位あんな太い、大きいモノが僕の中に入るのか、どう考えてもさっき西が無理矢理僕に突っ込んだ時よりも酷い痛みが来ることを想像して、僕は蒼白になって後ろを振り返った。
 すると僕の腰を掴んでその巨根を今まさに挿入しようと僕の尻穴に狙いを定めている野々村と目が合う。

「っ……、や……めっ。」

 僕が制止の言葉を口にしようとした瞬間、野々村はにやりと酷く凶悪な顔で笑い、その腰を前進させた。
 ビリッと来る激しい痛みがそこから一気に僕の脳天までを貫く。

「ひぁ……っ、あ゛、あ゛ぁあああああ……っ!!」

 僕の口から悲鳴のような声が上がった。
 体からは一気にがくん、と力が抜け、リビングのラグの上に突っ伏すと僕は体がバラバラになりそうな痛みをそのラグの表面に爪を立ててガリガリと掻いて現す。
 尻穴があの野々村のデカイ性器の大きさに、メリメリと無理矢理開かされるその痛みは、西が挿入してきた痛みの比ではなかった。
 自分で幾らかほぐしていたとは言え、こんな想定外な大きさの性器なんて女じゃないのに受け入れるなんて無理だ。いや、女だってきっと無理だ。
 だけど僕のそんな悲痛な悲鳴なんてものともせずに、野々村は僕の中に押し入って来る。

「く……痛ぅ……、んだぁ、えらくキッツイなぁ……、入り難いじゃねぇか。なぁ、おい、話が違うぜぇ? チビ?」

 後ろで野々村がぶつぶつと文句を言っている。
 当たり前だ。
 お前のモンを挿入されるなんて想定外だ……っ!!
 そんなでっかいチンコなんて、よっぽど開発してなきゃ無理に決まってんじゃねーーかっっ!! ばーーーーっかっ!!!!
 そんな言葉が痛みに霞む頭の中に溢れかえる。
 だけど僕の口は、痛みの悲鳴を出すだけで精一杯で僕の脳内に浮かんだ言葉を口にする余裕はなかった。
 ガクガクと野々村の巨根を挿入される痛みに僕の体が揺れる。
 ぬるりとしたやたらに生暖かいものが僕の尻辺りから溢れ、僕の太ももを伝って落ちた感触がした。
 あぁ、裂けちゃったのか……。
 痛みで溢れる頭の中で妙に冷静にそう言う声が聞こえてくる。
 すると僕の周りを囲んでいた男達もそれに気がついたのか、少しざわついた雰囲気が感じられた。

「お? なんだぁ、血か? ……ははっ、こりゃいいや。まるで処女犯してるみてぇだ。」

 周りの雰囲気に野々村が始めて僕が出血して居る事に気がついたのだろう。そんな妙に楽しそうな声で笑いながら嫌な事を言う。
 他にも、俺は処女の女を自分好みの女にするのが好みなんだよなぁ、こりゃチビも俺好みに調教してやるかぁ、なんて誰も聞いてもないことを笑いながらべらべらとしゃべっていた。
 そんな事知るか。
 それに僕は処女じゃない。
 尻でもその言葉を使っていいなら、僕の処女は笹川にもうすでにあげている。
 なのに、野々村はそんな事はまるでなかったかのように僕の尻にその太い性器を突っ込みながら、でも処女の女はうるせぇんだよな、すぐに痛いから止めろだのなんだの言いやがって、自分から股開いた癖によぉ、全く腹立つよな、なんてくだらない事を呟いていた。

「……なぁ、チビぃ。オメーは違うよなぁ? 止めろ、なんて言わねぇよなぁ……? 男が好きなんだもんなぁ?」

 だけど野々村はいきなりその巨躯を折り曲げて僕の耳に舌を這わすと、そんな事を言ってくる。
 何を言ってんだ、こいつは。
 僕が止めろなんて言っても、どうせ聞きはしないくせに。
 心の中で悪態を吐きながらも、僕は痛みで呼吸困難を起こしていてその言葉を否定することも肯定することも出来ない。
 そんな僕の状態を見てどう野々村が思ったのか。
 多分半分くらい僕の尻にその性器を突っ込んだ状態で挿入の動きを止めると、ゆっくりと前後に動かし始めた。
 また酷い痛みが僕の体を襲う。
 改めてさっきまで折角笹川との行為を思い出して自分で後ろをほぐした事が、全くの無意味な行為だと思い知らされる。こいつが挿入するんなら、もっと、指じゃなくて、違うものでほぐせばよかった、なんて変な後悔を抱きながら、僕は痛みにひたすら呻き、ガリガリとラグの表面を掻き続けた。

「あ゛、あ゛ぁ゛ああああ……っ、う……あ゛、はっ、はぁ、う゛ぁ……、ひっ、ぃ……ぁっ!」
「チビぃ、痛いかぁ? 痛そうだなぁ? ははは……っ、でも俺はなかなかヨクなって来たぜ? ほら、わかんだろ? あぁ……すげぇな、入り口がめっちゃ締まって、女よかナカがみっちりと圧迫してくる。ローションと血のお陰か滑りもいいしなぁ。」

 ゆっくりとだけど、野々村は僕の中を行ったり来たりしながら僕の悲鳴を心地よく感じているらしく、僕の耳を舐め回しながらどこか興奮した声でそんな事を囁く。
 だけどもう僕にはその言葉に反応を返す余裕なんてなかった。
 体がバラバラに引き裂かれそうな痛みに、意識が飛びそうになるのを必死になって耐える。野々村の性器に突き上げられる度に湧き上がる異物感と吐き気に、えづきながら、もう野々村の好きにさせるしかなくて、体をゆさゆさと揺らされながら僕は頭を床に擦り付けていた。
 痛みで意識がゆっくりと遠のいていくのにつられて、体の力が抜け、四肢が弛緩していく。
 でも腰を野々村ががっちりと掴んでいるせいで僕の体はかろうじて尻を高く掲げた状態で留まり続けている。
 そして、くるり、と白目が反転したような気がして、僕の意識は暗闇に飲まれた。



 次に意識を取り戻した時には、下半身から感じる痛みはすっかり麻痺していて、一瞬自分が何をしていたのか、どんな状態だったのか思い出せない。
 だけど相変わらず誰かに後ろを突かれているらしくて、僕の体はその動きに合わせてゆさゆさと揺さぶられていた。
 意識が次第にはっきりし始めると、辺りに充満する異様な匂いに気がつく。
 血の匂いと、精液と、男独特の汗の匂い。
 それらが一気に鼻を突き、僕はその不快さに顔を顰め小さく呻いた。

「……お、チビ気がついたのか?」

 僕の呻き声に気がついたのか、僕の目の前で素っ裸でビールを煽っていた西がそう声をかけて来る。
 そして視線を僕の後ろへと向けた。
 後ろに一体何があるんだろう、そう思い僕ものろのろと顔を持ち上げて後ろを見ようとしたが、突然その顔を西に掴まれた。
 え、と思っていると、僕の口に酷く汚れてふにゃふにゃになっている性器を押し付けてくる。
 西の性器は血と、そして精液、後はなんだかよく解らない体液に塗れていて、見るからに汚らわしい。だけど、その性器を西は僕の口にしつこく押し付けてきた。
 僕が嫌々をするように顔を振ると、西は苛立ったように無理矢理僕の口を開けさせると、その中へその汚れた性器を突っ込んでくる。
 途端に吐き気を催すような匂いと、味が口の中へ広がり僕は思わずその性器を吐き出した。

「てめぇ、ちゃんと舐めろよっ!! てめぇのケツで汚れたんだからよぉ!!」

 その怒鳴り声と共に、西の平手が僕の頬を強く打った。
 張り手の痛みとなんでいきなりこんな風に怒鳴られるのか混乱している僕の頭は更に混乱して視線を当たりに彷徨わせる。
 すると、西の後ろで西同様素っ裸になっている野々村がまたビールを飲みながら僕をにやにやと見て笑っていた。
 その顔を見た瞬間、僕の中に野々村に犯されたあの恐怖と痛みが蘇り、血の気が引く。
 そうだ、僕はこいつにあのデカイのを挿入されて、それで……。
 記憶が蘇ると、今の状況を冷静に判断する理性が働く。
 目の前には西、そして、その後ろには野々村が居て、野々村の横にはコータ。
 じゃあ今僕の尻を突いているのは誰なんだろう。
 西の平手で僕の体が少し揺れた事にも頓着せず、僕の尻穴をぐちゅぐちゅと掻き回している男に視線を向ける。
 するとまた西に顎を掴まれ西の方へと顔を戻された。

「ほら、てめぇが気絶なんてしちまったから、てめぇのケツ穴の汚れがついたまんまなんだよ。早く綺麗にしろよ。」

 慇懃無礼に西の奴に命令される。
 それに僕は漸く西が、野々村が終わった後に、何番目かは知らないけど僕の尻を犯したことを理解した。
 だから西の性器がこんなにも血液と精液に塗れているのか、そう納得する。
 チラリと西の顔へ視線を走らせると、いらいらしたような表情の中にも、どこか性的な興奮が色濃く滲んで居る事に気がつく。
 つまり、こいつらは気絶した僕の体を、いや、尻穴をこれ幸いと犯し続けてた訳だ。
 その事に思い当たると僕は、今僕の尻を犯している人物が沢崎だろうと想像する。だって、ここには野々村と西とコータと沢崎しか居なかった。
 だから、このメンバー全員で僕を輪姦してたんだろう。
 そう思うとなんだか酷く滑稽だった。
 気絶して意識のない男のケツなんて犯したって楽しくも気持ちヨクもなかっただろうに。大方、それさえも野々村の命令で仕方なく、と言ったところか。
 それでもこいつらが今だ興奮が醒めてないように見えるのがが不思議だったけど。

「……解ったよ。」

 西のイライラした言葉に小さく僕は頷くと、汚いその性器へと顔を寄せる。
 そのまま気持ち悪かったけどその性器を自分の口の中に吸い込み、柔らかくなっているそれを舌で舐めまわす。
 口の中に自分の血の味と、男達の精液の味が充満し、吐き気を覚える。
 だけどそれをぐっと堪えると、丹念に西の性器に舌を這わせその表面にこびりついている汚れを落としていく。
 そうしている間にも僕の後ろを犯している男は、なんだか荒い息を吐きながらやたらめったら強く僕のそこに勃起した性器を擦りつけ、ナカを行き来させている。
 だけどもうそこに痛みも何もなかった。
 ただ痺れるような、そんな鈍い感覚があるだけ。
 快感もなかったし、吐き気もなかったし、なんだか少しだけの異物感と腸壁を叩くそいつの先端が当たる鈍い感覚と、体を揺すられる事で初めて尻穴に挿入されてるんだ、って感じるくらいなんともなかった。
 それはやっぱり野々村のあの巨根に犯された後だからだろうか。あの後だから、普通の大きさのモノじゃ、感覚が鈍ってるのかな。
 その痺れた感覚をそんな風に不思議に思いながら僕は口の中にある西の性器をぴちゃぴちゃと舐める。
 すると萎えていた筈のソレがゆっくりと僕の口の中で大きくなってきた。

「……はー、はー……っ、チビっ、もっと裏を舐めろよっ。」

 しかも僕の舐めさせている西の息遣いも興奮したそれに変わっていて、こいつらもサルなんだって事を僕は知る。
 ならば、と思い僕は積極的に西の性器に舌を絡めていった。
 西の要望通り裏筋の血管が浮かんでいる所を舌先で突くようにしたり、舌全体でぞりぞりと舐める。そうすると、西は満足そうに呻いて、僕の頭を押さえつけその性器を深く僕の口の中に挿し込んできた。
 西の性器はあまり大きくないから舐めるのも、吸い付くのも楽だ。
 こんな事を本人に言えば目を吊り上げて怒るんだろうけど。
 だけど野々村のモノを舐めるよりかは本当に断然楽で、やり易いから僕の舌の動きにも断然熱が篭った。
 でも僕が意識をはっきりと取り戻して、こうして西の性器を舐めている事がよかったのか悪かったのか。
 後ろから今まで以上に興奮した鼻息が聞こえてくるようになった。
 どうしたんだろう、と思い、なんとはなしに沢崎が挿入している尻穴に意識を向ける。
 と、途端に、沢崎の口から小さな呻き声が漏れた。

「ぅ……う……っく。」

 何かを堪えるような、そんな呻き声。
 そして、沢崎の動きが何故か一旦止まった。
 その事に、変なの、と思いながらも僕はまた意識を西へと向け直し、ちゅぱちゅぱと音を立ててその性器を唇で吸い、ちゅっ、ちゅっ、と先端から溢れ出る先走りを飲み込む。
 すると今度は西の方が喉の奥で呻き声を低く震わせ、少し腰を引いた。
 あぁ、気持ちよかったのか。
 その西の反応で僕は後ろの沢崎が、僕の尻に感じて、感じすぎて?、動きを止めたのだと理解する。
 その事でふと笹川が僕とのセックスに夢中になり、それ故に僕の言いなりになっていた頃を思い出し、僕の中になんとも言い難い優越感が膨れ上がった。そして、笹川とのセックスの気持ちよさも。
 なんでこんな時にこんなにも笹川との行為を思い出し、それを頭の中で何度も何度も録画した映画やドラマを再生するかのように笹川のあの性器の感触と快感を記憶の中でなぞるんだろうか。
 だけど脳裏に笹川の性器の感触がありありと蘇ると、途端に、体にゾクゾクとした快感が這い上がってきた。
 意識をすれば後ろに入っている沢崎の性器の感触は、どことなく笹川と似ている。
 勿論長さは笹川の方が長かったけど、その太さとか、擦り方とか、そういった些細な事が。
 そう意識した途端、僕の体は今まで無反応だったくせに、何故か沢崎の性器の感触に震えるような快感を覚えた。

「は……っ、あ……ん……っ、んむ……っ、ちゅ……っ。」

 喉の奥から自然と甘い声が漏れる。
 西の性器を舐めながらその合間に、そんな溜息のような喘ぎ声を漏らすと、西の性器がビクンと変な反応をした。そして、僕の後ろを犯している沢崎の性器も似たような反応を僕の中でする。
 それがなんだか堪らなくて、僕はもっとその反応をさせようと、西の性器を口いっぱいに頬張り、その短小なモノを舌で弄ぶ。
 そうしながら僕は今まで弛緩させていた足に力を込めると、自分から腰を揺すって沢崎を挑発した。

「ん、んん……っ、はぁ……っ、ん、くちゅ、む……ふぁ、ぅん……ちゅぷっ。」

 くちゅくちゅと口の中に唾液を一杯溜めて西の性器をその海の中で躍らせる。それだけで西の性器は僕の口の中で小さいなりに精一杯膨れ上がり、興奮している証拠の先走りを沢山滲ませた。
 後ろは後ろで、沢崎も興奮したような荒い鼻息を漏らしながら一旦止めた動きを再開している。
 野々村に最大限に広げられた筈のそこは、ゆっくりと沢崎を包むように締まっていき、より一層その形や太さを僕に感じさせた。

「っ、幸田っ……幸田ぁっ……は、ぁあ、すげぇ、すげぇ……っ。」

 しかも後ろからそんな間抜けな声が聞こえる。
 その声にやっぱり僕の後ろを犯しているのが沢崎だとはっきりと理解すると、僕はもっと腰を振って奴を追い詰めた。
 西も西で僕の口を犯しながら、チビ、チビ、って僕のあだ名を口にして、腰を振って僕の口の中にその短小を擦り付ける。
 そして、僕が喉の奥を絞めるように強く西の性器を吸い込むと、うっ……っ、と低く呻いた。と、同時に、僕の口の中に西の精液がドロリと吐き出され、大量にあった唾液に混じって僕の喉を通り抜けていく。
 西や野々村達には笹川みたいに口に射精した後、それを見せるようには言われなかった。だから僕は口の中に溢れてくる西の精液を西に見せる事もなく、とりあえず嚥下していく。
 飲まなくてもいいのかもしれないんだけど、でも、そうした方がこいつらの気持ちを満たす事が出来ると解っているから。
 西の精液を全部飲み込むと、萎れたその性器を西がずるりと僕の口から抜き出す。
 目の前に晒された西の性器は、すっかり縮んでいつも以上に小さく見える。だけどそれなりに使っているのか浅黒いそれは僕の唾液と西自身が出した精液で濡れていて、妙に卑猥だった。

「……っ、ん……っ、ちっちゃくなっちゃったぁ……、ん、ぅふ……ぅ。」
「ぅあ! ちょ、おぃっ! チビっ!!」

 思わず手を伸ばし、西のその萎えている性器を掴みもう一度自分の口へと入れる。
 まさか僕がそんな行動に出るとは思わなかったのか西は激しく動揺し、僕の頭を必死になってどかそうとしていた。
 どうしてだろう?
 笹川はセックスをし終わった後、萎えた性器を僕が咥えたら凄く喜んでくれた。
 なのになんでこいつは拒否するのか。
 それが解らなくて、僕は無理矢理口から引き抜かれた西の性器を見た後、上目使いに西を見上げる。
 すると西は酷く狼狽した顔をしていて、微かにその目元を赤く染めると僕の前から逃げるように居なくなった。

「あ……っ。」

 西が居なくなり少し不満気味な声を漏らす。
 だけどそれはすぐに後ろから訪れた快感に掻き消されてしまう。
 沢崎が強く僕の尻穴をその性器で抉ったのだ。

「っ、はぁ……! ぁ、んんんっ……っ、あっ、あぁっ、はぁ……っ、い、いぃ……っ、あ、あ……っ。」
「く……っ、う……、すげぇ……っ、すげぇ……っ!」

 後ろを突かれる快感に、僕の体はまるで飢えていたのかのように反応を返し、僕は西の性器から解放され自由になった口から馬鹿みたいに喘ぎ声を漏らしてしまう。
 そして沢崎は、すげぇ、すげぇ、とうわ言みたいに呟きながら、僕の尻穴を酷く掻き回した。
 笹川の性器に似ているそれに掻き回され、僕の中には熱病みたいなそんな快感が生まれ、満たしていく。

「んん……っ、もっと……、もっと、シて……っ、ぁ、あぁ……っ、気持ち、いぃ……っ、あぁ……ん……っ、もっとぉ……っ。」

 呂律の回らない口で、僕は自分から腰を揺すり沢崎の性器をもっと、もっと、と求める。
 すると沢崎は僕の言葉に、更に強く僕の尻を犯し始めた。
 笹川とは違う場所をその先端で強く突かれ、その新鮮な感覚に僕は悶える。
 あぁ、僕って本当に淫乱だったんだ。男だったら誰でもいいんだ、感じちゃうんだ。
 どこか冷静な部分の僕が、そう今の自分を醒めた目で見下ろしながら、そう呟いた。
 笹川の性器だけじゃなくて、他の奴の性器にまでこんな風に感じるなんて、今まで僕は思いもしなかった。
 そりゃ、自分からこいつらを挑発してこの行為をし始めたんだから、ある程度は想像はしてたけど、最初、西が僕の後ろを犯そうとした時に、その自分の欲求だけを通そうとするやり方を見て、これじゃ感じるなんて無理だなぁ、なんて思ってた。
 でも今の僕は、確かに沢崎の性器に、それがもたらす感覚に強い快感を覚え、喘ぎまくっている。
 なんてふしだらな体なんだ。
 こんな僕の姿を笹川が見たら落胆するだろうか。それとも怒り狂うだろうか。あの時、僕が始めてこいつらの性器を口にして、こいつらの精液塗れになった時みたいに。
 そんな事を思うとなんだか得体の知れない感情が胸の中を締め付けた。
 訳のわからない罪悪感と、悲しさと、切なさ。
 一体この感情はなんなんだろう。

「はぁ、はっ、……ん? おぉ? なんだぁ、幸田ぁ……よがり泣きかよぉ……っ、そんなに俺のが気持ちイイのか……ぁ?」

 え……?
 沢崎に言われた言葉に僕は喘ぎ声を挙げながら、そっと手を顔に持っていく。
 確かに沢崎が言うように僕の顔はぐしゃぐしゃに濡れていて、初めて僕は自分が泣いて居る事を知った。
 よがり泣き……?
 沢崎の言葉が頭の中で何度も疑問符と共に回る。
 だけど今の僕の涙の理由なんて、自分自身でも説明が出来ない。ただ、はっきりと言えることは、沢崎が言うようによがり狂って泣いてる訳ではないって事だけ。
 でも、それでこいつが満足するならそれでもいいや、と思い、僕はその言葉を否定する事無く、ただ自分から腰を揺すって沢崎の下半身に自分の尻を擦り付ける。
 頭の中を後ろを犯すソレの感触で一杯にして、僕は喘ぎ声を挙げ続けた。

「ははっ……、たまんねぇな、おい、もっと泣けよ……っ、ほらっ、ほらぁ!」
「ひぁ……っ、あ、あ……っ、んん、……っ、ふぁ……っ、あっ、あぁ……、ダメっ、やぁ……っ、もぅ……っ。」

 沢崎が僕の声に、行動に感極まったような掠れた声でそう言うと、僕の腰を強く掴みぐいぐいとその股間を押し付けてくる。
 笹川が突いていた場所より幾分浅いその場所に、僕は、少しだけ物足りなさを感じながらも顔をラグに押し付けて、瞳を閉じて、沢崎が喜びそうな声であんあんと喘ぐ。
 すると、突然後ろから沢崎のモノがずるりと引き抜かれた。

「っぁ……ん、や、やだっ、抜かないで……っ。」

 思わず無意識にそんな言葉を甘ったるい声で訴える。
 だが、僕の後ろで沢崎の、ちょ、野々村さんっ、という焦ったような声を聞いて瞳を薄く開け、後ろを見た。
 すると沢崎がその首根っこを野々村に掴まれその勢いのまま後ろに転がされていて、一瞬、何が起こっているのか僕には理解出来なかった。だから、ぼんやりとした意識のままその光景を眺めていると、その僕の目と、野々村の目がかち合い、野々村ににたぁと微笑まれる。
 その微笑の壮絶さに僕は溶けていた頭の中に冷たい棒を差し込まされたような気がした。

「俺との時にはあんだけ、痛いだの、嫌だの、悲鳴上げて泣き喚いてた癖に、沢崎のはイイってのはどういう事だよ? あぁ? ……まぁ、いいさ。お前も感じ始めたみてーだし、また俺のをたっぷりと味合わせてやるよ。お前が今みたいによがり狂うまでな。」

 一体何が気に入らなかったのか。
 野々村はその額に青筋を立てて僕をねめつけながら、その下半身で大きく膨れ上がっている男根を僕の尻にあてがってきた。
 またあの裂かれる恐怖に僕の体が竦む。
 折角、溶けていた体が急速にその熱を下げ、僕の顔が青ざめていくのが解る。
 だけど野々村は僕のそんな顔を見て、にたりとまた嬉しそうに笑った。
 そして野々村はその巨根を僕の中にまた無理矢理埋め込んでくる。
 野々村のモノが無理矢理僕の尻穴の入り口を押し広げるその感覚に、呼吸が止まりそうになった。
 だけど沢崎のモノに感じてそれで十分にほぐれていたせいか、それとも僕が気絶している間にも他の奴らがそこを使っていたせいか、そこは、初めて野々村の性器を挿入された時の様な酷い痛みはもたらさなかった。ただその巨大なモノが狭い腸壁を擦って広がっていく、その不快感と圧迫感を僕に与える。
 痛くないことは幸いだったが、だけどとにかく、苦しかった。
 はっはっ、と舌を出し、まるで犬が熱い時にするように酸素を取り込もうと必死になって僕は口を開けて呼吸をせわしなく繰り返す。
 腸壁が野々村の性器に押し上げられ、胃が競りあがってくるような、そんな不快感と吐き気が絶えず襲ってくる。

「はっ、はぁ……っ、あ、やぁ……っ、くるし……っ、だめぇ、はっ、はぁ……っ、うっ、げほっ、やぁ……っ。」
「お、おぉ……? なんだぁ? さっきよか全然イイじゃねぇか。んんー、こりゃ、全部入るかぁ?」
「あっ、やぁ、無理、……っ、無理、だめぇ……っ。」

 僕の中に埋め込んで行く量が増える度に、野々村の口から満足そうな息が漏れた。そうしながら僕の中へさっき以上の量を埋め込もうとする。
 その事に僕は弱々しくもがき、無理だと訴えた。 
 だけど野々村はそんな僕の言葉なんて無視して、ぐいぐいとその長くて太い性器を僕の中に沈めていく。
 今まで感じたことのない位深い場所に野々村が押し入ってくる。
 その内臓が競り上げられる嫌な苦しさに僕はふるふると頭を振って、その凶器から逃げようとガリガリと床を掻いた。
 だけど、腰はしっかりと野々村に固定されている。

「逃げんなよぉ、チビぃ。……あー、こりゃ最後まで入りそうだな。いいぜぇ、いいぜぇ、チビぃ。ほら、もっと俺のを食えよ、好きなんだろぉ? 男のチンポ。おぉ、入ってく、入ってく、すげぇなぁ。くくく……。」

 野々村の言葉と共に、更に野々村の性器が僕の中へどんどんと入ってくる。内臓をその太いもので押し広げられる毎に僕は舌を突き出し、声も出なくなり、ただただはぁはぁと犬のように呼吸を繰り返した。
 そしてどうやら野々村のモノが僕の中に全部納まったらしい。
 ぴたりと押し入る動きが止まると、野々村はふー、と一息ついた。

「解るか? チビ? 俺のモノがぜーんぶお前の中に入ったぜ? どうだ? ん? 笹川や沢崎のモンよかデカクてケツん中一杯で気持ちイイだろぉ?」

 ゲラゲラと下品に笑いながら野々村はまた後ろから僕の耳に舌を這わせてそう囁く。
 うるせぇ、イイ訳なんてあるかよ。馬鹿っ!
 痛くはないけど、とにかく苦しくて、僕ははぁはぁと相変わらず舌を出して呼吸することしか出来ない。だから心の中で悪態を吐き、必死になってこの苦しさを抜く為に体の力を抜こうとする。
 だけどどうしてもこの巨根を受け入れるには僕の体には負担以外の何者でもなくて、僕は、小さく呻く。
 そして、野々村が僕の耳に囁いた言葉に僕の体は硬直した。

「……じゃあ、そろそろ動くぜ? 沢崎ん時みてぇに可愛い声で喘げよ。」
「っ……や、ダメっ……、動かな……っ、ひぁ……っ、あ゛、あ゛ぁああ……っ!」

 ずっ、と野々村の腰がグラインドして僕の内臓をその太いブツで外へ引き出すように掻き出した。
 尻の入り口から内臓が全部引っ張り出されそうなその感覚に僕の喉は悲鳴を上げる。
 だけど当然のように野々村は許してはくれなくて。
 不快感から僕の瞳には涙が溜まり、それがぽろぽろと頬を伝って零れていく。

「やぁ……っ、助け……っ、あ゛、ぁあ゛……、や、痛っ……、壊れ……ちゃっ、やぁ……っ!」

 誰に向かってかは解らないけど僕は手を伸ばす。
 だけど手を伸ばした先には野々村の手下しかいなくて、そいつらは僕の視線からも手からもその顔を背けて、僕を助けようとはしない。
 それは当たり前といえば当たり前だったけど、でも、誰かに助けて貰いたくて僕は手を伸ばし続ける。
 瞳から零れ落ちる涙はどんどんと量を増やし、ボタボタと床に零れ、白いラグに染みを作っていった。
 体がガクガクと野々村に乱暴に揺すられる。
 内臓を酷く硬く太い棒で擦られるようなその感覚がどんどんと強くなっていった。
 野々村の先端が今までにない程深い場所を抉ると、鈍い痛みが全身へと広がる。
 快感とは程遠いその感じに僕は、ひっく、ひっくと、喉を鳴らしながら子供みたいに泣きじゃくり、誰かに向けて助けて、助けて、と呟く。呟き続ける。
 と、そんな僕の耳に野々村が唇をつけてきた。

「くく……、誰も助けになんてこねーよ。ここはお前ん家で、お前のお袋はお前を置いて一週間の旅だ。しかも冬休みで、お前を訪ねてくるような奴なんていねぇだろ? 委員長も、ほれ、お前自身が拒絶したんだろぉ? 助けなんていらねぇってな。だからあいつもこねぇよ。あ、ひょっとして笹川を待ってんのか? そりゃー無理だな。あいつ、あの日から家にも帰ってねぇみたいだしよ。なんか捜索願いもあそこん家から出たらしいぜ? どこ行ったんだろうなぁ、あいつ。ま、そんな訳だから、誰もお前を助けねぇよ。助けになんてこれねぇよ。嫌なら俺に慣れるんだな。沢崎に感じたみてぇに、俺のモノを涎垂らして欲しがれよ、ほらっ、ほらっ! そしたら今日は許してやるぜ。なぁ、チビ? ……だがまた明日からも俺のデカチンポ、このケツに食わせまくるけどよぉ……! ははは……っ!!」

 くつくつと酷く楽しそうな笑い声を漏らしながら、野々村は何かを僕に囁いていた。
 だけどその時の僕はどうにもならない苦しさに野々村の言葉を冷静に全てを聞き取る事なんて出来なかった。聞き取る事が出来ていれば、ひょっとしたら何かが変わっていたのかもしれない。
 でも僕は聞き逃してしまった。
 覚えているのは、きちんと聞きとれたのは、最初の誰も助けにこねーよ、ってとこと、俺に慣れるんだな、って奴と、最後に野々村が言った、明日からも俺のデカチンポ〜って辺りだけだ。
 最初と最後の間にあった委員長の事や笹川の事はあまりはっきりとは記憶していない。
 だってその時の僕は気が遠くなりそうな野々村の巨根の感触に、動きに、僕はガクガクと体を揺すられながら、ただただこの苦しさを抜く事だけに意識を集中していて。
 野々村が言うようにこのデカさに体が慣れてしまえば、これは苦痛ではなくなるだろう。……快感にはならないかもしれないけど。
 だけどそんな事が本当に出来るのだろうか。
 今、こんなにも苦しいのに。辛いのに。
 解らなかった。
 でも解らなかったけど、無理かもしれないけど、今の僕がこの地獄の苦しみから抜け出すのはそれしか方法がなくて。
 僕ははっはっと息をしながら、乱れている呼吸を整えようと努める。
 ゴツゴツと最奥を野々村に突かれる度に、だけど、その呼吸は乱されてしまう。
 それでも根気強く息を吸い、吐き、野々村の動きに合わせて自分の体を動かす。
 徐々に、徐々に野々村とも呼吸を合わせ、動きも合わせ、自分の体に負担が少なくなるように気が遠くなりそうな意識化の元で行なっていると、最初ほどの苦しさは段々と感じなくなってきた。
 そうなってくると少し心にも余裕が出来る。
 ギチギチと限界まで広がり野々村を受け入れている尻穴に意識を集中し、それが気持ち良いものだと自分に思い込ます。
 そんな事がどれだけ効果があるのかはわからないけど、ただ、痛いもの、気持ちの悪いものだと思っているよりも幾分か気持ちが楽になった。

「っ、はぁ……っ、は……っ、ぁ……う……っ。」

 野々村が求めるような喘ぎ声とまでは行かなくても、さっきまでの悲鳴は抑えることが出来る。
 そして口の中でくぐもった声を挙げながら、僕は床を掻いていた右手を動かし、自分の足の間へと持っていった。
 そのまま自分の股間を弄ると、すっかり縮みあがり小さくなっている自分の性器に指先が触れる。それにゆっくりと自分の指を絡め、息を野々村の動きに合わせながら僕は自分の性器を上下に扱き始めた。
 この状況でそこが気持ちよくなるとは思わなかったけど、それでも、擦り続けていればじんわりとした快感のようなくすぐったさのような感覚が性器から這い上がってくる。
 それに安堵しながら僕は更に意識を集中して、野々村の性器の感触と、自分の股間を擦る感覚をリンクさせていく。
 そして。
 自分でも馬鹿だと思うけど、脳裏に笹川の顔を思い浮かべた。
 なんだか酷く懐かしいその顔に、だけど僕の体がじんわりと熱くなる。
 その事に自分でも可笑しく思いながら、あいつが僕とセックスしていた時に見せた表情を次々と脳裏に呼び起こし、あの興奮を体に再現させるように努める。

「ん……っ、はぁ……ふぁ……っ、ん……っ。」

 ふるり、と体が震え、面白いように僕の体は体温が上がっていった。
 なんだよ、これ。まるでパブロフの犬じゃん。
 そんな事を思いながら、笹川との行為を思い起こすだけで快感を思い出す自分の体に苦笑をする。
 だけど今はそんな事、どうでもいい。
 大事なのは野々村のモノに体を慣らすこと。快感を得なくても、とにかく、このデカさを受け入れるだけの慣れを体に叩き込まないといけない。
 そう自分を奮い立たせながら、笹川の手の動きを真似て自分のモノを擦る。
 だけど。

「おいおい、チビぃ。それは反則じゃねぇかぁ? 俺のだけで感じろよなぁ? でねーと意味ねぇだろぉ?」

 僕が自分の性器を弄って居る事に野々村が気がつくとそう言いながら、その肉厚な手のひらで僕の性器ごと僕の手を握り締めた。
 性器から上がってきていた微かな快感がそこで断たれる。
 その事を少しだけ残念に思いながら、だけど僕は薄く目を開けて、顔を無理矢理野々村の方へと向け、僕の耳辺りに寄せていたその野々村の唇目掛けて自分の唇を寄せた。

「っ?! なっ、何、しやがるっ!! チビっ!」

 僕の唇が薄く野々村の唇に触れると面白いくらい野々村は狼狽する。
 今まで余裕ぶってたくせに、たったこれだけの事でその仮面が崩れた事が酷く可笑しい。
 だから僕はまだ少し苦しさの為に歪む顔を無理矢理笑顔にさせる。
 すると野々村は更に驚いたような戸惑ったような瞳を僕へと向けた。

「……はぁ、はっ、だ、だって、野々村くん、の……大き、すぎて……、今のままじゃ、感じるなんて、無理、だよ……っ、だから、お願い、僕に、キス、して……? ね、野々村くん……。僕も、野々村くんの、で、感じたい……から……っ、お願い……っ、キス、してよぉ……。」

 最初に笹川を誘った手と同じ手を、だけど方法は変えて、野々村に使ってみる。
 こんな小手先の芝居、こいつには利かない事は重々承知だ。
 だけども、万が一の可能性にかけて、僕は苦しさに潤む瞳を野々村に向けてキスしてくれるよう哀願してみる。
 野々村は僕のこの言葉に、怯み、嫌悪感の混じった複雑な顔で僕を見下ろしていた。
 それでも僕は野々村に握り締められている手をなんとかして解くと、自分の性器からも手を離し、体を捻り野々村の頭の後ろへと持っていく。
 僕の手の動きに野々村がびくっと身を固める。
 それに薄く笑いながら僕は、もう一度自分から野々村の唇に自身の唇を寄せていく。

「っ……、止めろっ!」

 僕の唇が近づくと、野々村は自分から顔を逸らせた。
 そして苦々しい顔をすると、僕の頭を床の上へと押さえつける。

「い、いたい……っ。」
「うるせぇっ、てめぇ、何企んでやがる……?」

 ぐりぐりと僕の頭を床へと擦りつけながら、野々村は猜疑心に溢れた声でそう聞いてきた。
 その言葉に僕は顔を痛みに顰めながらも、ふるふると頭を小さく振る。

「ち、違うよ……、僕、キス、好きなんだ……、キスしながらだと、いつも、凄く気持ち、よくなるから……だから……。」
「……。」

 ある意味嘘は言っていない。
 笹川としてた時、笹川にぐちゃぐちゃにキスをされながら後ろを掻き回されたら、もうどうにでもしてくれ、って思う位気持ちよかった。
 その事を思い出したから。
 だから野々村が僕にキスするなんてあり得ない、とは思ったけど、もしかしたら、の思いで野々村にキスを求めた訳で。
 そんな僕の言葉に、野々村はまた疑り深い目を向けてじぃっと僕の目を見つめる。
 それに僕も真剣な目で見つめ返し、嘘は言ってないよ、とアピールした。
 これで野々村がキスをして犯してくれれば、脳内であいつとのセックスに変換できる。そうしたら、こいつのこの馬鹿でかいチンコにだって感じる隙が出来るかもしれない。
 その可能性に賭けて僕は野々村の目を見返す。
 すると暫く僕の目をじろじろと見つめた後、野々村は長い溜息を吐いた。

「……俺は別におめぇが気持ちよくなろうが、どうだろうが、関係ねぇんだが? それよか、早く俺を気持ちよくさせろよな。チビ。」

 あぁダメだったか。
 そう思う。
 なら仕方ない、この方法は諦めて僕は小さく溜息を吐くと、野々村から視線を外した。
 そして相変わらず苦しさしか感じない野々村のその性器を刺激する為に、自分から腰を動かす。

「ん……っ、こう……? ぅ……、く……、う……っ、ど、どう、かな……っ?」

 自分の腰を野々村に押し付けるようにして動かすと、胃が競りあがるような不快感を覚える。
 だけど早いところこいつを射精させて終わらせないと、いつまでも僕はこの苦しみを味合わなければならない。それはどうしても避けたい。だから、僕は野々村の欲情を誘うように無理矢理にでも体を動かし、腰を押し付ける。
 すると野々村は僕の頭から手を退け、そしてまた僕の腰を掴むと無言のまま僕の中をまた突き上げ始めた。
 鈍い痛みと吐き気がまた湧き上がる。
 それを必死になって押さえながら僕は、痛みと苦しさを逃す為にも野々村の動きに自分でリズムを合わせはっ、はっ、とまた呼吸を荒くしていく。
 と、不意に僕の目の前に人影が現れた。
 視線を上げるとそれはコータで、何故か凄く微妙な顔をして僕を見下ろしている。
 何? そう思い、だけど、野々村に後ろを突かれている為にそれはただの呻き声としかならなかった。

「コータ、早くしろよ。」

 だけど僕を突きながら野々村が何かを目の前のコータにそう命令する。
 なんだろう、とますます思い、目の前のコータが更に微妙な顔をするのを見ていたが、不意にコータの手が伸びてきた。
 そして僕の顎を掴み上向かせると、何故かコータが僕の唇にその唇をやけくそのように押し付けてくる。

「むぅ……ん?! ん……っ、ん……、ふ、ぁ……んんっ!?」

 コータの舌が僕の唇を割り、口の中に忍び込んでくた。
 その気持ち悪さに僕は必死になってコータの口から逃げようとするけど、がっちりと顎を捕まえられててはどこにも逃げる事が出来なくて、不安定な体勢ながらももがく。

「コータはこの中じゃ一番キスが上手いからよぉ。それで我慢しろよ。なぁ、チビ。」

 だけど、後ろから野々村のそんな言葉が聞こえ、納得した。
 つまり野々村は自分がキスするのは嫌だけど、他の奴にキスさせて僕の感度をあげようって腹らしい。
 そう納得すると、僕は足掻くのをやめて、素直にコータに唇を任せる。
 確かに野々村が言うようにコータはキスが上手かった。
 だけど明らかにやる気のない、嫌々やっているというのが解るそのキスの仕方に僕は、感じるどころか気持ち悪さしか感じない。
 だから僕は四つん這いの不安定な姿勢だったけど、片手をコータの頭の後ろへと持っていき自分から深く口付けていく。
 すると今度はコータが嫌そうに僕の口から逃げようとする。それを追っかけ、僕は自分の口の中に入ってきているコータの舌に自分の舌を絡め、唾液を絡めてやる。

「ふ……ん、ん……っちゅ……ん、ん。」

 何度かそうしてコータの舌を吸い、絡めていると、コータの舌の動きが少しずつ変わってくる。
 段々と積極的に僕の舌に舌を絡ませ、挙句、僕の体の下にその足を入れ支えるようにすると、僕の頭を抱え込むようにして僕の唇に激しいキスを浴びせてきた。
 そんなコータに応えるように僕も舌をいやらしくコータの舌に絡め、そこから溢れ出る唾液をぬぐい、飲み込む。
 お陰で段々と体の方も熱くなってきた。
 しかも後ろを犯している野々村の重量も段々と気にならなくなってくる。
 僕の想像は少しは当たってたって事なんだろうか。
 脳裏にまた笹川の顔が浮かぶ。
 それを今僕にキスをしているコータの顔に被せて、僕は笹川に今までしてきたようにいやらしく舌を絡め、コータの唾液をすする。

「はぁ……ん、ん……っ、ちゅ……く、んふ、こーた、く……ん、……ん……っん、はぁ……ふぁ。」
「ふ……っ、む……っ、ん、こう、だ……っ、ちゅく……っ、はっ。」

 互いの舌と舌を絡め合わせながら、時に互いの名を呼びながら僕たちは唇を合わせる。
 なんだか、笹川とのキスを思い出させるこのやり方に僕の体は更に熱くなった。
 野々村のモノが相変わらず僕の内壁を苦しいくらいに擦り挙げている。だけど、それはさっき程苦痛ではなくなっていた。
 じんわりとそこも熱くなり、自分の内壁が溶け始めているのが解る。
 入り口も最初ほど野々村を拒むようにきつく締め上げなくなり、比較的呼吸も楽になってきた。
 尤も唇はコータに塞がれているから、呼吸そのものは結構苦しいのだけど、それでも、痛みと内臓を引きずり出されるような苦しさに比べたら全然楽だ。
 ゆっくりと野々村のモノが僕の中から引き摺りだされ、ふと、笹川に開発されたあの場所をその先端が擦った。
 途端に、今までとは違う快感が一気に体の中を駆け巡る。

「はっ……ぁあ、ん、はあぁあ……あぁはっ!」

 ビクンと喉が仰け反り、コータと唇が離れた。その瞬間僕の喉からは、甘い甲高い声が悲鳴となって零れる。
 その僕の声にコータも野々村も驚いたようだった。
 野々村は僕の中を出し入れしていたその動きを止めてしまい、コータもその唇を真っ赤にして唾液でぬらしたまま僕の顔を見つめている。

「ん、ん……っ、のの、村、く……、さっき、さっきの場所、擦ってぇ……、お願い、もぅ一回、擦って……っ。」
「あ、あぁ……、こ、ここか……?」
「ひぁ……っ、ふ、んんん……っ、あっ、あぁ……っ! はぁ……っ、や、あっ、そこ、っ、そこ、イイ、……っ! ひぁあ……んっ!」

 ビクビクと体を震わせて、野々村にさっきの場所をもう一度擦るように哀願する僕に、野々村も呆気に取られたのかやけに素直にもう一度その場所をその太い先端で擦った。
 途端に僕の体中に電流が走る。
 恥ずかしいくらいの大声で喘ぎ声を、いや、感じている悲鳴を零しコータの首にしがみ付きながら、僕は自分で腰を振り、野々村の性器の先をそこに擦り付けた。
 入り口から程近いその場所は、僕が唯一尻だけでイける場所だ。
 笹川にそこを本当に嫌になるくらい攻められ、開発された場所。
 そこを野々村の笹川よりも面積の広いそれで擦られると、堪らない痺れが走り、声を抑える事なんて出来なかった。
 そんな僕を見て野々村は気をよくしたのだろうか。
 一旦止めた動きを再開し、その部分を重点的にその太い先端で、雁の部分で擦り上げる。
 その度に僕の口からは堪えきれない喜悦の声が漏れ、目の前にいるコータにぎゅうっとしがみ付く。
 頭の中に笹川の顔が浮かんでは消え、ぐるぐると回り、そして、笹川の泣き顔を最後に僕の頭の中から笹川は消えた。
 その事に妙な罪悪感を覚えながら、僕はコータにしがみ付き、悲鳴のように上がる声をコータの口に塞がれながら野々村の性器によがり狂う。
 さっき沢崎に犯された時なんて目じゃないくらい、僕の頭は沸騰し、コータと野々村の名を何度も口にしながら僕はどんどんと近づいてくる自分の絶頂を待った。
 そして野々村が僕の中に果てるのも。
 野々村は僕が喘ぎ声を上げ始めた辺りから明らかに僕を攻める動きが変わっていた。
 最奥をとにかく抉るだけだったその動きが、深く浅く僕の感じる所を探るように往復する。そしてその度に、僕の一番感じる場所を強くその先端で擦っていった。
 その動きは段々と早くなり、野々村にも絶頂が近づいてきているのを僕に知らせる。
 僕の下半身からは野々村が動くたびに卑猥な水音が零れ、肌と肌が打ち合う乾いた音もそこに混ざった。その音がどんどんと打つ感覚が短くなり、僕に声を上げさせる。

「ひぁ……っ、あ、ん、ちゅ……、ん、やぁ……っはむ……っ、ん、んん……っ!」

 唇が少し離れる度に喘ぎ声が漏れ、それをコータにまた封じられる。
 そうしてコータとキスをしていたら、野々村の手が伸びてきて僕の髪をむんずと掴んで、コータとの唇を無理矢理外された。

「っ……はっ、はぁ……っ、チビぃ……、どうだぁ? どうだ!? 俺のは気持ちイイかぁ?!」
「ふぁ……っ、う、うん……っ、あっ、い、いぃ……っ、気持ち、いぃ……っ!」

 そしてパンッパンッと音を立てて尻穴を突かれながら、野々村に感想を聞かれる。
 もう意識が飛んでいた僕は自分を誤魔化すことも出来ず、野々村の言葉に頷き、さっき野々村がいったように涎を垂らして、その太くてデカイものをもっともっとと腰を揺すって挑発した。
 そんな僕に野々村は更に気をよくしたらしい。
 がっしりと腰に手を回し、もう片方の腕も僕の胸へと回すとそのまま僕の体を抱きしめ、そして、挿入したままいつの間にか胡坐を掻いて座った野々村の股間の上に落とされた。

「う゛ぁ……ぁあああ……っひぁ……あ゛あ゛ぁああっ!!」

 刺し抜かれるような、強烈な痛みのような快感が野々村と繋がっている部分から一気に僕の頭まで突き抜ける。
 そのまま野々村は何度も何度も僕の体を上から下へと持ち上げ、落とした。
 最奥をその太いブツで抉られ、悲鳴のような声が上がる。
 そんな僕の足を大きく広げさせると、野々村は他の奴らにその結合部を見せ付けるようにしながら僕の尻穴を犯し続けた。
 目の前でその光景を見ているコータが、ゴクリと生唾を飲み込んだのが解った。
 そのままコータはギラギラと充血した目で僕と野々村が繋がっている場所をガン見する。

「ひぁ……っ、やぁ……っ、あ、あ……っ、も、もう……っ、ひぁあ、ダメ、だめぇ……っ!! やっ、見ないで……っ、見るなぁあああああ……っ!!」

 野々村に最奥を突かれる痛みと快感に僕の顔は涙でぐちゃぐちゃに濡れ、コータにまじまじと繋がっている部分を見られる羞恥心に僕の中にある快感が爆発的に膨れ上がった。
 尾てい骨から一気にそれは駆け上がり、頭の中を白くスパークさせる。
 半勃ち状態だった僕の性器から、どろりと白い液が零れ、そのまま野々村のモノを咥えている尻穴までそれは流れ落ちていく。
 体からは一気に力が抜け、野々村に支えて貰っていないと上体が起こせない。
 そんな僕に野々村は後ろで小さく舌打ちをすると、僕の体を床の上に落とし、また腰を持って自分が挿入し易い位置まで持ち上げると、その状態で僕の中を更に激しく擦り上げた。

「はぁ……っ、あ、あ……っ、あぁん……っ、はぁ……っ。」
「チビ……っ、どうだぁ、まだ気絶すんなよ。まだ俺がイってねぇんだからよ。」

 体に全く力が入らない為に野々村の動きに合わせるように体がガクガクと揺れ、尻の奥を突かれる鈍い快感に僕の口からはまだだらしない喘ぎ声が漏れる。
 だけどもう、体は本当に動かなくて、それが不満なのか野々村は僕の耳を舐めながら、ずちゅずちゅと僕の後ろにその巨根を抜き差しした。
 その内、段々と動きが早くなり、僕の一番奥にまで突き刺すと野々村は小さく呻いた。

「っ、チビぃ、今から出してやるからよ、有難く受け取れよっ……っ。」

 快感に掠れた低い声で僕の耳にそう囁く。
 その言葉に、この行為が漸く終わる事を知ると、僕はホッと息を吐いた。
 そして動かない体を無理矢理動かして、早く野々村に終わらせる為に小さく腰を揺する。

「お、いいぞ、チビ。もっと揺すれ。絞めろ。……あぁ、そうだ、あぁ……イくぞ……っ、イくぞ……っ。」

 野々村が求めるように僕は腰を揺すり、そして尻穴に力を込めて野々村の性器を腸壁で締め付けてやる。
 すると野々村は酷く満足そうな溜息を漏らして、ラストスパートを賭けてきた。
 ゴッゴッと最奥を擦られ、僕の体は壊れた人形のように揺すられる。
 だらしなく開いた口からは絶えず野々村に突かれる快感の声を漏らし、半勃ちの性器からは野々村が奥を擦るたびに精巣に残っていた精液がとろとろと零れていった。
 そして、野々村が漸く感極まった顔で早口に、イク、イク、と捲くし立てる。
 そうしながら今までよりもストロークを長く僕の尻の中に打ち付けて、最終的に一番奥まで突きあげてそこで野々村は射精した。
 熱い、そして勢いのあるその感覚に、僕の口からは安堵とも、快感とも取れない喘ぎ声が漏れる。
 お腹の中にどんどんと溜まっていく熱い精液の感触に、僕の頭はまた笹川を思い出していた。