「100title」 /「嗚呼-argh」
やけに
寒ィな。
あの時、そう口にしたのは確かに俺だ。
けど、そんな意味じゃなかった。
求めてたのはそれだとしても。
消える
「・・・・あのさ。恋次さ」
「んだよ、偉そうに」
「つか、まだ何にも言ってねえだろ!」
「言ってなくてもテメエは眼つきからして偉そうなんだよ」
「んだよ、そりゃテメエの被害妄想なんじゃねえか、あァ?!」
「っせえぞ、クソガキ。ぎゃあぎゃあ吼えんじゃねえ」
「テ・・メエ・・・、コロス」
「はいはい」
「お前なあ、恋次ッ!!」
やっと恋次は俺の方を見た。
「んだよ煩せェな」
そして最悪の眼つきで睨みつけてくる。
「・・・だから、何やってんだよテメエ」
「寒ィっつったじゃねえか」
「だからってコレはねえだろ・・・!」
どうすりゃいいんだよ。
寒いから抱っこ。
そんな理屈、わかんねえよ。
「んだよ、気にいらねえなりゃ逃げりゃいいだろ、あ?」
「って逃げるって・・・、んなことすりゃ、」
「・・・・んだよ」
テメエが傷つくだろ。
喉元までせり上がってきた言葉をかろうじて飲み込んだ。
見上げて、
目が合ったのはただの一瞬。
どこからか舞い降りた地獄蝶が門を開いて、そして閉じられた。
そして残ったのは、翻った黒の死覇装の残像。
「・・・いったい」
一人残された部屋で、歯軋りと変わらぬ声が空しく響く。
「なんだってんだよ、チクショウッ!!」
けれどそこには毒つく先もない。
切り取られたような四角い空間、俺の縄張り。在るのは俺のもんだけ。
他には
何にも残っちゃいねえ。
壊れて役立たずのヒーターを蹴ってもどうにもならず、あの感触も、消えた恋次のことも、記憶からも消そうと足掻き続けた。
今思えば、あれが始まりだったのかもしれない。
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