ポツポツと窓を叩く音に眼を上げる。
おい、雨だよ。
空は真っ青なのに。
通り雨。
天気雨。
狐の嫁入り。
育ちすぎた子犬みたいなアイツは、ちゃんとどこかで雨宿りできているのかな。
邂逅
「よう」
寝転がっていたところを見下ろされて、恋次は重い瞼を上げた。
逆光でよく見えない。
「こんなとこで昼寝かよ。
いい身分だな、っていいたいとこだけど、風邪引くぜ?
さっき雨降ってただろ。」
ああ、てめぇか、とため息と間違うような微かな声を出しながら恋次が身を起す。
一護はそれにならんで河原の土手っ淵に腰を下ろした。
雨の後、むせ返るような湿気と熱気の中、
子供たちがドロドロになりながら、サッカーをしている。
恋次の見つめる先、一護も視線をやる。
「ああ、あいつらな。元気だよな。いつも。まったく、ワッケーよなぁ」
感心したようにつぶやく一護をみて、恋次が思わずといった風に突っ込む。
「てめーにゃ言われたかねぇだろ、あいつらも。」
速攻、眉間の皺を深くして言って返そうとした一護だったが、
何か言葉を飲み込むようにして遠くで戯れる子供たちに目をやった。
「まぁな。てめぇに比べりゃ俺なんて、ガキ、みたいなもんなんだろうな。」
つーか実際ガキだろ、といいたくなるのをぐっと押さえて恋次は一護を見る。
「どーしたんだ、やけに殊勝じゃねーか。熱でもあるんじゃねーか?」
うるせぇよ、と一護は立ち上がり、ジーンズについた草を払い落とす。
「で、てめーはここで一晩明かすの?
いつまで休暇かしらねぇが、うちには客用の押入れがあるぜ?」
差し伸ばされた手が妙にまぶしくて、
でもそれは逆光のせいだと恋次は思うことにした。
4.接触>>
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