Snow Red 2
「・・・恋次? 恋次なのかっ?」
薄暗がりとはいえ、見慣れた制服に、慣れ親しんだその体躯を見間違えるわけが無い。
高く括り上げられた髪を目にした一護は、恋次だと確信して駆け寄った。
「おい、しっかりしろ。大丈夫か?」
雪にうつ伏せに倒れたままの恋次はピクともしない。
霊圧がほとんど感じられないし、ならばこれは脱ぎ捨てられた義骸か、と一護はほっとした。
けれど微かに恋次本人の霊圧が感じられる。
ただ、この霊圧の低さは異常だ。
・・・これは、恋次だ。義骸だけじゃない・・!
抱きかかえてみると、義骸は冷え切っている。
頭を支える手が何か冷たいものでぬらりと滑る。
直に接しているというのに、霊圧はほとんど感じられない。
「くそっ、恋次、おい、恋次! 目を開けろって!!」
その時、タクシーが横を走り抜けた。
高い音で神経質に鳴り響くクラクション。
巻き上げられた雪が、道の脇にしゃがみ込んだままの一護と恋次にかかった。
そして、照らしつけるヘッドライトに一瞬照らされたのは、
周囲の真っ白の雪を鮮やかに染め上げている血。
「・・・クソッ」
毒々しく赤い光を撒き散らしながら遠ざかっていくテールランプに向かって一護が毒づいたとき、
腕の中の恋次が微かに身動きをした。
「恋次・・・?」
「・・・・う・・ん・・・・」
「恋次っ! おい、大丈夫か、何があった?!」
ゆっくりと恋次が目を開けた。
赤い虹彩が覗く。
焦点が一護に合う。
「おい、わかるか? 俺だ、一護だ。大丈夫か?」
「・・・・」
恋次は一言も応えない。
訝しげに一護を見つめる。。
「恋次?!」
「・・・・おまえ、誰」
そう一言残して、恋次はまた目を閉じた。
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