Snow Red 4 / 恋次
「・・・・よう。目が覚めたか」
どこか上ずった声が聞こえた。
俺のことじーっと見てるミカンみたいな色でヘンな服のやつ。
こいつ、誰だっけ。
大体ここはどこだ?
ルキアたちはどこへ行った?
俺の体、なんでこんなに大きくなってる?
大人たちに囲まれて、いろいろな話を聞かされたような気がするが、
俺がもうオトナで死神で、しかもここが現世だって、
つまりユーレイのまま、死体の中に入ってるとかそういうことなのか?
訳、わかんねえよ。
「腹、減ってねえか? 何か食うか飲むかするか?」
うるせえな。
親切ぶったって何考えてるかわかんねえ。
答える気にもならねえ。
少し動くと、掛かっていた布団がずれて音を立てる。
大きく開いた窓から外を見ると、夜のくせに、明りがいっぱい灯って、ここは犬吊じゃないことは確かだ。
もしかして、噂に聞いたセイレイテイって所なのかな。
だからかな。
外には雪がつもってるくせに、この部屋もこの布団も温かすぎてきもちわるい。
空気が流れない、風が吹かない。
仲間たちの手がない。
ここは俺の居るべきところじゃない。
帰らなきゃ。
窓の外へと手を伸ばしたら、硬いものにぶつかった。
透明なこれは何だ? もしかして金持ちの家の窓にあるっていう噂のギヤマンってやつか?
ということは、こいつ、こんな若造だけど、もしかしてすげー金持ちなのか?
そういえばこの奇妙な部屋も布団が妙に豪華だし、閉じ込められてる感じだし。
・・・ってことはもしかして俺、人買いに買われたのか?!
かどわかしにあっちまったってことか、この俺が?!
窓のギヤマンに映っているミカン頭は、しかめっ面だけど、どちらかといえば単純丸出しって感じのやつだ。
頭も悪そうだし、人さらいなんて能がありそうにも見えない。
ってことは、こいつは客か?
金持ちの道楽息子ってことか?
にしては、服がビンボウ臭えよな。
じゃあ、見張りにつけられた下っ端ってところか。
奇妙なつくりだが、ここは淫売宿なのかもしれない。
じゃああれだ。
さっき、薄ら汚れた家に集まってたあの大人たち。
あいつらが人攫いで、いろいろ俺にホラ話聞かせて、逃げる気を失くそうって気だな?
ちくしょう。
絶対この下っ端を騙して、逃げ出してやる!
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