「珍獣の飼い方10の基本」 (配布元 リライト)
まずはかわいがってきにいってもらいましょう
「ああああ! 何しやがんだ、テメー!!!」
また、怒鳴る。
いつもいつも小さいことにビリビリ反応しやがって、
珍しくテメーが時刻予告してきたからってんでわざわざ並んで買ってきたんだよ、
買い置きの効かないテメーの好きなクッソ甘い和菓子をよ。
ちったあ感謝しろ、食ってるときぐらい大人しくしやがれ。
「いーじゃねーか1個ぐらい。俺が買ってきたんだぞ」
「だからってよりによってソレ! 最後に食おうと思って取ってたんだぞっ」
吼える吼える。
あーめんどくせー。
「わかった、じゃあもう食うな」
「誰が食わねーっつったっ!!」
取り上げかけた紙袋、奪い返して睨みつけてくる。
ガキか。
つか最近、若返ってねーか、テンション高過ぎ。
でもこれ以上つっつくと本格的に怒り狂ってまた逃亡するだろうから、折れてやることにして窓際へ場所移動。
盗み見てみると、警戒しながらもそもそと残りの菓子食ってる。
小動物かっての。
つか俺、なんか相対的に年齢上がってないか?
ちょい優越感。
全部食ったくせ、ブスッたれた面しやがって全く。
紙袋、ぐしゃぐしゃと音を立てて丸めてゴミ箱へストレート。でもハズレ。
そんで指を舐めながら、こっちを伺ってる。
何だ?
何かまだ言いたいことがあるのか?
あ、もしかして窓の外を見てんのか、また逃げる気か?
のっそりって感じで近づいてきた。
デカイ図体、最大限に使って威圧してくるから、軽くかわして窓への道を空ける。
「逃げんじゃねーぞ?」
「誰が逃げるんだ、あァ? 煙草吸うんだよっ」
何、一々怒鳴ってんだか。
屋根に駆け上がる黒い残像。
あれ、絶対、自分からは降りてこねーな。
もう少ししたら腹が膨れて落ち着いてくるだろ。
その頃に迎えに行こうかな。
窓から上半身を出して頭上を伺うと、煙草の香りが少しだけした。
「とてもきちょうで、めったにてにはいりません」恋次側>>
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